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スカジットタクティクス入門│第5回

スカジットタクティクスを全9回でお伝えしていく

文・写真=仲野靖
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理想的な「セット」を作る柔軟な操作

フライキャスティングに熟達した人の中には、フライラインをリボンのように扱い、観客を魅了するデモンストレーションキャストを披露する人がいる。それと目的はまったく異なるが、このキャストでも実際にラインが放出されるさまを初めて見た人がしばしば目を奪われるのが、キャスト全体をとおして感じられる動きの自由度の高さだ。

これまでにも解説したとおり、スカジットキャスト自体はどんな状況でも「基本の7ステップ」で構成されている。周囲の状況が変わったからといって、何か特別な動きを加えるわけではない。だがその一方で、この7ステップはあくまで「応用のための基本」となっており、最終的にキャストを成功させるためには「ラインのセット(水面への置き方)」と「ローディングシークエンス(スイープ、45度のスラスト、ターンオーバーの後半の一連のステップ)」の2点がきちんとクリアされていれば、いつでも充分なパワーと方向性を持たせたキャストができるようになっている。

ここでは、仲野さんが長野県の犀川で実際に使用したキャストを3通り紹介しながら、そこに含まれる実践的なコツ、そして基本をもとにより応用的なキャストができるようになるためのヒントとなる部分をお伝えしたい。

 

 

ケース①:ピックアップの操作の前に岸側へロッドを大きく突き出す

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この一連のキャストは、前回も紹介した「右岸でのリバースサイド(利き手と反対側のサイド)で行なうペリーポーク」の動きをとらえたもの。このキャスト自体は、たとえば右岸を釣り下っていて、自分の下流側に倒木などの大きな障害物がある時に有効になる。そのうえで、仲野さんはまず、「あらかじめロッドを大胆に岸側に突き出して」からキャストをスタートした。実はこの操作により、ペリーポークの成否に大きく影響する、ロッドティップが届く範囲の内側にラインを置くセットが格段に行ないやすくなる。さらに、実際はこの動きでキャスト中の角度変換もあらかじめ行ないやすくなっている。

 

 

ケース②:セットの位置がレギュラーサイドでも前半のロッド操作をむしろリバースサイドで行なう

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これは「左岸からのレギュラーサイドで行なうペリーポーク」の動きをとらえたもの。レギュラーサイドでのペリーポークなら、通常はピックアップからセットのロッド操作もレギュラーサイドで行なおうとする場合が多い。だが、すると諸所の条件からセットが一度で決まりにくく、多くの場合は、何度か自分の上流側でラインを置き直す対処が必要になったりする。だがこの時、ピックアップからセットまでのロッド操作を意識的にあらかじめリバースサイドで行なうようにすると、身体の近くに自然とラインを置きやすくなる関係で、方向転換をともなう最適なセットが一度で決まりやすくなる。

この一連のキャストは、前回も紹介した「右岸でのリバースサイド(利き手と反対側のサイド)で行なうペリーポーク」の動きをとらえたもの。このキャスト自体は、たとえば右岸を釣り下っていて、自分の下流側に倒木などの大きな障害物がある時に有効になる。そのうえで、仲野さんはまず、「あらかじめロッドを大胆に岸側に突き出して」からキャストをスタートした。実はこの操作により、ペリーポークの成否に大きく影響する、ロッドティップが届く範囲の内側にラインを置くセットが格段に行ないやすくなる。さらに、実際はこの動きでキャスト中の角度変換もあらかじめ行ないやすくなっている。

 

 

ケース③:スカジットダブルスベイとベリーポークの組み合わせでタイトな場所を攻略

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これは全体にバックスペースがタイトな状況で、「右岸からスカジットダブルスペイとレギュラーサイドのペリーポークのコンビネーション」を仲野さんが行なった時の一連の動きをとらえたもの。この時は、まずロッドを思い切って身体に巻きつけるようにしてラインの先端を自分の正面近くに持ってくるセットを行なった。次に、その状態からロッドでラインを川側に放りながらレギュラーサイドでのペリーポークに備えて二度目のセットを実施。最後はロッドを操作する腕をなるべく川側に出したまま、キャスティング全体の起点を前に保ちつつ、自分より後ろに膨らむDループの量を最小限に抑えながら力強いキャストを行なった。



この記事はFlyFisher2013年9月号を再編集したものです



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2024/6/24

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