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忍野ノート2020

VOL.03 6月20日

佐々木岳大=文と写真

忍草漁協管轄の桂川、通称「忍野」エリアのようすをレポートします。


《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ)
1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。




全国的に移動要請が解除されたので、約3ケ月振りに忍野へ釣行してきました。

いたるところにソーシャルディスタンスの注意を促す看板が立っていました

昼頃に到着し、小さな子ども連れの同行者もいたので、足場のよい漁協駐車場(通称:江戸屋)から入渓することにします。

小学校1年生の女の子。この日は1人で2尾のマスをフッキング!


すぐに堰堤の少し下流で、コンディションのよさそうなニジマスが対岸でライズしているのを見つけました。

大きくかぶさった木の枝が邪魔ではありますが、挑戦してみることにします。

6Xのティペットに、フワフワしたチカブーの羽根で巻いた小さなカディス・イマージャーを結び投げてみると、少しレーンを外れたフライを猛追してフライをくわえましたが、追いきれなかったのかフッキングできず、しかもハリが軽く当たった感触がありました。

やってしまったなぁ~と思っていると、なんと! またすぐにライズをはじめました。

徹底的にねらわれ続けている、忍野のマスらしいと言えばそれまでなのですが・・・・・・。

一度失敗すると、途端に難易度があがります。ある意味、ここからが忍野らしいゲームのはじまり?

こうなると、あえてフライローテーションを繰り返す泥沼の挑戦にはまってみるか、少し時間を開けて様子をみるか・・・・・・釣り人も多く自由に動けなさそうな感じもしたので、無謀にもこのままこのニジマスに固執することにします。

足場の高いこのポイントでは、流下を目視で確認することは難しいので、場を休ませる意味合いも兼ねて飛んでいる虫を意識的に見て情報を集めます。

また、ライズの様子から捕食物は小さいか、水面下のものを捕食してそうだと判断し、様々なそれらしきパターンを片っ端からローテーションしてご機嫌をうかがいます。

どのパターンもチラ見したり、一瞬反応したりはしてくれますが、見切りの早さから警戒心を高めてライズしているのが手にとるようにわかります。

予想通り、ズッポリと泥沼にハマって後悔しはじめたころ、結んだ#22のグリフィスナットを浮かべずに流すと、今までと違って1mほどフライの下について見定める動きを見せました。

ここまで1時間以上を費やしましたが、このチャンスをものにするべく少し間をあけ、今度はもう少しフライファーストで流れる距離を稼げるようにラインの形を整えドリフトさせます。

さっきと同じように、フライの下について流れ下るニジマスが、意を決したような思い切りのよさで、やっとフライをくわえてくれました。

思わず格好つけて「ヨシッ!」とか言っちゃいましたが、ものの数秒でバラしてしまいました・・・・・・。

おおいにヘコみましたが、正直言えばこんなもんです・・・・・・。

切り替えて次行きましょう、次!

フォームビートルの威力


忍野の夏に、フォームビートルは欠かせない

ニジマスに敗戦し、移動を試みますが、堰堤下はポイントに空きがありません。

上流に目を向けると、堰堤の上は人影がないので、見にいってみることにします。

例年に比べると魚影は少ないようですが、とは言ってもここは忍野。

それなりの魚影があり、何尾かはたまにライズしている姿が見られます。

やや魚影が少ないのと、伸びきった雑草と呼ぶには立派な細木の背が高いので、釣り人が敬遠しているようです。

下流側から見る限り、流心のマスも、バンク際のマスも、かなりリラックスしたようすが見て取れます。

過去の経験から、この状況はフォームビートルが炸裂する予感がします。

リラックスしたマスの状態を極力崩さないように、下流から順番にアップストリームで釣っていく作戦でいきたいと思います。

マス釣りの基本「マスを驚かさない」は、人影をみても逃げない忍野のマスだとついつい忘れがちですが、やはり最も重要な基本であると思っています。


着水音に反応のよいフライなので、着水時に余計な警戒をされないよう、私の忍野用フォームビートルにはインジケーターがない

#17のフォームビートルを6Xに結び、アップストリームで1番手前に見えているマスの上流に落とすと、着水と同時に、結構な距離離れていた5尾ほどのマスが一斉に反応しました!

フライは流心付近のマスに投じたのですが、くわえたのはバンクの影に潜んでいた目視できていないマスで、ひったくるような激しい捕食を見せてくれました。

さっきまでのシビアなライズゲームが嘘のようなおおらかさです。


1尾釣っては、場を休ませる釣り方で少しずつ上流に進み、膳棚橋までの短い区間で15尾以上のマスを釣ることができました。

背後のブッシュの高さも、クロスで投げるほどは気にならないので、長い距離を投げて釣ることのできる、フライフィッシングらしい楽しさも魅力的な釣りとなり、ニジマスの敗戦をすっかり癒されてしまいました。


この季節、体高のあるマスの引きは格別

夕方は大型メイフライのスピナーの群飛があったが、場所が埋まっていたので、サイトニンフィングで良型のイワナなど数尾釣って帰宅の途についた

使用タックル


ロッド:R.L.Winston Pure 7ft6in #4
リール:Bauer SST3
ライン:DT-4F
リーダー:7ft6in 4X
ティペット:フロロカーボン6X
フライ:フォームビートル#17など

2020/6/26

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