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スカジットタクティクス入門│第3回

スカジットタクティクスを全9回でお伝えしていく

文・写真=仲野靖
flyfisher photo

ラインが得る抵抗と遠心力を生かして水面にセットしたラインを無駄なく打ち返す

前回、このキャストは7つの手順で構成されていることをお伝えした。具体的にはキャストの開始にあたり、まずロッドティップを水面すれすれの状態にして、その状態から適正なオーバーハングを取る「ハングダウン」。次がそこからロッドティップを持ち上げて、シンクティップを水面方向に引き上げながら、フライを適正な位置に移動させる「ピックアップ」の操作だ。そして、移動させたフライの着水を確認したあとは、ロッドティップをキャストアウト方向に下ろし、水上にスイープを開始するのに適した形にラインを置く「セット」を行なうことで、準備段階に当たる前半の3ステップが完了する。

そして、今回はこのセットに続く4ステップを詳しく見ていく。まずは水面に置いたラインを水面から剥がしていく「スイープ」。この時、ロッドティップの軌道は上空から見て楕円になるように動かすが、そのことによって得られる遠心力を生かすために、まず「45度のスラスト」と呼ぶ、投げる方向に対してロッドを斜め後ろ45度方向に突き出すような操作を行なう。そのまま、今度は投げたい方向にライン転換させる「ターンオーバー」を経て、最後はこのキャストでは「ストローク」と呼ぶキャストアウトの動作に移る。

後半の4ステップは、実際には一連の途切れのない動作だ。その中で、それぞれの段階で押さえるべきポイントを仲野さんのデモンストレーションにより詳しく見て行く。また、このキャストではロッドをどの方向に曲げれば最も効率よくラインに力を伝えられるかといった事柄についても意識的に管理しており、そのコントロールはおもにリールの面を見ることで行なっている。こうした点も多くの人にとって実践的で分かりやすく、実際にやってみるとツーハンド・ロッドのキャスティングを始めたばかりの人でも短時間にキャストの感覚を比較的得やすく、また、実は経験者にも奥の深さが感じられるものとなっている

 

 

スイープからストロークまでの一連

「フリスビーの投げ始めをイメージしてスイープを開始。ロッドティップは水面に這わせるように動かす」

水面にセットしたラインは、全体に「イリプスムーブメント」と呼ぶ、上空から見てロッドティップを楕円の軌道に動かすイメージで操作し、スムーズにねらった方向に打ち返す。その際に大切なことは、ロッドのまさに動かし始めから動かし終わりまで、常にラインのテンションが掛かった状態にすることだ。それこそが「持続するアンカー」を利用する大きな特徴であり、安定したキャストの源泉になる

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01、セットの完了

ピックアップしてきたラインは、次に最終的にキャストアウトしたい方向に向かってロッドティップを下ろして水面にセットする。この時のコツは前回の解説を参照していただきたいが、ロッドティップは場合によっては水の中に入れてもよい

 

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02、スイープの準備

フライとシンクティップを含むラインがしっかり水に馴染む間を取り(急いで投げようとしない)、ロッドティップは水面近くに固定・維持する。ただし、実際の釣りでは流れの速さに応じて、あえてこの時間を短く取りスピーディーに投げる場合もある

 

※この続きは、月額700円+税で有料メンバー登録するとご覧いただけます。

2024/6/10

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最新号 2025年3月号 Early Spring

【特集】ロッドティップで描く、トリックキャスト

プレゼンテーション時、さまざまな形状でラインを落とすためのキャストは「トリックキャスト」と総称されます。
日本での釣りで主に使われるのはアップストリーム、もしくはアップクロスでフライをナチュラルに流すためですが、これには長めのティペット、リーダーを使うことが有利だと多くの人が認めるところ。しかしそれだと、いかんせん取り扱いがとても難しい……。
というわけで、扱いやすい短めのリーダーシステムで、ある程度ナチュラルに流すことができるプレゼンテーションテクニックのあれこれを紹介します。 また前号に引き続き、エキスパートのマスの気持ち考察、「タイトループ」セクションではグラスロッド・メーカーへのインタビュー、グラス特有のアクションを味わうキャスティングのコツなどを紹介します。


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