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海人スタイル奄美

忍野ノート2021

VOL.04 4月17日

佐々木岳大=文と写真

この日はあいにくの荒天 強風で桜の花弁がたくさん流れる状況

《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ)
1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。




水面直下のエラブタマダラ


エラブタマダラを捕食していたライズを、前回(Vol,3参照)スペント・パラシュートで攻略できず、今回は新たにシンプルなDD(ドラウンド・ダン)を用意しての再挑戦です。

ポイントはもちろん⁉⁇因縁の通称:S字。【忍野フィッシングマップ:ポイント写真16】

「もう少し下の層」をコンセプトにした、新しいフライも用意してきました。

反沈ではなく、もう1cm下の層を流すために、ぶら下がりタイプのパターンに見切りをつけ、完全に水面下を流すことのできるシンプルなDDパターンです。

ヴェインファイバーをウイングに使用したシンプルなDDパターン


天候はあいにくの強雨で、ときおり強く吹く突風で桜の花弁や雑多なゴミが水面を流れ、非常に釣りづらい状況ではありますが、鱒がライズをしている以上、釣れないはずがありません。

6Xのティペットに結んだDDパターンを、沈みすぎないように、ライズ地点に対してアップクロスでアプローチできるように立ち位置を調整し、ターンオーバーの加減でフライがドリフトする層をコントロールします。

わずかなボリュームのスラックラインでプレゼンテーションをしていますから、そんなに深い層を流れてはいないはずで、鱒もうっすらと視認できているので、フライを捕食したと思う動きがあれば小さく鋭いあわせをくれて“聞いてみる”事にします。

結果は良好で、わずかな濁りと、若干の増水による速い流速のせいもあり、短時間で次々とライズを攻略することができました。

鱒の選球眼が甘く感じられるほどの好条件ではありますが、エラブタマダラのハッチを攻略できた充実感を得ることができました。

気難しいヤマメも、ある一定層より下では選球眼が甘くなる

エラブタマダラとアカマダラのDDがたくさん捕食されていた


エラブタマダラにグリフィスナットが効いている!のか…??


なかなかの好釣果ではありますが、どうしても気になるライズがひとつ…。

流心手前でライズする虹鱒は、何度やってもDDパターンで反応を得ることができません…。

沈み石(忍野では珍しい!)の頭、底付近に定位してユラユラしていて、一見ライズするような魚にはみえないのですが、忘れた頃にフラフラ~っと上昇して、いいライズリングを広げます。

速い流れをまたいでいないので、ドリフトの精度も悪いようには思えないのですが…。

ここで、前回(Vol,3参照)の釣行で気になっていたことを思い出しました。
「エラブタマダラのイミテーションとして、グリフィスナットが効いている?」

検証というほどのものではありませんが、物は試しで、ボトムカットした#18のグリフィスナットを結んでみることにしました。

疑心暗鬼で結んだグリフィスナット#18

沈み石の2mほど上流に落としたフライが、1mほど流れたとき、ボトム付近に定位していた虹鱒の胸鰭がビクッと反応したかと思うと、「うそでしょ⁉」っと思っている間に、すーっと上昇してきて何の疑いも感じていない様子でフライを吸い込みました。

やりとりはいつも、「お願いします!」と祈らずにはいられない

セレクティブな行動を見せた虹鱒

やはり捕食物は、エラブタマダラとアカマダラのDD

アメリカ西部では、小型のメイフライ「トライコ」のハッチに、白と茶色のハックルパターン「レネゲード」が効くとして認識されていることが知られています。

クラスターとして効いているなど諸説あるらしいのですが、同じようにエラブタマダラのハッチにグリフィスナットが効いているような気が増々してなりません!

あくまでも私的なイメージですが、ボトムカットすることで、水面とフライの干渉部が気泡を抱いたグチャグチャした感じと、エラブタマダラのDDがグチャッとしている様子に通ずる感じがあるような、ないような…。

確証はないのですが、私的実感としては「効いている」気がしていて、こんな所がフライフィッシングの面白さで、あらためて「やめられないなぁ~」と思う釣行でした。

米国西部ではトライコの必殺パターンとして結ばれることもあるレネゲード


【使用タックル】
ロッド:Epic FastglassⅡ Packlight 7’6” #4 5pcs
リール:Epic Backcountry Reel 3/4
ライン:Epic Glass Line DT-4F
リーダー:7ft 4x
ティペット:フロロカーボン6X
フライ:エラブタマダラDD#18, グリフィスナット#18, スパークルダン#20など

2021/5/21

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最新号 2024年12月号 Early Autumn

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朱鞠内湖のイトウ、渓流のヤマメ、イワナ、忍野のニジマス、九頭竜川サクラマス本流のニジマス、中禅寺湖のブラウントラウトなど、それぞれのエキスパートたちに「マスのきもち」についてインタビュー。

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また、特別編として、プロタイヤーの備前貢さんにご自身の経験を、魚類の研究に携わる、棟方有宗さんと高橋宏司さんに科学的な見地から文章をいただいています。

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