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忍野ノート2022

VOL.05 4月14日

佐々木岳大=文と写真
忍野の川辺もようやく桜の季節

《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
 

暖かい日が続き、関東の平地では半袖で過ごせるほどの日が続きましたが、今日の忍野は正午頃で気温9℃。
朝から曇天で、水生昆虫の羽化量を期待できる、小雨のパラつく絶好の天気です。
10:30頃、ここ最近好調で、ライズの期待できる[忍野フィッシングマップ:ポイント写真25]の上流、通称:温泉裏に入渓しました。

モグラ叩き

ポイントに到着し、ガイドにラインを通して準備している間にも、そこかしこで「ガボッ!」という激しい捕食音が聞こえてきます。
予想的中。スゴい1日になる予感しかしません!

大きな捕食音を響かせながらライズするニジマス

すぐに投げたい気持ちをおさえ、まずは目で見える情報をあつめ、最初に結ぶフライを決める必要があります。
パッと目に入るのはガガンボなのですが、ライズフォームから察するに、ガガンボではなさそうです。
前回の釣行を思い返せば、例年よりも少し小振りなエラブタマダラが有力だと思うのですが…。
屈んだり、立ったりしながら、水面のギラつきが少ない高さを探していると…、見えました。
非常に見えづらいのですが、黒っぽいウイングのメイフライが、確かに水面にのって流れていきます。
確信を持って#18の半沈みエラブタパターンを6Xに結びライズに投じますが、ん~??、なかなかのライズ頻度ではあるのですが、フライを食べてもらえません…。
何ヵ所かで起こるライズに、モグラ叩き状態でプレゼンテーションを繰り替えしますが、本当に釣れません!
しかし、流下してくるダンがパタパタと飛んできてはバサリ!とやられるシーンが目撃できるわけですから、フライは合っているとしか思えません。
ずいぶんと長く苦悩のときを過ごし、着水と同時にポコン!と垂直にジャンプするようにして、心優しい一尾のニジマスがフライを咥えてくれました。

黒くて大きなウイングが特徴の、エラブタ半沈パターンでようやく釣れた
苦労しました!納得できる釣れ方ではありませんでしたが、それでも嬉しい!

ようやく釣れた頬の色がきれいなニジマスの捕食物を確認すると、フライはサイズもカラーも合っています。
純粋にドリフトが良くなかったのか…?とも思いましたが、ニジマスをリリースし、1尾釣れてホッとした気持ちで腰をおろし、流れを眺めているときにあることが気になりました。
水面に綺麗にのった状態のダンが、捕食されずに流されていきます。

動く流下物

マスは、パタパタと翅を動かし、ときおり水面をスライドするような動きを見せる個体を追って捕食しているようすです。
冷静に見てみれば、ライズ頻度の割に、マスの定位している位置も深いような…。
水面直下に定位して、流下してくるものを次から次へと口に入れているライズではありません。
結んである半沈パターンを切りとり、より水面を滑らせやすい#20のコンパラダンにフライをローテーションすることにします。
ライズ地点の奥のレーンにプレゼンテーションし、チョンチョンとアクションを加えながら、マスの定位するレーンにフライをのせてやると…状況が劇的に変化しました。
頻度の高いライズを繰り返しているマスも、たまにスッ!と動いたときだけ目視できるマスも、かなりの高確率でフライに反応させることができます。
先ほどまでの状況を考えれば、楽しくて仕方ない気分であることに違いはないのですが、残念ながらこのメソッドは抜群にフッキングが悪く、ポツポツ釣れはするもののイマイチ消化不良気味です。

苦労しただけに、見事フッキングに成功したときの喜びは大きい
#20のコンパラダンを、スケーティングからステイさせて釣ったニジマス
上の画像を少し拡大。捕食されていたエラブタの状態に注目してほしい
上の画像を少し拡大。捕食されていたエラブタの状態に注目してほしい

釣れたマスの捕食物の大半はエラブタでしたが、パタパタ動いているダンを捕食していたマスを釣ったにも関わらず、ストマックポンプが吸い出したエラブタのウイングの状態は縮れている個体が多いのも気になるところです。
綺麗にウイングの伸びたダンを水面で捕食している個体を選んで釣っていたわけですから、捕食されたことで薄いウイングがクシャクシャになり、いっけんDDのようにも見える姿となってストマックポンプで吸い出された可能性も捨てきれません。
これはフライのイミテーションにも関わる問題なので、まだ羽化期がつづくであろうエラブタの釣りを引き続き検証して楽しみたいと思います。


[ 使用タックル ]

ロッド:R.L.Winston AIR2 8’6” #3
リール:Bauer RX-1 Green
ライン:DT-4
リーダー:10ft 5X
ティペット:フロロカーボン 6X
フライ:半沈エラブタ#18,スパークルダン#20など

2022/5/9

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