LOGIN

第16回 スペントウイング 編

シンセティック素材で丈夫な”十字”を作る

嶋崎 了=解説

メイフライのマッチング・ザ・ハッチの場面で、たびたび活躍してくれるスペントパターン。今回は耐久性もあり、シルエットも保ちやすいシンセティック素材のスペントウイングを紹介。マテリアルの下処理から、実際の取り付け方を解説します。

嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。
渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。
ティムコ社フライ用品開発担当として、『TMCバイス』、『TMCアジャスタブルマグネットボビン』、『Jストリーム』シリーズなど主要製品を数多く手がける。

Q1 スペントウイングに適したシンセティック素材を教えてください。

シンセティック素材では、まずズィーロンが挙げられます。特に適しているのはメッツ社の「キンキージーロン」。光、耐久性、シルエット、素材の張りなど、使い勝手と条件がそろっているので、パイロットパターンにもよく使用しています。

同じような素材はいろいろとあり、それぞれ試してみたのですが、今のところは上記のマテリアルで落ち着いています。

Q2 ズィーロン取り付け時に下処理は必要ですか?

特にキンキージーロンは繊維に癖のある素材ですので、取り付ける前に、よく引っ張って、なるべく直線状にしたうえで使用します。なかなか癖が取れない繊維は取り除き、この時点で、タイイングブラシなどですいておくとよいでしょう。

また、スペントウイングとして使う場合、1束では多いので、通常のドライフライであれば3/1束ほどに調整して使っています。
切り出した素材はたいてい癖が付いていたりするので、引っ張って直線状にしてから巻き始めたい

切り出した束(上)は、ウイングで使う場合には3/1ほどのボリュームで充分(下)。この状態からタイイングスタート

Q3 取り付ける手順を教えてください。

スペントウイングは、シャンク(ボディー)に対して、しっかりと十字型に付いている必要があります。そのための手順を以下に解説していますので、ご覧ください。ちなみにウイングは水中に入るようにするので、正面から見た際に留める角度は、やや下向きにしておくとよいでしょう。 まずは成形したズィーロンを、シャンクにタスキ掛けで留めるように、スレッドで固定

十字型に留めるためにはダビング材の巻き方も重要。ウイングを前方に引っ張って、アイ側に倒すようにダビング材を巻き進めるくらいでちょうどよい

ウイングを引っ張っていた手を離すと、このような状態に。この時点ではかなり前方に倒れているが、「ウイングの脇」をしっかりと固めておかないと、使っているうちにすぐ後方になびくようなウイングになってしまう。ソラックスへのテーパーを付けつつ、しっかりと脇を固める

さらにウイングの前側もダビング材でしっかりと固めて、このような状態に成形する。ここまでの作業では、ウイングはカットせずにいたほうが断然作業しやすい

ここまで作業したところで、左右同じ長さにウイングをカット

次にカットしたウイングをまとめる作業へ。嶋崎さんの場合は「TMCシマザキ・マルチグルー」を、”ファイバー先端のみ”に塗布。その際、刷毛をウイングの断面に軽く当てるだけでOK。ファイバーの先端以外にもマルチグルーが付いてしまうと、ウイングのスタイルが大きく損なわれてしまうので注意

左がマルチグルー塗布後、まとめる前の状態(右のウイング)。その状態で、指で内から外へつまむように先端をまとめていく。この時つまんだ指をねじってしまうと、やはりウイングの形が変わってしまうので注意

塗布したマルチグルーがある程度乾いたら、次に瞬間接着剤で確実にウイング先端を閉じる。その際、チューブの先まで出した接着剤をそのままウイング先端に軽く当てるように塗布

