第8回 パラシュートポスト 編

素材ごとのメリットを知る

嶋崎 了=解説

嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。
渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。
ティムコ社フライ用品開発担当として、『TMCバイス』、『TMCアジャスタブルマグネットボビン』、『Jストリーム』シリーズなど主要製品を数多く手がける。


渓流ドライフライのポピュラーなスタイルであるパラシュート。それを特徴付けるパーツがポストですが、マテリアルにはどのような種類があるのでしょうか。それぞれの使い分けと合わせて紹介します。

Q 素材にはどのようなものが使われますか?

A シンセティック素材と天然素材がありますが、撥水性と視認性があるものが最低条件です。


ポストに用いられる素材の条件としては、理想は吸水せず、撥水性、耐久性があること。そして何よりも、釣り人からよく見えること(視認性)が大切です。

ポスト自体に浮力を求めることはありませんが、やはりフライのバランスを損ないにくい、軽い素材がよいですね。

よく使われているものとしては、『エアロドライウィング』などのシンセティック素材、CDC、カーフテイルといったあたりです。現在最も一般的に使われているのは、タイイングが簡単で、軽くて耐久性もある化学繊維だと思います。
シンセティック素材の代表格でもある『エアロドライウィング』(写真はFLピンク)。1束は4本がゆるくまとめられており、#13以上のフックでは1束を使うのが、ひとつの目安

『エアロドライウィング』で作ったポスト。軽く、どんなパターンにも合わせやすい

ただし、天然素材のものは曲がったり潰れたりしても、水に濡らして乾かせば元に戻りますが、シンセティック素材はなかなか癖が戻りにくい特徴があります。そのため、フライパッチやボックスに収納する際には気を遣いたいところです。
カーフテイルはくっきりと見えやすいが、現在はBSE問題で入手しにくい状況となっているのがネック

こちらはカーフテイルのポスト。フライの格好よさを重視して選ぶ人も。うまく取り付けられれば耐久性、視認性ともに優れているが、取り付けるすぎると重くなってしまうので注意

Q ポストを留めるうえでの注意点を教えてください。

A フライの使いやすさを損なわない長さと量が重要です。


まずは長さ。これは視認できるギリギリの長さを確保するようにしています。ポストが長すぎるとキャスティング時にフライが回転しやすくなるので、見えるレベルで、ハックルをちゃんと固定できていれば、短いほうがよいでしょう。

次に量。これは前述の視認性に加えて、ポストの耐久性も考慮して決めています。この時、ポストが重くなりすぎないようには注意しています。ただし、量や長さに関してはフライサイズによって変化しますので、その時々で多少の調整が必要です。

下に掲載している作例は#12フック(TMC100)に巻いたものですので、フライサイズに対しての量や長さのバランスを参考にしてみてください。
TMC100、#12に巻いたポスト(とハックル)のバランス例

ポストの取り付け例、その1。こちらは一束をシャンク上に固定し、スレッドで立ち上げている。ソラックスに太いテーパーを付けたい時などにおすすめの工程

ポストの取り付け例、その2。こちらはスレッドにエアロドライウィングを2つ折りにして、シャンクに固定したパターン。タイイングも簡単だが、位置が回転しやすい。ボディーの細いパターンを作りたい時におすすめ。ちなみに、この方法では折り返した2本を束ねるので、マテリアルとして使う際には、1束の1/2を切り出せばOK

Q カラーはどのように決めますか?

A シチュエーションや目的を考えて選択します。


たとえば、釣り上がりであればさほど気にすることはありませんが、スレた魚をねらう時や静かな水面を釣る場合には、オレンジなどの派手な色は避けて、自然に溶け込むナチュラル素材の色を使ったものがベターでしょう。こんな場面では、CDCがよく使われます。

ただし、視認性が悪く見えにくい状況下では、やはり目立つ色を使ったほうが釣りやすいですね。
CDCのポスト。シンセティック素材に比べて、CDCは魚にプレッシャーを与えにくいといわれる。こちらはホワイトカラーをややボリューミーに留めているが、状況がシビアであれば、ナチュラルカラーを用いるのがよい

一方、逆光時などは黒いポストが有効です。同じ黒でも化繊系とCDCなどでは見え方が変わりますが、私の場合はCDCの黒染めが最も見えやすいと感じています。ブラックカラーのCDCの、光のぐあいに左右されないマットな色調が気に入っています。
逆光時には、光を反射しないマットな色調が特徴のCDC・ブラックが見えやすい

以上のように、シチュエーションで使い分けたいところですが、好みによるところも大きいと思います。魚が嫌うからとナチュラルカラーをメインに使う方もいますが、一般的にはオレンジやピンクなど視認性のよい色を使う方が大半です。

人によってもよく見える色が違うので、基本を踏まえたうえで、自分が最もストレスなく見える色を使うことをおすすめします。

次回
【隔週連載】嶋崎了のフライタイイング基礎知識
第9回「パラシュート・ハックル編」は
2017年12月4日(月)公開予定です。

2017/11/20

最新号 2017年12月号 Fall

特集は「川を読む」。秋田県の役内川を例に、まさに「ここに尺ヤマメがいた」というポイントをピックアップ。流れのようす、底石の入り方、水面の波立ちぐあいなどなど、良型が付く場所の特徴を解説します。 また伝説的ともいうべきリールの名品「ボンホフ」と、その製法を忠実に踏襲しようと試みた男の物語を収録。道具に対する釣り人の情熱と愛を感じる内容です。 そのほか、イワナが浮いてフライをくわえる瞬間までばっちり見えるような源流釣行、北海道のアメマス事情、またキューバやオーストラリアのソルトゲームなども掲載。渓流オフシーズンの今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。
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