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下田郷をFFで盛り上げたい。

行政から始まる新たな試み

FlyFisher編集部=写真と文

下田郷の中心を流れる五十嵐川の支流、守門川。この川は流程のほぼ半分にキャッチ&リリース区間が設定されている

新潟県三条市の東、福島県と隣接するこの地域は2005年に同市に合併されたが、以前は下田郷と呼ばれた地域。ほかの土地と同様、人口減少に悩まされているこの地域を、フライフィッシングを含めたアウトドアアクティビティで活性化したいと行政が動き始めている。まずは11月10日に「八木ヶ鼻オートキャンプ場」で行なわれるフライフィッシングのイベントからだ。
【FF EXPO下田郷 開催!】
下田郷アウトドア・スポーツ・観光推進協議会:(TEL 0256-34-5605)https://www.city.sanjo.niigata.jp/
この記事は2019年Mid Autumn号に掲載されたものを再編集しています。

上流部1km区間は「吉ヶ平フィッシングパーク」として大型の魚が放流された、特別採捕区間が設定されている


キャンプ場もある吉ヶ平自然体感の郷。以前は小学校だったという吉ヶ平山荘(写真奥の建物)で、フィッシングパークの受付をする






 刃物や工具など、金物に関するものづくりで知られる三条市。その東に下田郷と呼ばれる地域がある。

「他所の山村と同じく、高齢化、人口減少という問題に直面しており、若者の移住を推進できないか模索しています」と、三条市営業戦略室の会田貴生さんは話す。

 そのために地域をフライフィッシングを含めたアウトドアアクティビティの中心地として盛り上げていきたい、とビジョンを掲げた。すでに地域を流れる守門川には特設釣り場やキャッチ&リリース推奨エリアが設けられ、フライフィッシャーのあいだでは認知されつつある。

フィッシングパークの下流部。名前はパークだが、まったく普通の渓流だ

 「現状、さまざまな取り組みを進めてきて、交流人口、つまり訪れる人の数を増やしてきましたが、定住人口はむしろ減少しています。また、下田は自然が豊かですよ、といったところでほかと変わりません。日本の国土の7割が森林ですから。ですからマスをねらわず、コアなアウトドアを趣味に持つ方々をターゲットにできないかと考ました。なぜここに行き着いたのかというと、三条には世界的なアウトドアメーカーである、スノーピークやキャプテンスタッグの本社がありまして、彼らの取り組みを参考にしながら進めていきたいと思っています」

 しかし、この釣りを長く楽しんでいる方ならご存知だろうが、話はそう簡単ではない。そもそもこの釣りでどうやって若者を呼ぶのだろうか。
 「そうなんです。だから私たちもまずはフライフィッシングについて勉強している最中です。そうしているうちに知りましたが、フライフィッシャーの年齢層が、我々の想定よりも高かったですし(笑)」

 彼らが業界関係者へのインタビューを繰り返し、リサーチするうちに見えてきたのは、以下の2点。ひとつめは、たくさんのフライフィッシャーに都会から来てもらい、ガイド、釣り場案内人などの雇用を生み出す。そしてもうひとつは、ただ魚を釣るだけでなく、環境を守るという視点だ。

三条市からの要請を受けて、はるばる愛知から足を運んだ杉浦雄三さん。自身のホームグラウンドである長野県犀川の例などを関係者に説明した

 彼らの話を聞いていると感じるのは、発想が非常に柔軟なこと。確かに、フライフィッシングに対する知識は豊かではなく、そのための発言も少なからずあるが、こちらが指摘するとすぐに修正案が出てくる。ただ「お役所」の仕事で動いているのではなく、使命感、危機感、そしてなによりフライフィッシングへの興味も強く持っている。

 「もちろん地元の五十嵐川漁協さんとの連携も重視していきます。私たちだけでは前へ進めないので、多くの人を巻き込んでいきたいんです」と三条市営業戦略室の栗山陽子さんは話す。

 ここまでフライフィッシングに興味を持って、なにか始めようとする行政は今までほぼなかったといってよい。これからどのような形になるのかは誰もわからないし、紆余曲折もあるだろう。それでも、我らのフライフィッシングが世間のお役に立とうとしているのは、非常に喜ばしいことだ。

 この取り組みはまず、11月のイベントからスタートする。 釣り場までは上越新幹線の停車駅、燕三条から車で1時間ほど

道の駅「漢学の里しただ」。レストラン、農産物だけでなく、下田郷ゆかりの漢学研究者、諸橋轍次の記念館も併設されている

2019/10/30

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最新号 2019年12月号 Mid Autumn

第1特集
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第2特集
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