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育てる悦び。シルクラインの世界

使いはじめとメンテナンス

つるや釣具店=協力
山城さんが愛用するシルクライン。飴色に輝くこのラインのしなやかさは、驚くばかり。クセはまったく付かず、実際に使ってみると1日中浮力を保つのだとか

なんとなく面倒そうだという理由で、シルクラインに手を出していない方は多いのではなかろうか。事実、たしかに面倒な部分もある。しかし、もともとフライフィッシングは面倒なことをやるのが楽しい釣りではないのか。そんなわけでシルクラインの実際を聞いてみた
この記事は2018年<Early Spring>に掲載されたものを再編集しています。

手をかければかけるほど?

シルクラインに、手間がかかるイメージを持っている人は少なくないはず。釣りから戻れば乾燥させ、オイルを擦り込むといった手間が必要になる。

最先端の技術によって作られたラインが各種あるなか、わざわざそんな面倒なものを使わなくても……と思われることもあるかもしれない。

もちろん、それはそうなのだが、シルクラインを長年使っている『つるや釣具店』の山城良介さんは「メリットもたくさんあるんですよ」と言う。
左は矢野シルクラインで、価格はDTの15mが22,000円+税。DTの27mとWFの30mが30,000円+税だ。DTは#1~5、WFは#3~5のラインナップで、またスタンダードテーパーとロングテーパーも選べる。右はフランスのPeche a Soieのシルクラインで、15mが12,000円+税、30mが23,000円+税

なんとなく面倒だと思って手を出さない人が多いなか、実は夜な夜な育てたラインが絶妙な浮き加減、あるいはしなやかさを獲得し、名手たちの第二の手となってフライを操作しているという現実があるらしい。

というわけで、シルクラインが実際のところ使いやすいのか? メンテナンスは面倒なのか? 事情を確認すべく、山城さんにその扱い方を解説してもらった。
育て方によって、表情を変えるのが天然素材の魅力だ

シルクライン使用前の作法

最初に断っておくと、シルクラインのメンテナンスが面倒かどうかといえば、間違いなく面倒。そもそも、シルクラインはおろしてすぐに使えるわけではない。

そんな釣り具、ほかにあるだろうか? とりあえず購入したシルクラインを、一般的なドライフライ用ラインとして使えるようにする手順が以下のとおり。

①グリスアップ
まず行なうのはグリスアップといって、ラインにオイルを染み込ませる作業。たとえば、『矢野シルクライン』の製品では、専用のオイルがあるので、それを使う。いきなり厚く塗っても意味がない。グリスアップは、指で行なうのがおすすめ。体温で油が溶け、染み込みやすくなる。
矢野シルクラインにはオイルが付属。これをラインに擦り込む

②乾燥
グリスアップの後は、しっかり乾燥させる。目安は1日くらい。もちろん、それ以上乾燥させてもよいが、あまり長期間ほったらかしにしておくと、オイルがベタベタになってライン同志がくっつくなどのトラブルが生じる。
これは使い込んだラインでも同様なので、気をつけてほしい。特にビニール袋などに入れてしまうのがよくないとか。天然素材なので、風通しのよい場所で保管したほうがよい。紫外線に当てるのもよくないので、陰干しが基本となる。

③10回繰り返す
上記①と②の作業を、10回ほど行なう。これだけで最短10日。うーん、先は長い……。だがここで作業をいい加減に行なってしまうと、結局釣り場で使いにくいラインになってしまう。ここは愛情を持って作業を行なうことが肝心だ。
使い方しだいで、まるで違うラインになるのがシルクライン。そこが魅力ともいえる

シルクラインのメリットとデメリット

とりあえず使用前の作業を終え、釣り場に持参したとする。山城さんによると「最初は半日くらいで、沈みがちになると思います」とのこと。編まれた繊維の間に水が入り込むと、シルクラインは沈みやすくなる。

そして、まだ使い込んでいないシルクラインは、若干硬いというか、しなやかさに欠ける。というわけで、事前に準備をしても、やはりいきなりぐあいよく使えるわけではない。

もちろん釣りができないわけではないので、あくまでベストの状態ではないということだが、逆にいえばここからの育て方しだいで伸びしろがあるということだ。
ほとんどオイルを含んでいない状態のシルクライン。きれいに編み込まれているのがよく分かる

もう何年も使い込んでいるというシルクラインを見せていただいたが、リールから出したとたん、巻きグセなどほぼない状態で、そのまままっすぐに下に伸びていく。

普通のラインなら、伸ばしていくと最後のほうはクルクルと巻きグセがついてしまいがちだが、よく使い込んだシルクラインは、そのようなことはない。
使っていて沈みやすいと感じたら、ラインを逆にしてリール側を先端にして使うのも手だ。このように大きなループを作り、ループ・トゥ・ループでバッキングラインと接続しておくと、向きを逆にするのも容易だ

オイルが塗られているせいでベタベタしているかと思ったが、これもちゃんと乾燥とグリスアップが繰り返されたものであれば、べたつきはほとんどない。

そして、ドライフライ用として使う場合、使い込まれたシルクラインは、一日中使っていても沈みやすくなったりしないそうだ。

育てれば育てるだけ、応えてくれる。シルクラインというのは、愛さずにはいられない道具なのである。

クリーニング法は?

淡水で使っているぶんには、基本的には特にクリーニングをする必要はない。どうしても汚れが気になる場合は、ボウルなどにぬるめの湯を入れ、スプーン1杯ほどの酢で洗う。

長年仕舞い込んでベタベタになったようなラインなら、酢ではなく重曹を3g前後入れて混ぜる。これにラインを浸けて、10分ほどようすを見る。ある程度汚れやべたつきが取れたら、再び乾燥させてグリスアップを行なうとよい。
基本的には酢を使ってクリーニングを行なう。よほど汚れやべたつきがひどい場合だけ、重曹を使ってみるとよいが、その場合は慎重に洗うこと

一気に汚れを落とそうとすると、せっかく染み込ませたオイルまで抜けてしまう。すると一から育て直しということになるので、慎重に行なうべきだろう。

2018/12/21

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