忍野ノート2023
VOL.3 3月21日
佐々木岳大=文と写真《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
4日間で3度目の忍野詣。
少々飛ばしすぎな気がしなくもないが、集中的に通うことで見えることもある。
羽化量や、羽化の時間は日々ことなり、釣師はこの「日並み」に振り回される。
日並み
2日連続の釣行。
昨日の好天から嘘のように気温が低下し、春分の日らしさは微塵も感じられない。
昼前には自衛隊橋から入渓し、鐘ヶ淵堰堤の名物的大プールでは極小ユスリカを捕食しているであろうマスのライズが確認できるが、ほかのポイントは静まりかえったまま14:30を回ろうとしている…。
今日は絵にかいたような曇天なのだが、気温が一気に低下しすぎたのだろうか?
本当にこのままハッチがまとまらず一日が終わってしまうのか?サイトニンフィングでいくつかのマスの顔を拝んだとはいえ、あまりにパッとしない釣果に、帰路につくのをグズグズとためらっていた。
そうこうしているうちに小雨が降りだし、レインジャケットのない私にはチョット嫌な強さになってきた。
「これ以上強く降りだしたら嫌だなぁ」と、すぐに橋の下へ避難可能な通称:自衛隊橋上流に移動した。[忍野フィッシングマップ : ポイント写真19]
幸い雨は10分程度で止んだのだが、15時をまわったあたりで、目の前のポイントでポツポツと散発なライズが始まった。気温は相変わらず低く、時間も少し遅いが、ライズがはじまった以上、何かしらが流下していると考えるべきだ。
実は昨日の帰宅後、エラブタ仕様のクリンクハマーで反応を得られなかった理由として「真っ黒で大きなウイング」がイミテーションの要素として不足していたのではないか?と考え、視認性とウイングの存在感を両立したパターンをタイイングした。
ライズを引き起こしている流下はエラブタの可能性が高いと仮定し、さっそくこの新作フライを試してみることにする。目の前のライズは4尾で、対岸を流れる流心のライズは頻繁だが、自分の立つ右岸側のライズはかなり散発なようすである。
捕食レーンにおける捕食量の違い
結果的に、私はここでライズしていた4尾のマスをすべて釣りあげることができた。興味深いのは、左岸・流心側でライズしていた2尾と、右岸のゆるい流れでライズしていた2尾の捕食量の違いである。ライズ頻度に顕著な差があり、捕食量から考察しても、同じ時間帯であっても「レーンによって流下量が異なる」というシンプルな指針になる。
ライズを片っ端からモノにできたのは喜ばしいが、新作のフライは流速のある流れでしか通用しなかった…。
散発かつ、マスがじっくりとフライを観察できる流速のライズは、結局いつものコンパラダン#20(ライトオリーブ・エラブタ仕様)で攻略した。
「水生昆虫の羽化とマスのライズ」
忍野は「これぞフライフィッシング!」といえるような、マッチ・ザ・ハッチの釣りを体験できるフィールドである。
マスを目視し、投じたフライへの反応を見て、フライを口にさせるまでの一喜一憂を楽しんでみてはいかがだろうか?
毛鉤メモ:トラップド・パラシュート(エラブタ仕様)
別の湧水河川で実績の高いパターンだったのだが…。
タイイングは少々やっかいだが、「スペントウイングが効く」状況に遭遇する機会は少なくない。
2023/5/23