LOGIN
WILD LIFE

第12回 ピーコックボディー 編

丈夫できれいなボディーを作る

嶋崎 了=解説

テレストリアルパターンの代表的なスタイルといってもよいピーコックを使ったボディー。ファイバーをシャンクに巻きつけるだけで、いかにも陸生昆虫らしいボディーが手軽に作れますが、今回はその手順を紹介します。

嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。
渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。
ティムコ社フライ用品開発担当として、『TMCバイス』、『TMCアジャスタブルマグネットボビン』、『Jストリーム』シリーズなど主要製品を数多く手がける。


Q ボディーマテリアルとして適しているのは、どんなピーコックですか?

まず、ピーコックボディーに使う素材の代表的なものに、ピーコックアイとピーコックハールがあります。

ピーコックアイは、中央から下部にかけてのファイバーを主に使用します。中央部分にかけてフリューのボリュームが多い(長い)のが特徴ですが、あまり根元部分だとストークが太くなってしまいますので、フックサイズを考えながら選びましょう。
定番マテリアルでもあるピーコックアイ。先端のアイ部分はストリップドピーコックなどに使われるが、フリューを活かすならば、赤丸部分の中央付近のファイバーを使うのがよい

また、ピーコックハールはアイに比べてフリューが短い傾向にありますが、数本を束ねて巻いたりするなどの使い方もあります。
こちらはピーコックハール。アイに比べてフリューが短めだが、小さいサイズのフライに使ったり、数本まとめてボディーに巻くなど、アイと同じくボディー材としておすすめ

Q フリューをきれいに立たせるコツを教えてください。

基本的にはファイバーの裏側を前にしてフックに留めて巻き進める(裏がアイ側を向く)と、フリューが寝ずに立ち上がりやすくなります。タイイングの際には、その都度後方になでつけるようにしながら、すでに巻いたファイバーのフリューを巻き込まないように注意しましょう。
ファイバーの裏側が前を向いて巻けるようにフックに固定。余りはカットせずに巻きつぶせばOK

フリューの長い部分を使えば、1本でもこれだけのボリュームを出せる。こちらはかなり密に巻いた例
(使用フックは『TMC100』#12)


Q 複数本を使う場合には、どのように巻けばよいでしょうか。

単純に数本をスレッドでシャンクに固定したまま巻き始めるのではなく、一度ピーコックの束をスレッドに絡めてからシャンクに巻いたほうが、ボディーの強度は高まります。

この時、ファイバー同士が撚れるので、それぞれのフリューは潰れがちになります。それでボリュームがなくなってしまう場合は、使う本数をもっと増やして対応すればよいでしょう。
5本のファイバーをフックに留めた状態。1本ずつ留めるのではなく、まとめて固定すればOK。スレッドに絡めて巻き付ける場合は、留める方向などは気にしなくてよい

5本のファイバーをスレッドに撚り付けた状態。この状態を維持したまま、テンションを保ってシャンクに巻いていく

巻き付けて固定。フリューのボリュームはややおとなしくなるが、強度はグッと上がる。小さいフライの場合には1本のファイバーをこの方法で巻くのもあり

Q ファイバー1本を巻く場合でも、強いボディーを作りたいのですが……。

ファイバー1本を使ったほうがフリューをきれいに立たせやすいのですが、この場合は、ファインワイヤなどでリビングを行なうと補強になります。

もちろんファイバー1本をスレッドで絡めても問題ありませんが、やはりフリューを立たせることを考えれば、リビングするのがおすすめです。

ちなみに、フライが壊れてしまいがちなのは、魚が掛った時よりも、フックを外す際にフォーセップでつまんだ時です。その状態で魚が暴れれば、なおさらマテリアルに傷が付きますよね。

ピーコックはストークが比較的切れやすい素材だといえます。タイイングの際には補強という面も意識して巻きたいですね。


次回
【隔週連載】嶋崎了のフライタイイング基礎知識
第13回「CDCのウイング編」は
2018年1月29日(月)公開予定です。

2018/1/15

つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
WILD LIFE
つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
WILD LIFE

最新号 2024年12月号 Early Autumn

【特集】マスのきもち

朱鞠内湖のイトウ、渓流のヤマメ、イワナ、忍野のニジマス、九頭竜川サクラマス本流のニジマス、中禅寺湖のブラウントラウトなど、それぞれのエキスパートたちに「マスのきもち」についてインタビュー。

色がわかるのか、釣られた記憶はいつ頃忘れるのか、など私たちのターゲットについての習性考察していただきました。

また、特別編として、プロタイヤーの備前貢さんにご自身の経験を、魚類の研究に携わる、棟方有宗さんと高橋宏司さんに科学的な見地から文章をいただいています。

みなさんの情熱が溢れてしまい、今号は16ページ増でお届けします。

「タイトループ」セクションでは国内のグラスロッド・メーカーへの工房を取材。製作者たちのこだわりをインタビューしています。


Amazon 楽天ブックス ヨドバシ.com

 

NOW LOADING