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第7回 ディアヘア

メインはアメリカ産。日本ではエゾジカも

岩崎 徹=解説

ドライフライのウイングやマドラーヘッド、バスバグなど幅広く使われるディアヘア。ここではそのシカの種類と、それぞれの部位の特徴を紹介します。

岩崎 徹(いわさき・とおる)
1948年生まれ。タイイングマテリアルを取り扱う「キャナル」代表。羽根や獣毛など、希少種も含めて、これまでに数々のマテリアルを取り扱ってきた経験を持つ。各素材の効果的な利用方法はもちろん、世界のマテリアル事情にも詳しい。

ディアヘアとは、どんなシカの毛なのでしょうか?

ディアも種類がいろいろありますが、現在一般的に日本に入ってきている代表的なものでは、マテリアルとして「スピニングディア」などと呼ばれる、アメリカのミュールディアがあります。比較的大型のシカですね。

もう一つはやはりアメリカのホワイトテイルディア。こちらはもう少し小型のシカで、毛足も短いんですよ。このシカはバックテイルなどにも使われる種類ですね。

この2種類は、両方とも巻いた時にしっかりフレアしてくれますので、毛足の長さの違いということで理解していればよいと思います。
こちらはスピニングディアのナチュラル(左)とブリーチ(右)

このほか、ヨーロッパのフラワーディアという小さいシカがあります。以前はよく出回っていましたが、最近ではほとんど見かけないですね。これは日本で使うディアヘア・パターンに一番適していると思うのですが、残念ながら現在流通はあまりありません。

やはり流通が多いのは、マドラーヘッド用としても人気がある、スピニングディア(ミュールディア)です。色に関しては、ブリーチや染めたものなども一般的になっています。

エルクヘアと比べると、ディアヘアはやや軟らかいので、スレッドであまり強く絞ると切れたりすることもあります。そのため、カディスなどのパターンに使う場合は、水切れもよいエルクヘアのほうが向いているかもしれませんね。

日本のシカもタイイングマテリアルとして使われますか?

国内のものではエゾジカがあります。こちらは前述のディアに比べて断面が扁平なんですよ。なので、フレアがしにくいのが特徴です。そのため、効果的な使い方としてはエルクヘアに近いかもしれません。

ただしエルクよりも毛足が長いので、ストーンフライなど、大型のパターンのウイングとしておすすめです。そしてエゾジカは結構丈夫なんですよ。毛もわりと太いんですが、やはり若いシカのものは軟らかい傾向にあります。
エゾジカのナチュラル(左)とブリーチ。スピニングディアよりも毛は太め

特に適した使い方がある部位を教えてください。

このほか、「コンパラダンディア」と呼ばれるものがありますが、これはシカの種類ではなく、コンパラダンを巻くのに適したヘア(または適したサイズのシカ)ということです。

比較的毛がしっかりしていて、エルクヘアに似ているといえるかもしれません。毛足が短く、テーパーがきついのも特徴です。
コンパラダンに適したディアヘアは、毛足が短いものが主流

左がスピニングディア、右がコンパラダンディア。コンパラダンディアは、なかでも先端部のテーパーがきつめの毛が選ばれる傾向にある

一方、同じディアでも足の部分は「ホック」と呼ばれます。一般的にはドライフライのテイル材として使われることが多いと思います。ただし、エルクもディアも「ホック」の毛は短く、フレアしやすいので、やはりテイル材の定番はムース・ホックといえますね。ただ、ディア・ホックでも場所によっては「コンパラダンディア」っぽいので、そうした使い方もできると思います。

それと、ベリー(腹部)といわれる部位があります、こちらは1本1本がしっかりとした硬さを持っており、非常にフレアしやすいのが特徴です。バスバグなどにも向いていますね。 ディア・ホック。ドライフライのテイル材などに使われる

ディアのお腹の毛は、硬くフレアしやすいので、バスバグなどにも多用される素材

2018/3/6

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