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忍野ノート2020

VOL.06 8月1日

佐々木岳大=文と写真


忍草漁協管轄の桂川、通称「忍野」エリアのようすをレポートします。


《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ)
1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。




ニンフィング


久しぶりにスカッと晴れた天候の忍野釣行です。

この日は旧金田一(忍野フィッシングマップ・ポイント写真28)から釣り始めようと準備していると、ちょうど同じタイミングで到着したRさんと会い、一緒に釣り始めることにしました。

最初に立った川岸からようすを見ると、まだ梅雨の影響をひきずっていて、水位が高く若干の濁りも入っています。

ライズを探して歩いてみたり、この時期であれば陸生昆虫などのフライでバンクを叩いてみるなどの選択肢もあるのですが、この日はリーダーにインジケーターを付けたニンフィングを試してみようという気分だったので、ビーズヘッドの重たいニンフ2つに、ショットも2つ追加したリグを組みました。

インジケーターとフライ

インジケーターはエアロック・インジケーターのSサイズで、インジケーターから1つ目のフライまでのタナ下も1m以上とってある、それはそれは投げずらそうなリグです。

Rさんは「そんな大きなインジケーターじゃ、アタリが出ませんよ~」と笑っています。

ところが、この大きく浮力満点のインジケーターは、1投目からズッッボォォー! と水飛沫をあげて消し込まれました。

上がってきたのはニジマスで、コンディションのよい魚体ではあるものの、サイズは25cmほどと小ぶりです。

一部始終を見ていたRさんも笑ってしまうほどの消し込みっぷりで、このような小ぶりなニジマスが、なぜ浮力の強いインジケーターを引き込むことができたのか? 不思議な顔をしています。

ニジマスとMSC

私は職業柄、忍野でビギナーのガイドをすることもあるのですが、お客様がインジケーター・ニンフィングのリグを組んで釣られている場合がよくあります。

そのリグを見させていただく際、私が最も気にするのは、どのようなフライが結ばれているのかではありません。(フライも大事なのは勿論ですが!)

確認するのはインジケーターの浮力とタナ下、そしてフライの重量です。

つまり重要なのは、そのポイントでマスがフライに触れた瞬間、インジケーターが反応してくれるバランスでリグが組めているか? という事に尽きると考えています。

確かに私の使用したインジケーターは浮力が強すぎると考えることもできるのですが、吊るしているリグが重ければ、当たりを明確に出すこともできるという根拠に基づいています。

忍野ではインジケーターを使うと、マスがフライを咥えてもすぐに吐き出してしまい、アタリが出ないという話をよく耳にします。

しかし私的には、アタリを出すためのリグを試行錯誤するのも、釣りの幅を広げる楽しみのひとつだと考えて楽しんでいます。

捕食物の見えないライズ


午後からは大きく場所を変えて、上流の茂平橋(忍野フィッシングマップ:茂平橋)に向かいました。

このポイントは、通りかかるたびにライズが確認できるのですが、いつも先行者がいて、最近はサオを出すことができていませんでした。

この日はたまたま、フライフィッシャーの姿がなく、ポツポツとライズも確認できます。

Rさんがライズを確認すると、すぐに茂平橋の下流・右岸にポジションを決めましたので、私は上流側の護岸上に立ちようすをうかがってみることにします。

足場が高いので、マスの捕食行動は丸見えなのですが、捕食物はまったく見えません。

完全に水面の流下物を捕食していれば、何かしらは見えてもいいのでは? と考え、#22に巻いた水面直下用のフライRS-2をパイロットフライとして結ぶことにしました。

1投目からよい反応を得られるのですが、このポイントは思ったよりもドリフトが困難で、明らかにドラッグのかかったフライを追いかけはするものの、捕食には至らないという状況で、なかなかヒットさせることができません。

たまに口を開けてくれるマスの挙動に、渾身のアワセで空振りを繰り返し、イライラも募りはじめた頃、少し状況が変わります。

小さなメイフライが水面から飛び立つ姿が見られるようになり、羽化直後に翅をパタパタと動かしている個体を捕食するシーンを視認することができました。

メイフライ

すかさずフライを#22のCDCトラップドパターンに結びかえると、すぐにフッキングさせることができました! が…無情にもすぐにフックが外れてしまいました。

実はこのあと、同じことを4度も繰り返し、目の前のライズを次々とつぶしてしまいます…。

最終的に、最も離れていた場所で捕食行動を繰り返していたニジマスを、腰の引けたやりとりでようやくランディングすることができたのですが、苦労して釣れた1尾はサイズを問わず嬉しいものです。

たくさんのバラしたマスは、ドリフトの精度が悪く、フッキングが浅かったのではないかと予想しています。

このポイントは今シーズン、もう一度リベンジ釣行したいと思います。


ニンフィング使用タックル

ロッド:R.L.Winston Super10 10ft 4wt,
リール:Bauer RX1
ライン:DT-4
リーダー:10ft 4X
ティペット:フロロカーボン4X 4ft
フライ:MSCスペシャル #12, ホットビーズ・ゼブラミッジ#16など

ドライフライ使用タックル

ロッド:R.L.Winston AIR 8ft 4wt,
リール:Bauer SST-3
ライン:DT-4
リーダー:10ft 4X
ティペット:フロロカーボン 6X 5ft
フライ:RS-2 #22, CDCトラップド#22など

2020/9/2

つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…
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最新号 2020年12月号 Mid Autumn

特集
共鳴するウエットフライ
エキスパートが実践していること

 今号の特集はウエットフライ。十人十色、という言葉がこれほどマッチするフライフィッシングはないかもしれません。エキスパートたちには「この釣りを始めたきっかけ」から、今実践しているテクニックまで、さまざまな質問をぶつけてみました。すると、実は似たような釣り方をしていることも少なくない、ということに気づかされました。
 先般22年ぶりの復刊となった、佐藤成史さん著『瀬戸際の渓魚たち』。Special Topicsと題しまして、阿武隈高地の天然イワナについて現状を取材してきました。日本列島形成の背景をもとに浮かび上がってきたのは、イワナたちの「山越え」という仮説。人類の営みと比べたら気の遠くなるような時間をかけて脈々と受け継がれてきたイワナたちの「血」。そんな歴史を感じることのできる幸福と、現状への警鐘があぶり出されています。
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