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Bibury Court

がまかつフライフックストーリー

VOL.04 太軸、ナノスムース、ニューリテイナー

FlyFisher編集部=写真と文

がまかつフックデザイナー松井伯吉さんとテスター陣が語る本シリーズ。
第4回はナノスムースコートが施された太軸フック『R18-2W2HT』について語っていただいた。


●協力:がまかつ

《Profile》
松井伯吉(まつい・おさきち) 1949年生まれ。愛知県豊橋市在住。フライショップF.A.I.S店主。がまかつフックのデザインを30年ほど手がけている。このほか、ロッドデザインとビルディング、ランディングネット製作など多くを手がける「タックルデザイナー」。

岡本哲也(おかもと・てつや) 1958年生まれ。東京都中野区在住。がまかつフィールドテスター。2006年から同社のフック開発をサポートしている。東京在住にも関わらず、シーズン中はほとんど東北で釣りまくっている。フライ歴40年以上。



—— 『R18-2W2HT』は一転して軸が太いですね。

松井 ナノスムースで出たのはみんな細軸だったので……、B11が細軸かどうかの議論はともかくとして、全体に細軸方向だったので、今度は太軸がほしいなと思ったということなんです。


『R18-2W2HT』。ナノスムース、太軸が大きな特徴。大型トラウトやリトリーブの釣りも意識したデザイン


シャンクの付け根が広いニューリテイナーベンドで、管理釣り場や湖のリトリーブの釣りを意識したフックです。リテイナーで、なおかつナノスムースで強いフック、というコンセプトで作りました。

新井尭さんによる作例マラブーストリーマータイプにも充分対応する


—— 同じニューリテイナーですが、『R19-1FT』や『R17-3FT』のベンドの形が違いますよね。

松井 そうですね、全部違います。正直いうと、これは自分が欲しくて作ったんです。どちらかというと(笑)。

岡本 松井さん、ほかのフックでもそれ言ってませんか?(笑)。

松井 そうかもしれませんね(笑)。確かに、自分の釣りに対してもうちょっとこういうものが欲しいっていう発想でないとデザインできないというところもあります。でも今回のフックに関しては、イギリスに似たデザインのフックが昔からあるんです。スネックフックと呼ばれていますが、グレイリング用のハリだと聞いたこともあります。それを見てアレンジしたわけじゃないんですけど、似てますよね。

でも、がまかつの担当の方がいうには、実はこの形はがまかつにも昔からあった伝統的なものなんだそうです。まあ今も昔も、魚を釣るために考えることは似てくるということなのかもしれません。


岡本哲也さんのパターン。大型のテレストリアルにも向いた仕様

—— このフックについて岡本さんは何か関わってるのですか?

岡本 僕はほとんどやっていないんです。

—— そういうフックもあるんですね。

松井 『R18-2W2HT』は僕とカミさんでやりました(編集部注:松井さんの奥様も、特に管理釣り場に関しては相当のエキスパートです)。カミさんがこのフックでどのくらい耐久力があるか、ということまでやってくれました。その時70尾くらいは1本のフックでいけたんですよね。

松井奥様 普通にアワせて、ランディングできるのがそのくらいの数でした。70を超えると、ランディングに気を遣わないとダメです。でも、フッキングはしますよ。

—— ランディングに気を遣うとはどういうことですか?
松井奥様 それくらいになるとさすがにゲイプが開き気味になります。

松井 リテイナーだから釣り人が気をつければ大丈夫なんですけど、40~50cmのニジマスを70尾も掛けてるので……。テストには結局時間はかかりましたよね。10尾ずつくらい釣ったらフックの写真を撮って、伸びぐあいを確認したりね。どんなフライでもそうかと思うけど、1本で70尾も掛けられれば充分だと思いませんか?(笑)。たいていはフックが傷む前にフライそのものが壊れちゃうのではないでしょうか。

—— おっしゃるとおりですね(笑)
松井 管理釣り場だけでなく、北海道や海外でもぜひ使っていただきたいフックです。

2020/5/29

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