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忍野ノート2020

VOL.09 9月13日

佐々木岳大=写真と文
先週も釣ったポイント。対戦相手も同じ?

忍草漁協管轄の桂川、通称「忍野」エリアのようすをレポートします。

《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ)
1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。



同じ流れを二度釣ることはできない


決して長くもない流程を長いあいだ釣っていると、忘れたころ、誰かに「飽きないの……?」と尋ねられることがあります。

答えは、(飽きている側面があることを完全には否定しないが……)冒頭のタイトルどおり「同じ流れを二度釣ることはできない」からです。

この日に釣ったポイントは、先週末に草刈りの草が大量に流れていた自衛隊橋上流護岸上のストレート(忍野フィッシングマップ:ポイント写真17)。

先週、草刈りの草が流れていない状況を釣りたい! と思いながら釣っていたので、足が向いてしまったのかも?

ライズ頻度からの予想


同行者と話をしながらようすをうかがいますが、高いライズ頻度と、目につく水生昆虫の数がまったく比例しません。

ここで私は、目では見えないミッジピューパやシャックなどが水面を流下しているのではないかと予測し、同行者からもらった水面直下で使うミッジのイマージャーフライ#22をティペットに結びました。

結果、反応が得られないわけではないのですが、空振りとバラシが続きます……。

けっこうな数のライズをつぶしましたが、小振りながら、ようやく1尾のマスをランディングできたので捕食物を見てみることにします。

捕食物をシャーレに出してみると、ライズ頻度と、目につく水生昆虫の数が比例しない理由は明らかです。

捕食されていたのは、またもや「植物」でした。

ときどき水面から飛び立つ小さなメイフライだけでなく、対岸から大きく流れにせり出した樹木から落ちる種子のようなものを捕食していたので、捕食頻度が高かったようです。

高いライズ頻度に、まんまと騙されてしまいました!

黄色く見えるのは植物。たくさん捕食されています

対岸からせり出す樹木が水面に触れているため、多くの種子が水面に落ちる

不健康体


さすがにこの植物をイミテートしたフライは持ち合わせていないので、私が注目したのは、捕食されていたメイフライのウイングです。

サイズもまちまちで、数種類のメイフライが捕食されていますが、ショートウイングイマージャーや羽化失敗の不健康体など、ウイングがきちんと伸びている個体は全然入っていません。

ここで私は、CDCをハーフスペントに巻き留めた#24のフライを結ぶことにしました。

少し大きめのメイフライも捕食されてはいたのですが、散々フッキングミスを繰り返してプレッシャーを与えすぎていると考え、小さなパターンを選択しました。

スレッドと1枚のCDCだけで巻いた手抜きパターン。実力は侮れない

すると、先ほどまでの連続バラシが嘘のようです。

唾液で浮力を殺して不健康体を演出するプレゼンテーションで、釣果が安定するようになりました。

ポイントの先頭でもっとも高い頻度でライズを繰り返していたヤマメのストマックを確認すると……やっぱり!

ウイングの伸びきっていないメイフライが捕食されていました。

苦労はしましたが、捕食物を確認して選んだフライで結果が出せて、満足度の高い忍野らしい釣りを満喫することができました。

この個体からも、ウイングの伸びきったメイフライの捕食は確認できなかった

この日は多くのフライフィッシャーで賑わい、夕方はポイント難民

使用タックル

ロッド:R.L.Winston AIR 8’6” #3
リール:Bauer RX1
ライン:Epic Glass Line DT-3
リーダー:10ft 4X
ティペット:フロロカーボン6X
フライ:ミッジイマージャー#22, CDCトラップドダン#24など

2020/10/6

つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…
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最新号 2020年12月号 Mid Autumn

特集
共鳴するウエットフライ
エキスパートが実践していること

 今号の特集はウエットフライ。十人十色、という言葉がこれほどマッチするフライフィッシングはないかもしれません。エキスパートたちには「この釣りを始めたきっかけ」から、今実践しているテクニックまで、さまざまな質問をぶつけてみました。すると、実は似たような釣り方をしていることも少なくない、ということに気づかされました。
 先般22年ぶりの復刊となった、佐藤成史さん著『瀬戸際の渓魚たち』。Special Topicsと題しまして、阿武隈高地の天然イワナについて現状を取材してきました。日本列島形成の背景をもとに浮かび上がってきたのは、イワナたちの「山越え」という仮説。人類の営みと比べたら気の遠くなるような時間をかけて脈々と受け継がれてきたイワナたちの「血」。そんな歴史を感じることのできる幸福と、現状への警鐘があぶり出されています。
 巻末の長編特集は、来日も幾度となく果たし、「フライキャスティング」に大変革をもたらしたといってよい、メル・クリーガーさんを紹介しています。メルさんをよく知る5名に、知られざる側面を含めた彼の功績、人となりを語ってもらいました。
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