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忍野ノート2020

VOL.04 6月29日

佐々木岳大=文と写真

忍草漁協管轄の桂川、通称「忍野」エリアのようすをレポートします。


《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ)
1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。




前回(VOL.03)の釣行時、フォームビートルで釣れなかったいくつかのマスが、パラパラとハッチしていたアカマダラカゲロウ(以下アカマダラ)を捕食しているようすだったので、同じポイントへ違うハッチの釣りを試しに行ってみました。

写真上部の藻からハッチするアカマダラを、マスが待ち受けて捕食していたポイント

ポイントは膳棚橋の少し下流、現場到着は16時頃で、すでにライズしているマスが数尾見られます。

足場が高いこともあり、突然水面にあらわれる淡黄のダンが、翅を動かした瞬間バッサリと捕食されるようすも丸見えです。

この季節は日没も遅いので、意識的にゆっくりと準備しながら、周囲のようすを観察します。

すると、水深のあるポイントに定位しているマスは、何かを追って急浮上し、水面近くでライズしていることに気がつきました。

ときどき捕食に失敗したのか、ライズ地点からアカマダラのダンが飛び立っていきます。

これは明らかに、イマージングのために水面へ浮上しているフローティングニンフを捕食しているという仮説を立てるのに充分な根拠となります。

また、藻の上に定位するマスは、ハッチ直後に翅を動かしているダンを捕食しているようすが見えているので、こちらはダンパターンでの知恵比べから始めてみて問題なさそうです。

この日、アカマダラのフローティングニンフを捕食しているマスに、水面を流れるパターンへの反応は薄かった

フローティングニンフの釣り


ポイントを荒らさないようにするため、水深のある手前岸でアカマダラのフローティングニンフを捕食していると考えられるマスをターゲットとすることにしました。

結んだフライは#20の半沈パラシュートで、フックサイズに対して、気持ち大きめのハックルが薄めに巻かれています。

まずは最も流速の速い流れでライズを繰り返す、選球眼のあまそうなマスへ投げてみましたが反応を得られません。

違うマスにも投げてみましたが、こちらも全く反応してくれません……。

首をかしげていると、少し下流で釣っていた漁協組合員のWさんが、釣れたマスの胃の内容物を見せにきてくれました。

今にも抜け出しそうなアカマダラのフローティングニンフ

フライのサイズは合っていそうなので、どうやらフライを流している層に問題がありそうです。

CDCをハンプバックスタイルに巻きとめたキャプティブダンに結びかえ、フロータントのかわりにツバをつけ、水面下を流す作戦にきりかえた途端に状況は一変しました。

ほとんど入れ食い状態となり、短い時間でフローティングニンフを捕食していると思われるライズを、ほぼすべて釣りあげることができました。

ポッカリ浮くでもなく、ブクブクと沈むわけでもない。忍野ではそんなパターンが活躍することが少なくない

ダンの釣り


さて、すっかり気をよくして、今度は藻の上に姿をさらし、流れてくるダンを盛んに捕食しているマスをねらいます。

結んだのはグラブフックの#18に巻いたCDCのダンパターンです。

ライズの頻度から、楽勝だろうと高を括っていたのですが、これがなかなか……。

流しているフライに口をつけてくれるまではいくのですが、ぜんぜん口を開けてくれません!

何度も激しい空振りを繰り返すうちに、どんどん警戒心が高まり、投げるたびに釣れる気がしなくなっていきます……。

フライのサイズは飛んでいた実物と合わせて間違いないと思うのですが、流下している実物を確認したわけではないので、サイズを疑ってみることに。

すると#20の同じパターンでようやく結果がでるようになり、釣れるモードに突入できました。

釣れない時にムキになり、ドリフトだけを疑って「何も変えない」ミスを過去に何度も犯してきているのですが、今回もまさに同じミスで結果を出すのに時間をかけてしまいました。

反省して次こそは! ……と思うのですが、多分また同じことをやってしまう自分の想像がつきます(笑)。

Wさんが釣った別のマスの胃内容物。ウイングが伸びきっていなくて、釣れた#20のフライよりも少し大きい

たくさんのエサをひっきりなしに捕食しているマスは、サイズからは想像できないほどの抵抗を見せるので、ティペットのサイズには注意が必要

使用タックル


ロッド:Epic FastglassⅡ 370 プロトタイプ
リール:Bauer RX1
ライン:DT-3
リーダー:7ft 5X
ティペット:フロロカーボン6X
フライ:半沈パラシュート#20、キャプティブダン#18、CDCダン#18~#20

2020/7/20

つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…
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最新号 2020年12月号 Mid Autumn

特集
共鳴するウエットフライ
エキスパートが実践していること

 今号の特集はウエットフライ。十人十色、という言葉がこれほどマッチするフライフィッシングはないかもしれません。エキスパートたちには「この釣りを始めたきっかけ」から、今実践しているテクニックまで、さまざまな質問をぶつけてみました。すると、実は似たような釣り方をしていることも少なくない、ということに気づかされました。
 先般22年ぶりの復刊となった、佐藤成史さん著『瀬戸際の渓魚たち』。Special Topicsと題しまして、阿武隈高地の天然イワナについて現状を取材してきました。日本列島形成の背景をもとに浮かび上がってきたのは、イワナたちの「山越え」という仮説。人類の営みと比べたら気の遠くなるような時間をかけて脈々と受け継がれてきたイワナたちの「血」。そんな歴史を感じることのできる幸福と、現状への警鐘があぶり出されています。
 巻末の長編特集は、来日も幾度となく果たし、「フライキャスティング」に大変革をもたらしたといってよい、メル・クリーガーさんを紹介しています。メルさんをよく知る5名に、知られざる側面を含めた彼の功績、人となりを語ってもらいました。
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