第5回 ヘンフェザント
マーチブラウンの定番マテリアル
岩崎 徹=解説
一般的にヘンフェザントといわれているのは、ヨーロッパの比較的大型のキジのもの。マーチブラウンのウイングなどに使われるクイルが代表的ですが、そのほかにも、ハックル素材などにも活用できます。

1948年生まれ。タイイングマテリアルを取り扱う「キャナル」代表。羽根や獣毛など、希少種も含めて、これまでに数々のマテリアルを取り扱ってきた経験を持つ。各素材の効果的な利用方法はもちろん、世界のマテリアル事情にも詳しい。
ヘンフェザントとは、日本のキジとは違うのでしょうか?
ヘンフェザントとして使われているコウライキジ(リングネックフェザント)はユーラシアの鳥で、日本のものは亜種でちょっと色が違うんです。日本のキジは首の周りが緑ですよね。一方、コウライキジは白いのが特徴です。なぜか分かりませんが、ユーラシア大陸を西へ行けば行くほど、同じ種類でも鳥のサイズが大きくなるんですよ。このキジもまったく同じ種類でも、西側へ、たとえばイギリスなんかいくと大きくなります。
普通にみなさんが使っているヘンフェザントなんですけど、やはりイギリスから来たものは大きい傾向にあります。イギリスで獲れたものかどうかは定かではありませんが、圧倒的にサイズが違うんです。ふた回りくらい大きいイメージです。
アメリカ大陸にもヨーロッパから移植されたコウライキジがいるんですけれど、アメリカのものはヨーロッパよりも小さいんですよ。不思議ですよね、エサや環境が違うからでしょうか?
ウエットフライのウイングなどに使われるクイルは、どのようなものがよい素材といえますか?
前述のように、ヘンフェザントといえば、ヨーロッパから来たものが一般的になります。それ以外の地域からのものは小さすぎて使いにくいことが多いですね。よって、ヨーロッパ産のクイルがマテリアルとしてはよいものといえます。それでも普通のサイズのクイルで、フックサイズ8番くらいが限界ですね。
ちなみにショルダーのほうにいけば、6番くらいが巻けるものもあります。背中の中央寄り(肩部分)の羽根ですね。ただし、色が濃くなって模様もあまり明確ではなくなります。全体的にショルダーの羽根のほうが、薄くて長いのが特徴です。
ヘンフェザントは鳥の羽根自体が小さいので、たとえばシルバー・マーチブラウンといったパターンは、大きいサイズでは作れない……ということになるんです。無理して巻いても6番が限界でしょう。それ以上の大きさのパターンは、ヘンフェザント・クイルを使ったウイングはほとんど採用されていません。中国産のヘンフェザントだったら10番フックでも巻きにくいかな……っていう感じです。
羽根の断面構造はターキークイルなどと同じです。羽軸に近い部分が厚くて、だんだん薄くなります。

クイル以外はハックルとしても使用可能ですか?
ヘンフェザントのハックルは、どの部分を使ってもきれいな模様が出ますが、特にブレスト(胸部)はファイバーが柔らかいのが特徴です。この部分はウエットフライのスロートにも使われますね。ソフトハックルとかテンカラの毛バリであれば、もう少し硬めのネック(首)周りが適しているのではないでしょうか。ある程度水中で動かすフライならファイバーの根元がしっかりしていたほうがいいと思います。こちらはパートリッジにも似ていますので、よく使われる部分です。

また、バック(背中)のほうのファイバーも軟らかめです。ミセスシンプソンなどのストリーマーに使われたりもしますけど、よりウエットフライ寄りのマテリアルだといえます。

ヘンフェザントのテイルはどのように使えますか?
テイルは正直いってあまり使われない素材です。一番有名なのはサーモン・マーチブラウンのウイング材でしょうか。10番前後のサーモンフックに巻くので、長いものが必要なんですね。クイルだと長さが足りないので……。ただし、テイルはバラけやすいのが特徴です。どちらかというと根元に近い部分のほうがバラけにくいので、ウイングとして使うのは根元のほうがよいかもしれません。

ほかには、ストーンフライのレッグにするとか、ニンフのウイングケースにするとか、昔から使われているものとしては、そのあたりでしょうか。
ちなみにフェザントテイル・ニンフなどで使われるのは、いわゆるコックフェザント、オスのキジのテイルです。ヘンフェザントと呼ばれているものは、やはり日本のキジではなくて、コウライキジに限ります。
次回
【隔週連載】タイイングマテリアル目利き図鑑
第6回「フェザントテイル」は
2017年2月19日(月)公開予定です。
【隔週連載】タイイングマテリアル目利き図鑑
第6回「フェザントテイル」は
2017年2月19日(月)公開予定です。
2018/2/5