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忍野ノート2020

VOL.07 8月16日

佐々木岳大=文と写真


忍草漁協管轄の桂川、通称「忍野」エリアのようすをレポートします。


《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ)
1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。




ゼブラミッジ


「見えている魚は釣れない」、古くから伝えられるこの格言に、真正面から挑戦するのが忍野の釣りなのかもしれません。

ブラインドの釣りがないわけではありませんが、基本的には魚影を見つけるか、ライズを見つけてからアプローチをするフライフィッシャーがほとんどなのではないかと思います。

一般的なお盆休みの最終日と言える8月16日の釣行は、連休での賑わいがそのままマスへのプレッシャーにつながったような日で、まさに「見えている魚が釣れない」1日でした。

厳密に言うと、釣れないわけではないのですが、同じポイントで数尾掛けたあとが続きません。

ゼブラミッジとソフトハックル。本当は動きのあるマテリアルを持ったフライを沈めたいところ……

いくつかのパターンを試すと、最初の数投はフライにスッと近づいてくるのですが、口にするまでにはいたりません。

投げるほどに興味を失い、その状態でマスの口もとドンピシャリのストライクで流れても、フイッと避けられてしまう有様です……。

残念ながら快心の釣りにまで持ち込むことはできなかったのですが、唯一、アプローチがうまく決まった際にフッキングまで持ち込めたメソッドは、魚の口もとでフライを上昇させる動きを演出する方法でした(水生昆虫のイマージングを演出する方法で、いわゆる、ライゼリング・リフトと呼ばれるメソッドに近しい釣り方)。

本来であれば、フリンフやソフトハックルのような、フライ自体の動きにも期待できるパターンを使用したいところなのですが、マスの定位しているレベルが深く、スレッドにワイヤーでリブを入れただけのゼブラミッジ#16を、ストーンと水底まで沈め、マスの口もとをかすめるように上昇させる演出でいくつかのマスを釣ることができました。

このメソッドは私的に、マスの下からフライを視界に入れ、(そのコントロールは容易ではないのですが)できるだけゆっくりとしたスピードでフライを持ち上げてやることだと思っています。

その為、水深のあるポイントでは、フライの沈下速度が重要になることが多く、私のタイイングするゼブラミッジは、#16で.015のレッドワイヤー12回転を基準としています。

実際の重さ以上に、このシンプルな形状はテールやレッグなど、沈下の際に抵抗となる部分がないので、忍野では非常に使い勝手のよいフライとして重宝しています。

ヤマメは1投目にするどく反応してくれるが、すぐに反応しなくなるので、同じフライを続けて投げないようにしている

スレきってはいるが、コンディションのよいマスはよく引く!

バンクを釣る


現場で釣り人の多さを目の当たりにして、お盆休み最終日だと気がついたのですが、家を出るまで「今日は大きなアトラクタードライを使って釣りたい!」と考えていました。

とりあえずサイトニンフィングで釣果を得ることができたので、初志貫徹? アトラクタードライの釣りをするために、リーダーシステムも変えて挑戦してみることにします。

空気抵抗の大きなフライをバンク際のピンスポットに落としたいので、太いランニングラインをバットセクションに流用したリーダーシステム

この日はバンク際でもライズがあまり見られず、魚の潜んでいそうな岸際へフライを打ち込んでみるものの、反応が得られません……。

こうなると、フライを入れるのがより困難な場所をタイトにねらうしかありません。

ティペットは4Xですから、そう簡単には切れないと信じて、慎重に対岸の難しいポイントを攻めるのですが、太い流れをまたいでいるので、ラインが引かれてしまい、マスがフライに食いつくまでの間をうまく作ることができません。

ティペットを長くすると、オーバーハングした木の枝の下をとおして、対岸のバンクを打つことがさらに難しくなってしまいます……。

そこで、クロスから大きく下流側に立ち位置を変えて、アップクロスでアプローチすることにしました。

#8のChubby Chernobylに飛びついてくれた若いブラウントラウト

作戦は成功です。

少しの違いではありますが、フライが今までよりも、ほんの1秒程度引かれずに浮いただけで、元気のよいブラウントラウトが大きなフライをバックリとくわえてくれました。

立ち位置を変えることで、ポイントまでの距離は長くなってしまったのですが、フライラインが流れをまたぐ角度が浅くなったことで、食わせの間を作ることに成功しました。

ダウンクロスやクロスでアプローチすることも多い忍野なのですが、アップのアプローチが有効な場合も決して少なくありません。

フリーストーンの渓流釣りとは違うイメージもありますが、状況さえ許されれば、魚に気づかれないように下流から近づき、アップで釣ることが基本なのかもしれません。

と言ったら、猛烈に反論してくる知人数名の顔が浮かびますが……(笑)、アプローチの角度ひとつとっても、様々な考えで楽しめる懐の深いフィールドであることは間違いないと思います。

使用タックル

ロッド:Epic Fastglass 8’00” #4
リール:Bauer RX1
ライン:Epic Glass Line DT-4F
リーダー:(サイトニンフィング)10ft 4X , (アトラクタードライ)11ft 4Xホットバット
ティペット:フロロカーボン4X〜6X
フライ:ゼブラミッジ#16, Chubby Chernobyl #8など

2020/9/4

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瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…
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最新号 2020年12月号 Mid Autumn

特集
共鳴するウエットフライ
エキスパートが実践していること

 今号の特集はウエットフライ。十人十色、という言葉がこれほどマッチするフライフィッシングはないかもしれません。エキスパートたちには「この釣りを始めたきっかけ」から、今実践しているテクニックまで、さまざまな質問をぶつけてみました。すると、実は似たような釣り方をしていることも少なくない、ということに気づかされました。
 先般22年ぶりの復刊となった、佐藤成史さん著『瀬戸際の渓魚たち』。Special Topicsと題しまして、阿武隈高地の天然イワナについて現状を取材してきました。日本列島形成の背景をもとに浮かび上がってきたのは、イワナたちの「山越え」という仮説。人類の営みと比べたら気の遠くなるような時間をかけて脈々と受け継がれてきたイワナたちの「血」。そんな歴史を感じることのできる幸福と、現状への警鐘があぶり出されています。
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