マルチグルーと瞬間接着剤でまとめたズィーロンの先端。接着はなるべく先端だけで行なうのが理想

完成したウイングを上から見ると、ウイングとシャンクが十字型を作る。ウイングの中間部はある程度ふくらみがあり、先端のみでまとめている

次回
【隔週連載】嶋崎了のフライタイイング基礎知識
第16回「スペントウイング(CDC素材)編」は
2018年3月26日(月)公開予定です。

2018/3/12

つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…

THE LATEST ISSUE

FlyFisher 2020年9月号Mid Summer

 フックにマテリアルを留めるというテクニックだけでも本が何冊もできてしまうほどの奥深さがありますが、今回は、フライの構造や素材の選び方など、編集部が「面白い!真似したい!」と感じたものを取材しました。渓流から海まで、フライフィッシングの広がりも味わえます。そのほか、国内主要メーカーのフック一覧や、ピーコックコンプリートの解説などもしました。  そして、水生昆虫研究家の刈田敏三さんによる「ドリフティング」も紹介しています。長年の水生昆虫研究にプラスして、水中カメラで渓流に泳ぐヤマメの行動研究を始めた刈田さんによる、より実践的な釣り方と考え方の提案です。  名前は知っていても、その実像はあまり触れられなかった、エンリコ・パグリシさんへのインタビューも実現しました。名前の正しい発音は「パグリシ」ではなく、「プッリージ」だったことが判明するなど、楽しくもヒントに溢れる内容です。したがって今後小誌では、エンリコ・プッリージさんと表記します。  大好評、備前貢さんの「オホーツク通信」では、今回もさまざまなタイイングの技が紹介されています。中でも、ピーコックハールをティンセルで挟んでねじるという、ボリュームと強度を同時に出せる手法を使った、豊満なプロポーションのロイヤルウルフは最高です!
つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…

THE LATEST ISSUE

FlyFisher 2020年9月号Mid Summer

 フックにマテリアルを留めるというテクニックだけでも本が何冊もできてしまうほどの奥深さがありますが、今回は、フライの構造や素材の選び方など、編集部が「面白い!真似したい!」と感じたものを取材しました。渓流から海まで、フライフィッシングの広がりも味わえます。そのほか、国内主要メーカーのフック一覧や、ピーコックコンプリートの解説などもしました。  そして、水生昆虫研究家の刈田敏三さんによる「ドリフティング」も紹介しています。長年の水生昆虫研究にプラスして、水中カメラで渓流に泳ぐヤマメの行動研究を始めた刈田さんによる、より実践的な釣り方と考え方の提案です。  名前は知っていても、その実像はあまり触れられなかった、エンリコ・パグリシさんへのインタビューも実現しました。名前の正しい発音は「パグリシ」ではなく、「プッリージ」だったことが判明するなど、楽しくもヒントに溢れる内容です。したがって今後小誌では、エンリコ・プッリージさんと表記します。  大好評、備前貢さんの「オホーツク通信」では、今回もさまざまなタイイングの技が紹介されています。中でも、ピーコックハールをティンセルで挟んでねじるという、ボリュームと強度を同時に出せる手法を使った、豊満なプロポーションのロイヤルウルフは最高です!

最新号 2020年9月号 Mid Summer

特集
晴釣雨巻
現場から生まれた、個性的タイイング

フックにマテリアルを留めるというテクニックだけでも本が何冊もできてしまうほどの奥深さがありますが、今回は、フライの構造や素材の選び方など、編集部が「面白い!真似したい!」と感じたものを取材しました。渓流から海まで、フライフィッシングの広がりも味わえます。そのほか、国内主要メーカーのフック一覧や、ピーコックコンプリートの解説などもしました。
 そして、水生昆虫研究家の刈田敏三さんによる「ドリフティング」も紹介しています。長年の水生昆虫研究にプラスして、水中カメラで渓流に泳ぐヤマメの行動研究を始めた刈田さんによる、より実践的な釣り方と考え方の提案です。
 名前は知っていても、その実像はあまり触れられなかった、エンリコ・パグリシさんへのインタビューも実現しました。名前の正しい発音は「パグリシ」ではなく、「プッリージ」だったことが判明するなど、楽しくもヒントに溢れる内容です。したがって今後小誌では、エンリコ・プッリージさんと表記します。
 大好評、備前貢さんの「オホーツク通信」では、今回もさまざまなタイイングの技が紹介されています。中でも、ピーコックハールをティンセルで挟んでねじるという、ボリュームと強度を同時に出せる手法を使った、豊満なプロポーションのロイヤルウルフは最高です!
[ 詳細はこちらから ]

 

NOW LOADING