第6回 ドライフライ用ダビング材編

ナチュラルか、シンセティックか?

嶋崎 了=解説
嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。 渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。 ティムコ社フライ用品開発担当として、TMCバイス、Jストリームシリーズなど主要製品を数多く手がける。

ドライフライでも多くのパターンに採用されるダビングボディー。最も手軽にボディーを作れるマテリアルとして、その種類も数えきれないほど。今回は、まずナチュラル素材とシンセティック素材の代表的なものをピックアップし、それぞれの特徴を解説します。


Q  ダビング材には、どのような種類がありますか?

A  大きく分ければ、ナチュラル素材と、シンセティック素材(化繊)があります。ドライフライの場合は、現在ではシンセティックが一般的ですね。


まずはナチュラル素材。こちらは文字どおり天然素材なので、フックに巻いた際にも自然な質感を出しやすいのが特徴です。代表的なところでは、ヘアズイヤー(ウサギ)、ラビットファー(ウサギ)、シールズファー(アザラシ)、ゴートヘア(ヤギ)といったところでしょうか。他にもフォックスやマスクラットなどのファーも使われます。

特にウサギなどはアンダーファーも柔らかく、マットな色調を表現できます。シールズファーやゴートヘアは繊維に透明感と硬さがあり、ウエットやニンフでもよく使われます。毛足の長いものはストリーマーにも向いています。
ナチュラル素材のダビング材。左からラビットファー、シールズファー、ゴートファー。それぞれの動物の毛の質感が大きく異なる

左がフォックス、右がマスクラット。毛足の長さやファーの柔らかさなど、ダビング材として使える獣毛は多い

昔ながらのフライパターンでも、現在はシンセティックで作られているものがほとんどですが、フライにした際の雰囲気は、やはりナチュラル素材ならではのものがありますね。そういった意味で今でも多くのファンがいます。

一方シンセティック素材ですが、こちらは様々なカラーが入手しやすく、ドライフライのダビング材としては現在主流になっているといえます。

代表的なものは、スーパーファインダビング。繊維を細く仕上げたダビング・マテリアルとして、各社がこの名前で商品をラインナップしており、獣毛では作りにくい細いボディーも簡単に仕上げられるのが特徴です。それぞれ繊維の硬さやカラー展開などが若干違っているので、好みで選んで構いません。
こちらはヘアライン社のスーパーファインダビング。繊維が細く、細身のドライフライのボディーも、好みの形に作りやすい

シンセティック素材のなかにも、吸水性や浮力があるタイプなどがありますが、これは使うフライの用途で決めればよいでしょう。ちなみに、ダビング材のなかにはナチュラル、シンセティックをミックスしたものもありますが、これは両者のよいとこ取りといったところですね。

Q  実際にダビング材はどのように選べばよいでしょうか。

A  やはりカラー選択を重視したいですね。


ダビング材選びの考え方の一つに、カラーがあります。春先のマッチング・ザ・ハッチでは、羽化している虫の色に合わせるのが基本です。そして夏場や山岳渓流を釣る場合は暗色系、さらに夕方の時間帯には視認性を重視したライトカラー系を選びます。

ダビング材を選ぶ時も、こうした使うフライパターンのシーンを想定して選ぶのがベターです。
ヘアズイヤー(ウサギ)をダビングしたボディー。適度な毛羽立ちが虫っぽさを演出してくれる

Q  ダビング材を使ったボディーのメリットと、巻き方のコツを教えてください。

A  フライによって巻き加減を変えられることです。


ダビングボディーの利点としては、フラットなものでも、テーパーの付いたものでも自在に形成できることです。ボリュームを持たせたい、細身に作りたいなど、巻きつけるダビング材の量で簡単に調整できます。

ドライフライの場合は、できるだけ吸水しにくいボディーを作りたいので、ダビングボディーも硬めに巻きつけていくとよいでしょう。逆にフックを水面下に入れて見せたいようなパターンでは、ダビング材を緩めに巻くと、適度に水なじみがよくなります。
スーパーファインダビングのダビング。スレッドには少量ずつ取り付けるのがコツ

硬く巻かれたドライフライのボディー。シンセティック素材は細身のボディーも安定して巻きやすい

ダビング材を巻く際は、スレッドに一度にたくさんつけないで、少量ずつ、その都度付けるのがおすすめです。ドライフライの硬いダビングボディーを作る際にも、この方法は必須です。
シールズファーのダビング。毛足が硬い素材なので、慣れないうちはダビングワックスを使うのも手
毛足の長いシールズファーをシャンクに巻くとこのようになる。シルエットをラフに見せたい場合などは毛足の長いナチュラル素材が合う

以上のことは、ナチュラル、シンセティック、すべてのダビング材で共通なので、タイイングの際には意識して巻くとよいでしょう。

次回
【隔週連載】嶋崎了のフライタイイング基礎知識
第7回「ボディー材(ストーク・ファイバー系)編」は
2017年11月6日(月)公開予定です。

2017/10/23

最新号 2017年12月号 Fall

特集は「川を読む」。秋田県の役内川を例に、まさに「ここに尺ヤマメがいた」というポイントをピックアップ。流れのようす、底石の入り方、水面の波立ちぐあいなどなど、良型が付く場所の特徴を解説します。 また伝説的ともいうべきリールの名品「ボンホフ」と、その製法を忠実に踏襲しようと試みた男の物語を収録。道具に対する釣り人の情熱と愛を感じる内容です。 そのほか、イワナが浮いてフライをくわえる瞬間までばっちり見えるような源流釣行、北海道のアメマス事情、またキューバやオーストラリアのソルトゲームなども掲載。渓流オフシーズンの今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。
[ 詳細はこちらから ]

 

NOW LOADING