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忍野ノート2020

VOL.08 9月5日

佐々木岳大=写真と文
9月に入ると、急に秋の気配が濃厚になった


忍草漁協管轄の桂川、通称「忍野」エリアのようすをレポートします。


《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ)
1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。




草を食べる


この日、苦戦したポイント。捕食のヒントはこの画像にあった!

自衛隊橋上流の対岸(忍野フィシングマップ:ポイント写真18)に、いいヤマメがついているのは以前から知っていました。

川幅もあり、またぐ流れも太いので簡単ではないのですが、この日は水量の関係で手前の流れとの流速差があまりないように感じました。

対岸の水草に身を隠すように寄り添い、ときどきライズを繰り返すヤマメもリラックスしているような、してないような……(ここは忍野だ!)。

なんとなくそのようすから、「これは釣れるのでは?」と安易に手を出したのが運の尽き?

数度の空振りを繰り返すだけで、1度もフッキングまで持ち込むことができません……。

たまに「オッ!」というドリフトもあって、ずいぶん長い距離をフライの下について、品定めされるような惜しい場面もあったのですが……。

釣れたヤマメが定位していた水草のかたまり

何かを変えなければ、いつまで投げ続けても結果が出ないと思い、一番安易な方法としてティペットを1mほど足すことにしました。

バックスペースは充分で、キャスティングスペースの問題はありません。

問題は「対岸ギリギリ」というシチュエーションです。

方向性は注意深く投げることで解決できる場合が普通なのですが、距離感は感覚に頼る部分が大きく、このポイントでは対岸のアシを釣ってしまえば最悪ゲームオーバーです。

対岸を釣ってしまうリスクを減らすため、ロールキャストで右カーブを作り、上流側へのスタックメンディングでフライを徐々に岸際へ誘導し、フライファーストでフライを送り込みました。

明らかにドリフトの精度が上がって、きれいにレーンに乗ったトラップドダンのパターンを、ようやくヤマメが口にしてくれました。

ヤマメのストマック。たくさんの水草が捕食されていた……

ようやく釣れてくれたヤマメのストマックの中身を確認すると、ヤマメの定位していた場所に茂っていた水草が捕食されています……。

忍野では過去にも草片を捕食するベジタリアンのようなマスに何度も苦労した経験があるのですが、このヤマメはシャックやメイフライのダンも捕食してくれていて助かりました。

ストマックの内容が100%植物片で、半日粘った……なんてこともあったので……。

草の中で食べる


苦労しましたが、ようやく1尾釣れてくれたのでポイントを変えることにします。
(本当は同じ場所でもう数尾ライズしていたのですが、心が折れました!)

少し上流に歩くと、今シーズン後半はいつ通りかかってもライズの見られる自衛隊橋上流護岸上(忍野フィッシングマップ:ポイント写真17)が大変なことになっています!

狭いエリアの流芯で、ヤマメとニジマスが、我先にと口を水面に出してライズを繰り返しているではないですか!

圧巻の光景です!

いったい何尾のマスがライズしているのか……、たまにはいい時もある!

上の画像でも分かると思うのですが、問題は流芯を流れる多量の草です。

この草は夏の忍野名物、「草刈りの草」です。

地元の方が好意で刈ってくれていて、足場も良くなるのは間違いないのですが、川に捨てられちゃうんですよね……。

草刈りが終わるまで一定時間流れるのですが、草がマスの注意を水面に向けるのか? 草についていた何かしらの陸生昆虫が一緒に流下するのか?

何にせよ、マスの活性が上がるスイッチになっているのはまちがいなさそうです。

この草刈りの草が流れているとき、1投ごとに引っかかる草にイライラした経験から学んだ私的対処法は2つあります。

ひとつは、ドライフライを使わず、水面直下のステージで勝負すること。

もうひとつは、極力アップストリームに近い角度でアプローチして、ティペットが草をまたぐ角度を浅くすることです。

ダウンストリームでもよいと思われるかもしれませんが、ダウンストリームで送り込むと、フライが沈みすぎてストライクのタイミングがとりづらいので難易度が高くなると思います。

ハーフスペントに巻き留めた、ポリウイングのパターン。浮きすぎず、沈みすぎないウイングの抵抗が大切

たくさんのニジマスが釣れ、残ったヤマメはやや手こずりもしましたが大満足です!

久しぶりに楽しいマス釣りを堪能できました。

何だかんだ言ってみても、やっぱり釣れると素直に楽しい!

ヤマメの気難しさには、いつも翻弄される

使用タックル

ロッド:R.L.Winston AIR 8’6” #3
リール:Bauer SST3
ライン:Epic Glass Line DT-3
リーダー:10ft 4X
ティペット:フロロカーボン6X
フライ:CDCトラップドダン#22, ポリスピナー#24など

2020/10/6

つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…
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最新号 2020年12月号 Mid Autumn

特集
共鳴するウエットフライ
エキスパートが実践していること

 今号の特集はウエットフライ。十人十色、という言葉がこれほどマッチするフライフィッシングはないかもしれません。エキスパートたちには「この釣りを始めたきっかけ」から、今実践しているテクニックまで、さまざまな質問をぶつけてみました。すると、実は似たような釣り方をしていることも少なくない、ということに気づかされました。
 先般22年ぶりの復刊となった、佐藤成史さん著『瀬戸際の渓魚たち』。Special Topicsと題しまして、阿武隈高地の天然イワナについて現状を取材してきました。日本列島形成の背景をもとに浮かび上がってきたのは、イワナたちの「山越え」という仮説。人類の営みと比べたら気の遠くなるような時間をかけて脈々と受け継がれてきたイワナたちの「血」。そんな歴史を感じることのできる幸福と、現状への警鐘があぶり出されています。
 巻末の長編特集は、来日も幾度となく果たし、「フライキャスティング」に大変革をもたらしたといってよい、メル・クリーガーさんを紹介しています。メルさんをよく知る5名に、知られざる側面を含めた彼の功績、人となりを語ってもらいました。
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