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ささきつりぐ

第2回 タイイングスレッド編

嶋崎了のフライタイイング基礎知識

嶋崎 了=解説

嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。 渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。 ティムコ社フライ用品開発担当として、TMCバイス、Jストリームシリーズなど主要製品を数多く手がける。

マテリアルをフックに留めるために重要なスレッド。 たくさんのカラーバリエーションがあるのは分かります。だけど、製品ごとの特性や扱いやすさなどに違いはあるのでしょうか?


Q スレッドにはどのような種類があるのでしょうか?

A まず素材は、代表的なものとしてナイロンとポリエステルがあります。


さらにワックスがかかっているタイプ(ワックストスレッド)とそうでないものがあります。 ワックスがかかっているものはスレッドが滑りにくいのが特徴です。

日本で入手しやすいワックストスレッドの代表格はダンビル社のもの。 ワックスをしていない、あるいは多少かかっているかも、というのはものはユニ社とヴィーバス社といったところでしょうか?
一般的なスレッドは大きく3つ。右からユニ、ヴィーバス、ダンビル

個人的にはワックストスレッドが好きで、こちらのほうが少ない回転数でマテリアルをしっかり留められるからです。ベテランにはダンビルを愛用している人も多いですね。
ダンビルのスレッドには「WAXED」の文字が

ただ、ダンビルは強度的にやや劣るので初心者の方にはユニやヴィーバスのほうがおすすめです。

Q それぞれの特徴を教えてください。

A ダンビル社のものはナイロン製でしなやか、伸びもあります。 ユニとヴィーバスはポリエステル製です。


ダンビルの伸びは使い比べてみれば誰でも実感できるはず

ユニとヴィーバスは似たような感じで、ポリエステル製で、切れにくく丈夫です。ワックスもほとんどかかっていません。

上がユニ、下がヴィーバス。ともに似たような巻き上がりになる

スレッドが伸びる順に並べればダンビル、ユニ、ヴィーバスになると思います。

Q 使う太さの目安はありますか?

A 8/0(ハチゼロと読みます)を目安にしてよいでしょう。ダンビルの場合は6/0になります。

それぞれの太さはボビンに表記されている。これは8/0

ちなみにスレッドの場合は数字が大きくなるにつれて細くなります。つまり、6/0と8/0なら、6/0のほうが太くなります。

ダンビルの場合、捻ればロープ状になりますし、解けばフラットな状態で使えます。こうすると面でマテリアルを押さえつけやすく、スレッドを巻きつけた部分に凹凸ができにくいのです。
ダンビルは縒りを解けばフラットになる

ダンビルでテイル材を留めるとこのようにフラットになる

Q スレッドの色はどのように選べばよいですか?

A まずは暗い色と明るい色の2種類があればよいと思います。


カラーは明暗を意識してセレクトするのがおすすめ

スレッドはフライの色に合わせて使い分けるのが一般的ですが、はじめはダークブラウン、ダークグレーなどの暗めの色と、ペールイエローやアイボリーなど明るい色を用意しておくと幅広いフライに対応できるでしょう。

次回
【隔週連載】嶋崎了のフライタイイング基礎知識
第3回「ドライフライ向けテイル材の種類編」は
2017年9月11日(月)公開予定です。

2017/8/28

つり人社の刊行物
初歩からのフライタイイング
初歩からのフライタイイング 2,750円(税込) A4変型判148ページ
本書は、これからフライタイイングを始めようとする人に向けた入門書です。 解説と実演は、初心者の方へのレクチャー経験が豊富な、東京のフライショップ「ハーミット」店主の稲見一郎さんにお願いしました。 掲載したフライパターンは、タイイングの基礎が…
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最新号 2023年12月号 Early Autumn

【特集】尖ってるドライフライ

今号では、編集部が「面白いな」と感じた渓流用のドライフライのタイイングと考え方を紹介します。取り上げるのは、パラシュートスパイダー、エルクファンタジィ、丹沢スペシャル、マジックバレット、里見パラシュート、ヨッパラ、特殊部隊の7本です。これらを並べてみると、みなさん気にかけているのは、耐久性、浮力の持続性だけでなく、「誘い」であることがわかります。水面の流れより遅く流れる、フライそのものが揺れる、マテリアルが揺れる、などさまざまですが、いわゆるナチュラルドリフト以上の効果を明確にねらっているものがほとんど。来シーズンに向け、ぜひ参考にしてください。
またウォルト&ウィニー・デッティ、ハリー&エルシー・ダービーに関するフライタイイングの歴史、そして、『The Curtis Creek Manifesto』(日本ではご存知、『フライフィッシング教書』として翻訳されています)の作者、シェリン・アンダーソンについても取り上げています。


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