第9回 パラシュートハックル 編

基本的なハックル選びと留め方

嶋崎 了=解説

嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。
渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。
ティムコ社フライ用品開発担当として、『TMCバイス』、『TMCアジャスタブルマグネットボビン』、『Jストリーム』シリーズなど主要製品を数多く手がける。


前回のポストに引き続き、今回はパラシュートパターンのハックルについて。ポストに巻きつけるフェザーの選び方、フライの機能を損なわない全体のバランスについて解説します。

Q パラシュートパターンに巻くハックルには、どのようなものが適していますか?

A ストークが細く、適度な張りをもったコックハックルです。


パラシュートパターンに限らず、巻きやすいハックルの定義としては、ストークが細くしなやかなもの。ファイバーがストレートで適度な張りがあるものです。

選択肢としては、大きく分けてコックネックとコックサドルがありますが、先に書いた条件が満たされていればどちらでも構いません。
最もよく使われているのはコックネック

こちらはコックサドル。ほとんどのフェザーが同じサイズなので、特定のサイズのフライを量産したい場合に向いている

ファイバーが太く柔らかいものは吸水しやすい傾向がありますので、浮力の持続性が弱く、濡れてしまった場合も復活させにくいですね。

ただし、昨今の高性能なフロータントはこれらの短所をカバーしてくれます。どのようなハックルを選ぶかは、フロータントとの相性や自分のドリフト能力にもよるところも大きいといえます。

Q  (コックネックの場合)ケープからフェザーを選ぶ際には、どこを見ていますか?

A  まずはファイバーの長さで選択します。


短めのファイバーを厚く巻く方や、長めのファイバーを少なめに巻く方など、ハックルのスタイルにはそれぞれの好みがあります。

私の場合は、張りのある長めのファイバーを使用することが多いですね。広い面積で水面を捉えたほうが、ドラッグが掛かりにくいからです。

浮力やフライ自体の耐久性に関しては、ハックルを厚く密に巻いたほうに分が上がりますが、私はドラッグが掛かりにくいことを優先しています。先にも書きましたが、浮力の耐久性に関しては高性能フロータントでかなりカバーできます。
こちらはスタンダードなハックルのバランス(使用フックは『TMC100』12番)

長めのファイバーを少なめに巻いたスタイル。広い面積で水面をとらえる

短めのファイバーを密に巻いたスタイル。水面上で空気を内包しやすい

また、ストークの太さに関しては、より細くしなやかで耐久性のあるもが理想です。が、使いたいカラーが条件に適していない時は仕方なくそれを使うようにしています。

ハックルは安価なマテリアルではないので、ショップで購入する時はよく選んで買いたいですね。自分で判断できない場合はショップの人に聞いて購入するのが安心です。

Q  ポストにはどのように留めますか?

A  ポストを立てる際に同時にハックルを巻き上げています。


立てたポストにハックルを先に留めるか、後で留めるかですが、私は先派です。とはいえ、これはどちらでも構いません。タイイングが複雑な場合は後留めがいいでしょう。

私の場合、無駄をなくすことと、少しでもポストの強度を上げるために、ポストを作る(立てる)時に同時にストークを巻き上げるようにしています。
ポストに巻いた時に、ハックルの表が上を向くように、ポスト巻き上げ時に同時にストークを留める

留める向きは、巻き上がり時にハックルの表側が上を向くように巻いています。

これは長いティペットなどを使用する時に空気抵抗を抑えたいからですが、ショートティペット・スタイルの方はどちらでも構わないと思います。

あえて逆巻き(ハックルの裏側が上)にして、ボディーを水面下に入りやすくしている方もいます。
ハックルの裏側が上を向いて留められた状態。長いリーダーシステムでは、キャスト時に回転しやすくなる

私の場合は同時に巻き上げるので下処理はありませんが、後付けの場合の下処理は、留める箇所をフラットに、凸凹が出ないようにしましょう。凸凹のあるポストでは、ハックルが暴れやすくなるからです。
12番フック(『TMC100』)と使用するコックネックのフェザー。ポストに固定する根元部分はファイバーをむしっておく
ポストに巻きつける際の下処理でファイバーをむしるが、このように巻く側に段差を付けておくと巻き始めにハックル(ファイバー)が暴れない

Q  まず選ぶとすれば、どんなカラーがよいでしょうか。

A  コックネックのブラウン系が汎用性も高く、おすすめです。


色々なサイズのフライに使用したい時は、コックネックをおすすめします。

コックサドルは個体差もありますが、ほとんどのフェザーが同じサイズなので、フライも3サイズくらいの決まった大きさのものしか巻けないからです。
コックサドル(左)とコックネックのフェザー。コックネックは、1枚のケープからさまざまなサイズのフェザーを利用できるのがメリット。一方のコックサドルは、ケープからとれるフェザーはほとんど同じサイズになる

カラーに関しては日本の渓流で使う場合を基準にすると、ブラウン、ジンジャー、グリズリー、ブラック、ダン、クリームなどが定番とえいますが、これも好みによります。

私だったら春先から禁漁までを見据えるとブラウン系? といったところです。余裕があれば3色くらいは用意できればよいですね。

次回
【隔週連載】嶋崎了のフライタイイング基礎知識
第10回「スタンダード・ドライフライのウイング編」は
2017年12月18日(月)公開予定です。

2017/12/4

最新号 2017年12月号 Fall

特集は「川を読む」。秋田県の役内川を例に、まさに「ここに尺ヤマメがいた」というポイントをピックアップ。流れのようす、底石の入り方、水面の波立ちぐあいなどなど、良型が付く場所の特徴を解説します。 また伝説的ともいうべきリールの名品「ボンホフ」と、その製法を忠実に踏襲しようと試みた男の物語を収録。道具に対する釣り人の情熱と愛を感じる内容です。 そのほか、イワナが浮いてフライをくわえる瞬間までばっちり見えるような源流釣行、北海道のアメマス事情、またキューバやオーストラリアのソルトゲームなども掲載。渓流オフシーズンの今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。
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