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WILD LIFE

忍野ノート2022

VOL.13 8月28日

佐々木岳大=文と写真
いたるところに季節の移ろいを見つけられる季節

《Profile》

佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
 

急激に気温が落ち、まさに夏と秋の境目のような8月の終わり。
レインジャケットを羽織っていても快適な気候のなか、[忍野フィッシングマップ:ポイント写真26]通称:C&F前上流を釣ることにしました。
これからの季節、忍野では想像している以上に冷え込むことが例年あるので、特に夕方は、少し過剰装備だと思える防寒を用意した方がいいかもしれません。

気付かれないように… 午前中、強い雨が降っていた影響なのか、釣師の姿がありません。
普段、距離をとったアップストリームでアプローチしたいポイントでも、他の釣師とポイントをシェアするために、違う角度から釣ったり、必要以上に接近したりして釣っているポイントを攻めてみたいと思いポイントを決定しました。
倒木でできたトンネル周辺を、下流から距離をとってアップで狙ってみる。 ズームで撮影した倒木周辺。いくつかのレーンの中で複数の鱒がライズする。
障害物(倒木)まわりをタイトに攻めたいので、ティペットはあまり細くはしたくないのですが、倒木の裏側はやや流れが停滞して緩やかなので、4Xを結びたいのをグッと我慢して5Xをリーダーに結び足しました。
フォームビートルの#12をダンカンループで結び、まずは自分の立つ右岸の岸際を、手前から倒木にむけて徐々に攻めていくことにします。
実は過去に何度もよい思いをしたことのある釣り方です。
しかし、この日は着水と同時に鋭く反応するのですが、口を開くまでにはいたりません…。
連日、様々なフライパターンで、徹底的にイジメられていそうな印象です。
「まぁ考えてみれば、みんなフォームビートルで叩いてるか!」と思い直し、この状況に効きそうで、かつ他の釣師があまり投げなそうなフライをフライボックスの中から探します。
見つけたのは、ディアヘアをフレアさせた、ブラックとオリーブのモホークが1本づつ。
この季節は黒っぽいフライを投げる人が圧倒的に多そうなので、迷わずオリーブを選択することにしました。
フォームビートルのような鋭い反応ではないところが興味深いのですが、着水と同時にゆっくりとモホークに近づいてきた鱒は、不思議そうな表情でフライを口にしました。


フッキングと同時に下流に突っ走った虹鱒。びっくりした!
ときおり強くなる降雨で、流れは少し濁りぎみ。
さて、放流の面影が残る虹鱒ではありましたが、なんとか手前の1尾を攻略できたので、倒木のトンネル内にモホークを叩きこむことにします。
少し遠めから、もし見切られたら、間をあけるために連続で同じ魚には投げない作戦でいきます!

黒っぽいフライはみんな投げてると考えオリーブを選択。

入れ食いという程にはなりませんでしたが、なかなかの好釣です。
最初の2尾3尾が連続してイージーに釣れ、少しづつ場荒れしていくのは避けられませんが、その後もいい所に落ちたと思ったときや、ヨレの中にうまく漂っていると感じたタイミングでポツポツと釣れ続け、7~8尾ほど釣れた際、だいぶ難しくなってきたと感じるほどにプレッシャーを与えてしまったように思ったので、ポイントを後にすることにしました。

普段あまり使っていないフライで釣れるとチョットうれしい…。
ヘッドのナチュラル・ディアヘアーがよく見えるので使いやすい。

忍野は人的プレッシャーが高く、釣師の姿を認識しても逃げない魚が多い釣場です。
ついつい、鱒との距離を不用意に詰めがちですが、今後も意識的に注意したいと気付きのある釣行となりました。

【使用タックル】

ロッド:Epic FastglassⅡ Packlight476 7’6” #4 5pcs
リール:Hardy Narrow Spool 2 7/8inc
ライン:DT-4
リーダー7ft 3X
ティペット:フロロカーボン 5X
フライ:フォームビートル#15, モホーク#12, フェザントテールニンフ#14など

2022/9/3

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最新号 2024年12月号 Early Autumn

【特集】マスのきもち

朱鞠内湖のイトウ、渓流のヤマメ、イワナ、忍野のニジマス、九頭竜川サクラマス本流のニジマス、中禅寺湖のブラウントラウトなど、それぞれのエキスパートたちに「マスのきもち」についてインタビュー。

色がわかるのか、釣られた記憶はいつ頃忘れるのか、など私たちのターゲットについての習性考察していただきました。

また、特別編として、プロタイヤーの備前貢さんにご自身の経験を、魚類の研究に携わる、棟方有宗さんと高橋宏司さんに科学的な見地から文章をいただいています。

みなさんの情熱が溢れてしまい、今号は16ページ増でお届けします。

「タイトループ」セクションでは国内のグラスロッド・メーカーへの工房を取材。製作者たちのこだわりをインタビューしています。


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