忍野ノート2022
VOL.06 4月24日
佐々木岳大=文と写真 季節感満載のバブルレーンならぬ、サクラレーン。なにげに釣りにくい…《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
小雨ながら、10℃を少し上回った程度の気温で、露出している手がかじかむほどの陽気です。
4月も後半とはいえ、忍野の釣りにはまだ防寒が必要な日もあり、レインジャケットの下にインサレーション入りのジャケットを着ているくらいがほどよい1日でした。
続・エラブタの釣り
この日は前回の釣行で疑問に感じた、エラブタマダラの捕食ステージの疑問解明をめざし、極力水深の深いポイントを釣ることを決めての忍野詣でです。水深があり上流に水生昆虫を育む絶好の瀬がある、[忍野フィッシングマップ:美術館前]を見にいくと、すでにフライフィッシャーの姿が3名も…。とはいえ、広いポイントのド真ん中付近に空きがあったので向かってみることにしました。
ポイントに立った時点で、数か所でライズが確認できますが、どのライズもかなり散発です。
20分ほど竿をつながずにようすを見ていると、ライズは散発ですが、いちおう安定した場所でライズが起こっているようです。
今日も黒いウイングを立てたエラブタが流下していく。間違いなくウイングは立っているのだが…
足場が高いので正確な判断はできないのですが、黒っぽいウイングを立てた、エラブタであろうダンの流下が目視で確認できます。前回、気にになった「エラブタのダンを捕食しているマスの、定位している深さ」に注意して、目視できる流下しているエラブタを探して目で追うと、捕食の瞬間を確認することができました。そしてやはり、マスは底近くの水深から浮かび上がってきてライズしているようすで、流下しているエラブタも複数のレーンをまたいで、風に流されるように移動しているようすが見てとれました。
前回の釣行時と似たライズの状況だと判断し、#20のコンパラダンを6Xのティペットに結び、ライズの上流にアップクロスで投げ、ライズ地点まで引っ張ったらスラックを作り、ナチュラルドリフトに切り替えるメソッドを試します。残念ながら!前回同様に釣れた数の3倍くらいの空振りを繰り返しはしましたが、数尾のマスを手にすることができました。
すべてのマスのストマックを確認したのですが、やはり綺麗にウイングの伸びたダンは吸い出されることがなく、一見DDに見える状態のダンだけが確認できました。あくまでも私的な仮説で、実際のところは今後も検証を継続したいとは思っていますが、やはりストマックポンプで吸い出されるDDのように見える捕食物は、ウイングを立てた状態で捕食されたエラブタが、マスの胃の中で揉まれてクシャクシャのウイングになった個体が多いのではないかと推測しています。
流芯で掛けたニジマス。桜の花弁のなかでライズしていた
上画像のニジマスの捕食物。やっぱりウイングはヨレヨレ
ウイングの状態も気になるところだが、あきらかに例年よりもサイズが小さい点も見逃せない
多様化してきた流下内容
現時点でマスの主食となっている水生昆虫がエラブタであることは間違いなさそうですが、この日のストマックからは、てんとう虫やデプテラ数種など、季節は確実に進んでいることを実感できる内容も見てとれました。それらのイミテーションフライを投げ、エラブタよりも効果が期待できるというわけではないのですが、流下している昆虫の種類が増えることで、フライローテーションのバリエーションが増え、「自分有利」の状況に近づけるのではないかとは思っています。テレストリアルを代表とする、盛夏に活躍が見込める黒っぽいフライや、大きなフライをいまから準備しておくことで、思わぬ幸運に恵まれることもあるカモ?と淡い期待を寄せています。
てんとう虫が捕食されていた。気温は低くても、季節は確実に進行している
大型の虫も捕食されていた。今後、ビッグフライが効くキッカケになるかもしれない?
ゆるい流れで選球眼の厳しいマスがライズする
フッキング直後、一目散に足元の葦に入り込もうとしてくる。ティペットのサイズに注意が必要
草食のマス
美術館前のポイントを数時間釣り、釣った以上にヤラかしまくったことでポイントが荒れてしまったこともあり、忍野フィッシングマップ:ポイント写真26]でイブニングを釣りたいと思い移動することにしました。強くはないものの、半日ダラダラと降り続いた雨で、さきほどまでの美術館前からも上流にあたるこのポイントは濁りが入っています…。気温も低く、レインジャケットを着ていても寒いほどで、ライズも1ヵ所のみです。エラブタを滑らせる作戦で確実に反応させることができるとは思ったのですが、空振りすればそれまでなので少し悩みます…。しかし考えてみれば、ナチュラルに流して反応が得られなければ、空振り覚悟でフライを滑らせることにすればよいと気が付き、まずはダウンでナチュラルにフライを送りこみました。
結果、いい所だ!…と思ったあたりで少しドラグが掛かり、不本意なかたちで見事に1投でフッキングして釣れてしまいました…。狙ったわけではありませんが、スケーティングで釣れてしまったので、捕食はエラブタで間違いないと思いながらストマックを確認すると…。
出ました!
例年、何度かは経験するのですが、植物(桜色の花弁)をたくさん捕食しています。
水生昆虫のたぐいも数種捕食していたので釣れたのだとは思いますが、花弁をエサとして認識して食べたのか?水生昆虫を食べる時に、一緒に吸い込んでしまったのか?考えても答えは出ないのですが、この時の水面を流れる花弁の量を考えれば後者なのかなぁ?と煮え切らないことを考えながら、この日の釣りを終えることにしました。
夕方、降雨により濁りが入った。友人の情報では上流部は濁流
このポイントで唯一ライズしたマス。その捕食物は…
淡いピンクの花弁がたくさん食べられていた
[ 使用タックル ]
ロッド:Epic Reference 9’#5 グラフェン
リール:Epic Backcountry Reel 3/4
ライン:Epic Glass Line WF-5
リーダー:10ft 4X
ティペット:フロロカーボン 6X
フライ:半沈・エラブタパラシュート#18,コンパラダン#20など
2022/5/18