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三条市主催 杉浦雄三の本流ウエットスクール・レポート

2024年10月23日(水)、24日(木)

FlyFisher編集部=写真と文

ウエットフライに適した五十嵐川の渓



毎年恒例となった新潟県三条市主催、五十嵐川本流ウエットフライスクールは、毎回、主催者が驚くほどの遠方からも参加いただき、ありがたい限り。




近年、ニジマスを対象とした冬季釣り場が各地で続々とオープンしているが、この新潟県三条市を流れる五十嵐川でも2年前からニジマスの冬期釣りが可能となった。この川が特徴的なことはいくつかあるが、その筆頭に挙げられるのは渓相だといえる。


どこでフライがひったくられてもおかしくない。が、流れを細かく区切って流すことが重要だ


写真をご覧になればお分かりのように、生きた石が点在して、ある程度均一に水が流れる形状は、ウエットフライに特に向いている。川幅も広いところでは30m以上あり、逆にドライやニンフではちょっと釣りにくい(もちろんポイントを絞れば充分に楽しめる)。本スクールは6月と10月に2回開催されるが、この時期は水も落ち着き、シングルハンド4番、フローティングライン、フライは一般的なウエット、という道具立てで釣れるので、入門者にもうってつけのフィールドといえる。


大きな石が点在する。驚くほど深い箇所もあるので渡渉には注意が必要


浮き石も多く、水生昆虫も豊富だ


釣りを楽しむには、釣れる魚が必要だ。当たり前すぎて誰もいわないが、実はウエットフライにとっては特に重要だ。この釣りはドライやニンフと違い、ナチュラルドリフトではなく、スイングやトゥイッチなど、フライを積極的に動かして魚を誘うことがほとんど。これはつまり、魚がスレてくると釣れにくい方法だともいえる。魚がスレる原因はもちろん釣り人だ。たくさんの釣り人がひとつのポイントに押し掛ければ、当然魚は釣れにくくなる。

その点、五十嵐川はキャッチ&リリースなので魚はスレるだろうが、前述のとおり川幅もあり、大きな石が入った魚がつきそうなポイントが分散した渓相になっている。ニジマスのC&R区間は数あれど、この規模でこのポイント形状の複雑さはなかなか珍しく、サオ抜けも生まれやすい。先行者がいたとしても、場所によっては充分釣りを楽しめるはずだ。


流れが絞れた部分でヒットさせた佐藤洋さん


4番ロッドで釣るにはスリリングな相手。もちろんさらに大型も泳ぐ


ピンポイントをねらう


そういったフィールドで結果を出すには、やはり細かいポイントにくまなくフライを入れていくことが大切。ウエットフライといえば開けた流れでグーンとスイングさせる方法が一般的だ。しかし、講師を務める杉浦雄三さんをはじめ、多くのエキスパートが実践するように、ポイントを小さく区切って、流れをひとつずつていねいにフライを送り込むように釣るメソッドは、とくに五十嵐川の場合は有効だ。

フライを横切らせるというよりも、流れに沿って送り込むイメージ。それでもフライはラインに引っ張られるので、完全にナチュラルドリフトすることはない


杉浦さんはこれを「トレースの釣り」と呼んでいるが、フライをプレゼンテーションしたらメンディングし、ライン先端を流れとできるだけ平行にする。このままメンディングを繰り返しロッドも下流へ倒しながらラインの形をキープして、ピンポイントにフライを通過させる。

言葉にすると簡単だが、流れと同じく、ラインの置き方やテンションも千差万別。スクール中は常に杉浦さんのアドバイスが飛んでくる


チュラルドリフトのようにフライをまっすぐ下流へ流すのは原理的に不可能で、いくらラインの形を調整してもすこしずつフライはスイング(スライドするといったほうが適切か)していく。さらにメンディングによってフライが若干動き、魚を誘う……、というのがおおまかなところ。が、このあたりの詳細は言葉や写真だけではお伝えするのがとても難しい、スクールに参加していただければしっかりと理解していただけるはず。

2025年も五十嵐川は2月の1ヶ月のみ禁漁期間となり、3月1日の解禁から翌年1月まで楽しむことができる。杉浦さんのスクールは今年も開催予定なので、今年こそこの川のポテンシャルと彼の釣り方を体感していただきたい。


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