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それぞれのソフトハックル 3/3

水面に絡ませる生命感

森村義博=解説
森村さんがダウンクロスで使うソフトハックルの入ったボックス。メインで使っているのが写真左下のグリーンカラーのパターン。これを浮きすぎず、沈みすぎずの状態で流し込む

ドライフライとしても、ウエットフライとしても、またはその中間的な使い方もできるフライバターンともいえる、ソフトハックル。今回はそんなフライを水面に絡ませて使うことで、ハッチがない時間帯にも魚を引き出す釣りを実践している、森村義博さんのパターンを紹介。
この記事は2014年4月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
森村 義博(もりむら・よしひろ)
1956年生まれ。静岡県三島市在住。地元狩野川水系の釣り場に詳しいが、シーズン中は九州から北海道まで全国を釣り歩く。ソフトハックルで、本流域のポイントを探る釣りを得意としているほか、山岳渓流のイワナ釣りの経験も豊富。

森村義博さんのソフトハックルを使った釣りの記事はこちら!
【釣り下るソフトハックル術】

水面下で食わせる強み

僕が好んで通うのは水量豊富な本流の流れだ。しかし、プールや深瀬が続く本流域での釣りは、ハッチやライズがなく、ドライフライの釣りが成立しない時間帯が意外に多い。

ある時、「晴天渇水、ハッチ、ライズともになし」という条件下でソフトハックルを使ってみたことがあった。ポイントの上流側に立ち、渓魚の付きそうな底石を中心に、小さなアクションを加えていたところ、激しい飛沫を上げてアマゴが飛び出してきた。

ドライフライの釣りには悪条件であっても、フライをほんの少し水面下に置くことで魚を上に向かせることができると実感したのはこの時だ。
カディスピューパ
●フック……TMC102Y #17
●リブ……シルバーワイヤ
●ボディー……シールズファー・グリーン、ナチュラルのブレンド
●ハックル……パートリッジ・ブラウン


ハッチやライズがない時は活性が低いと思われがちだが、実際のところ魚たちは水中で積極的にエサを摂っている。それ以来、ハッチのない時間帯のほか増水、渇水などあらゆる状況において、積極的にソフトハックルを使うようになった。一日中本流にいても飽きずに釣りができるようになったのは、まさにこのフライのおかげだ。

ソフトハックルをサーフェイスフィルム(水面膜)に絡ませれば、ドライフライ同様魚のアタックを視認して釣ることが可能だ。フライは沈ませてもせいぜい表層1~2cm。このタナであれば捕食時にライズリングが確認できる。

それ以上、たとえば5cmも沈ませてしまうとフライを目視できないばかりか、波紋もないまま「ガツン」というショックだけで終わってしまうことが多くなる。

目立ったハッチが見られない日中、単発のライズを釣ってみると小型カディスのピューパがストマックから見つかることがよくある。そんなシーンに効果的なのが#18のソフトハックル。これをライズが起きた地点に上流から流し込み、フライを水面に絡ませたまま小さなアクションを加えると効果的だ。
瀬の中の少し深いところにある沈み石がポイント。魚が出るだろうと、予想した石周りを丹念に流す

またこのフライは、エルモンヒラタカゲロウのイマージャーとしても高い効果を見せてくれる。ちなみに僕が使用しているソフトハックルは、この釣りを始めた当初の古典的なスタイルから大きく変化してきた。

今はソフトハックルをマッチング・ザ・ハッチの釣りにも多用するようになり、フライにも水生昆虫の特徴を盛り込むようになったが、このフライから学んだ「無駄を省いてシンプルに」ということだけは忘れていない。

水面に絡ませるための工夫

手持ちのフライの中でもかなりのボリュームを占めるソフトハックルパターン。フックサイズは#8~18。ボディーカラーは、ナチュラル、ブルーダン、ブラック、ブラウン、オリーブ、グリーン、チャートリュース、オレンジと多岐にわたる。
ソフトハックル渓流用
●フック……TMC102Y #17
●リブ……シルバーワイヤ
●ボディー……シールズファー・グリーン、ナチュラルのブレンド
●ソラックス……ハーズイヤー・ナチュラル
●ハックル……パートリッジ・ブラウン


そのボディーに好んで使用するマテリアルがシールズファーで、その割合は90%を超える。いくつかのカラーをブレンドして好みのカラーを作ることも多い。

シールズファーは短繊維で太く硬くヨレもあるため、ダビング材としては使いにくいマテリアルだ。しかし、水に濡れても暗色化しない。繊維が水分を吸わないためか水弾きがよく、水分が繊維間に入り込んで重くなったフライも、強めのフォルスキャストで簡単に飛ばしてくれるなど利点も多い(水面付近での使用が多いため、重くなり深く沈んでしまっては困る)。

何より気に入っているのは、巻きあがりのボディーからランダムに短く出ている繊維。そんなラフなシルエットと素材の待つキラメキが何ともいえぬ生命感を漂わせる。

ダビングする際ワックスは使わない。強引にスレッドに撚り付けて巻くのがよい。ハサミできれいにトリミングするのは野暮だと思う。それをすると水面での引っ掛かりが少なくなり沈みやすくなってしまう。これにシルバーかゴールドのワイヤをリビングする。
こちらもソフトハックルでの釣果。良型で美しい魚はシーズンに幾尾も出会えない

ハックルは、グレーやブラウンのパートリッジを主に、クート、ムアヘンも使う。パラリと数回転だけ巻くこともあれば、ハックルを2枚使って厚く仕上げることもある。薄く巻いた場合には、水中でハックルがよく動き、さらにリブに巻いたワイヤが光る。

一方ハックルを厚く巻き浮力剤を施せば、曖昧なシルエットのドライフライとして予想以上の効果を発揮してくれる。前述したように水面に絡めて使うことが多いため、フックは軽量化のためファインワイヤを選んでいる。タイイングで意識するのは水中での動きと光。キーワードは生命感だ。

2018/5/28

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