忍野ノート2021
VOL.07 6月27日
佐々木岳大=文と写真天気予報が良いほうに外れた忍野。この日は、フライフィッシャーの数もかなり少なめ
《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
右岸と左岸で異なる捕食物
雨予報が外れた忍野は、フライフィッシャーの姿も少なめ。
せっかくだからと、ふだん人混みを敬遠して釣る機会の少ない、自衛隊橋下流の鐘ヶ淵堰堤で竿を出してみることにします。
右岸葦際でライズする鱒は#22程のメイフライのダンを、流芯から左岸にかけてはシミズミドリカワゲラのフローティングニンフを捕食している興味深い状況だったのですが、同行者となんとなく普通に釣りを満喫してしまい写真がない…。
スミマセン…。
しかし、この日はイブンニングの釣りでも面白い状況に!
続・フタスジモンカゲロウの釣り
鐘ヶ淵堰堤での釣りを満喫した後、【忍野フィッシングマップ:ポイント写真28】通称:C&Fキャスティングレンジ前に移動しましたが、安定してライズする魚が見られません。
いくつかの種類の水生昆虫が目につく状況で、捕虫網で捕獲して観察したり、ニンフを沈めたサイトフィッシングで、いまいち捕食スイッチの入っていない鱒をからかったりしているうちに、陽も傾きイブニングのいい時間になってきました。
ライズがはじまらないので、このポイントに見切りをつけ、少しだけ下流のポイントに移動すると、散発ながらようやく一尾の鱒が安定した位置でライズしているのを見つけました。
大きなプールの最奥、早くて重たい流れの流芯ド真ん中で、まさにバサリ!という感じのライズから、重量感のある魚なのではないかと期待が膨らみます。
ライズ頻度から、目につく程度にまとまって飛翔している、小型のメイフライ各種ではないと判断し、#14のマダラ系フローティングニンフを意識した半沈パラシュートを結んでみることにしました。
しかし、このポイントは背後のバンクが高く、ライズ地点との間にかなり太い複雑な流れを挟んでいるので、ドリフトの精度もあまり良くなく、なかなかフライに反応させることができません。
ポイントに対して、ギリギリ届いているかいないかの位置までしか投げることができていないので、フライがマッチしていないのか?ライズ地点に届いていないのか?どちらの理由で反応がないのかもわからない、厳しい状況になってしまいました。
日が長くなったとはいえ、暗闇も迫る時間なので、背後のバンクを釣る覚悟でより遠投することで、なんとか結果をだす事ができました。
重い流れの中でライズしていた魚だけあって、サイズこそ35cm程ではありますが、非常に良いコンディションの虹鱒です。
フッキング直後の暴力的な引きで、かなり大型の鱒がかかったと錯覚したほどコンディションの良い虹鱒
フタスジモンカゲロウのイマージャーが捕食されていた。イマージャーとひとことで言っても、様々な形態があるので、様々なパターンを試して楽しみたい
数枚の写真を撮影し、すぐに捕食物の確認をしてみると…。
フタスジモンカゲロウのイマージャーが3匹捕食されています。
ウイングがほぼ伸びきってはいるものの、まだ完全には羽化しきれていないのが1匹。
もう2匹は、まだほとんどウイングが出ていないショートウイング・イマージャーで、1匹はまだシャックを引きずっています。
これだけ大型のメイフライがシャックから抜け出す直前の全長を考えれば、ついつい小型フライで満たしてしまう傾向にある忍野用フライボックスを見直す必要性を感じずにはいられません。
(結果的に、フライは届いても、合ってもいなかったというお粗末さ…。)
昨年のこの季節、普段持ち歩いているフライボックスとは別に、フタスジ専用フライパッチを用意して釣っていた
アブドメンの背に背負わせた白いフォーム材が特徴的な、ゲーリー・ラフォンテーンの銘鉤「Cone」。フタスジなど砂の中に生息するバロワータイプのイマージャーとして機能することに期待して使用している
この後、ストマックの内容を参考に、フタスジモンカゲロウのイマージャーを意識したフライに結び変え、少しずつ広い範囲に広がっていったイブニングライズをいくつか攻略しているうちに、先ほどのポイントでまたもや重量感のあるバサリ!というライズがおこり始めました。
フライ交換の際に、ティペットも1サイズあげて4Xにしておいたので、今度は背後を恐れることなくラインを伸ばします。
結果は…、本物と同じようにバサリ!とフライを咥えた鱒は、またもやコンディション抜群の虹鱒で、さきほどよりも少しだけサイズアップしています。
全体的に流れのゆるやかな印象の忍野ではあまり意識したことがありませんでしたが、一般的な河川同様に、重たい流れのなかで捕食行動をとれる鱒は、良いコンディションであると仮定して釣りを組み立てるのも一つの戦略として認識しておくべきかもしれません。
鰭の大きさに注目して欲しい。重たい流れにのって、障害物の多い流れを一気に下るこの鱒を止めるには、4Xでも大袈裟な気はしない
見事なフタスジの偏食。下半分はまだ抜け出せていない状態のイマージャーが捕食されていた
(昨年の当連載、「忍野ノート2020 Vol,5」に、忍野において、なぜフタスジモンカゲロウの重要性が高まっているのかが書かれていますので、気になる方はそちらも合わせてご確認ください。)
【使用タックル】
ロッド:Epic FastglassⅡ 7’6” #4
リール:Epic Backcountry Reel 3/4
ライン:Epic Glass Line DT-4F
リーダー:7ft 4x
ティペット:フロロカーボン4-6X
フライ:半沈パラシュート#14, コーン#8など
2021/8/17