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アカサカ釣具

第17回 スペントウイング(CDC)編

ファイバーを均等に束ねる

嶋崎 了=解説

春のメイフライのライズフィッシングにもう効果的な、スペントパターン。前回は、そんなウイングの作り方をシンセティック素材で紹介しましたが、今回はCDCで作るスペントウイングの手順を解説します。

嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。
渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。
ティムコ社フライ用品開発担当として、『TMCバイス』、『TMCアジャスタブルマグネットボビン』、『Jストリーム』シリーズなど主要製品を数多く手がける。

Q1 CDCを使ったスペントウイングの特徴を教えてください。

CDCを使用したスペントパターンは、特に魚の反応がよい状況が多々あるので、常備したほうがよいフライの一つです。

基本的には左右のウイングともに水面下に入れて浮かせますが、反応が芳しくない時など、次の1投は片方のウイングのみを浮かせるなど、見せ方を変えてみるのも効果的です。

秋田の渋谷直人さんがCDCを好んで使用するようになった理由に、1本のフライでも見せ方に変化をつけられるからと聞きました。

もちろんCDCがよく釣れるマテリアルだということが愛用者の多い理由ですが、カラーバリエージョンは、ウイングに関してはダンカラーを使用しています。

以前はブラックやホワイトも使っていたこともありますが、最近はダンのみとなりました。フライサイズに合わせて長さとボリュームを決めています。基本的にはウイングはアイからベントよりもやや長めにしますが、モンカゲロウなど大型のメイフライを模す時には、やや強調して長めにすることもあります。
使用するCDCは、ファイバーが長く切れていないフェザーを選びたい。嶋崎さんの場合は、ウイングに使用する際はタンカラーがメインだという

Q2 取り付ける手順を教えてください。

スペントウイングは、シャンク(ボディー)に対して、しっかりと十字型に付いている必要があります。CDCのフェザーからファイバーをむしる手順も合わせて、以下のようにタイイングを行ないます。
ウイングを留めた後の、ダビング材の取り付け作業については、前回の「第16回 スペントウイング 編」をご覧ください。 フェザーからウイングに使用するファイバーをむしる手順を解説。まずは写真のようにティップ側を持つ

ティップを持った状態から指を移して、片側のファイバーを親指と人差し指で覆うようにつまむ

そのままストークからむしるように外す

片側のファイバーを、むしる時につまんだ人差し指に乗せたまま状態で、さらに反対側のストークに残ったファイバーに重ねる

前の写真の状態からつまみ、そのままもう片側のファイバーもむしる。こうすることで、フェザー左右のファイバーが、それぞれ交互の向きに重ねなった束を作ることができる

ここで、ドライシェイクを指に少量取る

ドライシェイクを付けた指で、優しくねじるように束ねると、ファイバーが適度にまとまってくれる。あまり力を入れずに、ねじりすぎはNG

ファイバーの束ができたら、シャンクの上にたすき掛けで固定。

ダビングブラシなどで、ファイバーを軽くすくように、ほぐす

このような状態になったところで、ウイングを束ねる作業に移る

まずは「TMCシマザキ・マルチグルー」を、ウイングの先端(ファイバーの断面)に、刷毛で軽くたたくように塗布

根元から先端に向かってつまみ上げるように、先端をすぼめて、ファイバーの束をまとめる

このような状態になればOK

マルチグルーがある程度乾いたら、仕上げに瞬間接着剤で確実にウイング先端を閉じる。その際、チューブの先まで出した接着剤をそのままウイング先端に軽く当てるように塗布

左右のウイングで同じ作業を行なったら、完成

正面から見た状態。基本的にはウイングが水面直下に入るような角度で取り付けるとよい



次回
【隔週連載】嶋崎了のフライタイイング基礎知識
第18回「コンパラダン 編」は
2018年4月9日(月)公開予定です。

2018/3/26

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本書は、これからフライタイイングを始めようとする人に向けた入門書です。 解説と実演は、初心者の方へのレクチャー経験が豊富な、東京のフライショップ「ハーミット」店主の稲見一郎さんにお願いしました。 掲載したフライパターンは、タイイングの基礎が…
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最新号 2023年12月号 Early Autumn

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今号では、編集部が「面白いな」と感じた渓流用のドライフライのタイイングと考え方を紹介します。取り上げるのは、パラシュートスパイダー、エルクファンタジィ、丹沢スペシャル、マジックバレット、里見パラシュート、ヨッパラ、特殊部隊の7本です。これらを並べてみると、みなさん気にかけているのは、耐久性、浮力の持続性だけでなく、「誘い」であることがわかります。水面の流れより遅く流れる、フライそのものが揺れる、マテリアルが揺れる、などさまざまですが、いわゆるナチュラルドリフト以上の効果を明確にねらっているものがほとんど。来シーズンに向け、ぜひ参考にしてください。
またウォルト&ウィニー・デッティ、ハリー&エルシー・ダービーに関するフライタイイングの歴史、そして、『The Curtis Creek Manifesto』(日本ではご存知、『フライフィッシング教書』として翻訳されています)の作者、シェリン・アンダーソンについても取り上げています。


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