第7回 ドライフライ・クイルボディー編

嶋崎了のフライタイイング基礎知識

嶋崎 了=解説
嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。 渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。 ティムコ社フライ用品開発担当として、TMCバイス、Jストリームシリーズなど主要製品を数多く手がける。

ドライフライのポピュラーなパーツでもあるクイルボディー。メイフライを中心にさまざまなパターンに使われるマテリアルですが、一言に「クイル」といってもいくつか種類があります。今回は代表的なクイル素材として、ピーコックとターキー、グースについて紹介します。

Q  ドライフライに使うクイルボディーは、どのような素材がありますか?

A  代表的なところではピーコック、そしてグースバイオット、ターキーバイオットがあります。

まずはピーコックです。こちらはそのまま巻けばテレストリアルのボディーとしてポピュラーですが、フリューを取り除けばまた違った質感を表現できます(ストリップドピーコック)。クイルゴードンなどのパターンに代表されるような、水生昆虫のアブドメンを模した縞々模様を出すことができます。
ピーコックアイとピーコックハール。さまざまな使い方のできるマテリアルだが、フリューを取り除いて使うのもあり

上がフリューを取り除いたピーコック。指でフリューの生えている向きと逆にこそぐようにすれば簡単に取り除ける

グースバイオットとターキーバイオットですが、こちらも虫のアブドメンの雰囲気を簡単に表現できます。マテリアルの特徴として、グースのほうが耐久性は高く、ターキーのほうが1本の長さがあります。そのため、小型のフライにはグースバイオット、大型のフライにはターキーバイオットと使い分けるのがよいでしょう。
グースバイオット。こんな状態で売られていることが多い

1枚切り出したグースバイオット。ターキーと比べてハリがあり、短めのものが多い

赤丸の部分(フェザーの短い側)がターキーのバイオット。この部分を切り出して使う

フェザーから切り出したターキーバイオット。グースに比べて柔らかく、長めのものが多い

Q  クイルボディーのメリットはどのような部分でしょうか。

A  簡単に虫の質感を表現できるところですね。

クイルボディーの最大のメリットは、虫の質感を手軽に表現できることですが、特にターキーやグースでは誰が巻いても同じ仕上がりになりやすいのも大きな特徴といえますね。
ストリップドピーコックを使って巻いたボディー。縞々模様が虫らしさを演出してくれる

クイルボディーはダビング材に比べれば耐久性が低いのですが、リブを巻いたりすることでぐっと壊れにくいボディーになります。

ピーコック、グースバイオット、ターキーバイオットともに浮力はありませんが、みな釣れる魚にアピールする要素を持っていると思います。“虫っぽさ”がほしい時におすすめのマテリアルで、スレた魚や、ライズしている魚に対して結ぶパターンにもよく使われます。

Q  クイルボディーを作る際の、注意点などありますか?

A  バイオットはフリューを活かして留めることもできます。

ピーコックに関しては、基本的にピーコックアイ(もしくはハール)から使うフライのサイズに合わせて1本を切り取って使えばよいでしょう。

一方、フェザー状で売られているターキーバイオットですが、こちらはグースバイオットに比べて薄く柔らかいため、切り出す場所で使い分けたいですね。虫の体節をより明確に出したい場合は、右羽根のバイオットを使って巻くとフリューが立ち上がりやすいような形に巻けます(下の写真のように巻く場合)。
フリューを活かして巻いたターキーバイオット

こちらはフラットに巻いたターキーバイオット

フリューを活かしたグースバイオット。マテリアルが比較的短いので、巻く幅も短くなるので、小型のフライにおすすめ

グースバイオットをフラットに巻くとこのようになる

逆にフラットに仕上げたい場合は、フリューが下側に向くように取り付けますが、最初に巻いたフリューをつぶすように巻き進めていけばOKです。

次回
【隔週連載】嶋崎了のフライタイイング基礎知識
第8回「パラシュートポスト編」は
2017年11月20日(月)公開予定です。

2017/11/6

最新号 2017年12月号 Fall

特集は「川を読む」。秋田県の役内川を例に、まさに「ここに尺ヤマメがいた」というポイントをピックアップ。流れのようす、底石の入り方、水面の波立ちぐあいなどなど、良型が付く場所の特徴を解説します。 また伝説的ともいうべきリールの名品「ボンホフ」と、その製法を忠実に踏襲しようと試みた男の物語を収録。道具に対する釣り人の情熱と愛を感じる内容です。 そのほか、イワナが浮いてフライをくわえる瞬間までばっちり見えるような源流釣行、北海道のアメマス事情、またキューバやオーストラリアのソルトゲームなども掲載。渓流オフシーズンの今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。
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