第3回 ドライフライ・テイル材の種類編

嶋崎了のフライタイイング基礎知識

嶋崎 了=解説
嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。 渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。 ティムコ社フライ用品開発担当として、TMCバイス、Jストリームシリーズなど主要製品を数多く手がける。

ほとんどのドライフライに付けられているテイルの機能とは? それぞれ素材と、その特徴とは? フックに取り付ける量も含めて、ちょっとした知識の違いでフライの仕上がりに差が出そうです。


Q ドライフライのテイル材にはどんな種類がありますか?

A 代表的なものはハックルファイバー(ニワトリの毛)、獣毛、化学繊維(シンセティック)、の3種類があります。


ハックルファイバー。テイルに向いたものをセレクトしたものは「テイリングパック」などという名称で販売されている

獣毛。写真はムース(ヘラジカ)の毛で、左が胴体(ムース・ボディーヘア)、右は脚(ムースホック)

化学繊維。これもテイル専用のものが売られている

基本的に求める機能はどれも同じで、フライを浮かせるために取り付けます。テイルはなくてももちろん魚は釣れますが、フライが沈みやすくなることが多くなります。
ドライフライのテイルの主な機能はフライを浮かせること。上がスタンダード、下がパラシュートタイプの考え方
illustration by Ryo Shimazaki


Q 素材それぞれの特徴を教えてください。

A ハックルファイバーは耐久性があり浮力も稼げます。獣毛、化繊は繊細なパターンにもおすすめです。

ハックルファイバーはドライフライのテイルとして最もポピュラーな素材で、扱いやすく耐久性もあって浮力も稼げるのが特徴です。
ハックルファイバーを使ったテイルの例

獣毛は文字どおり動物の毛ですが、よく使われているのは、ムースの胴体の毛(ムース・ボディーヘア)や足の毛(ムースホック)です。これは繊細なドライフライに使用されることが多いですね。

束にして使うこともありますが、少ない本数を左右に振り分けるなどして使います。
これはムースを使った例。束ではなく、2本を左右に分けて取り付けている。スプリットテイルと呼ばれるスタイル

化学繊維の特徴は人工素材だけあって、耐久性が高いです。細いものは束にして取り付け、太いものは左右に分けて使う場合もあります。
化学繊維の使用例。少ない本数でも耐久性が高い

Q 化学繊維一種類だけ使うのではダメですか?

A できれば天然素材と併用して使いたいですね。

化学繊維のみでもダメではありませんが、細かいことをいえば天然素材のほうが優れている場合がありますので、併用するのがおすすめです。ただし、これはほかの部位とのバランスや、使いたい状況、好みによっても変わってきますので、一概に言い切れないというのが正直なところですね。

Q 具体的な使い分け方はありますか?

A 束ねるか、左右に振り分けるかで使い分けるようにしています。

束ねて付ける場合はハックル、左右に分ける場合は化学繊維がメインになります。ただ、個人的には化学繊維の太いものは入手が困難なので、細いものを3本ずつくらい束ねてから左右に振り分けることが多くなっています。

Q テイルを取り付ける際の長さと量の目安はありますか?

A 長さについては、シャンクと同じくらいから1.5倍くらいがよいでしょう。

ハックルを束ねる場合の量については言葉で説明するのは難しいですが、基本的には25~30本でしょうか? もちろんこれはファイバーの太さによっても変わります。

テイルの量や長さに絶対的な目安はなく、フライ全体のバランスをみながら決める
illustration by Ryo Shimazaki


シャンクと同じくらいの長さが基準

ハックルファイバーを30本数えて取り付けた例。これを多いとするか少ないとするかは、やはり全体のバランスによる

また、量に関してはフライを使う水面の状態によっても変化します。たとえば、鏡のようなフラットな水面ならテイルの量は少なくてよいですし、波立ちの激しい場合は多め、といった感じです。

ムースの場合も、左右に振り分けて使うなら、長さはシャンクと同じくらいでよいと思います。化学繊維を束ねる場合はハックルファイバーと同じ、スプリットする場合はムースと同じです。

次回
【隔週連載】嶋崎了のフライタイイング基礎知識
第4回「ボビンホルダー編」は
2017年9月25日(月)公開予定です。

2017/9/14

最新号 2017年12月号 Fall

特集は「川を読む」。秋田県の役内川を例に、まさに「ここに尺ヤマメがいた」というポイントをピックアップ。流れのようす、底石の入り方、水面の波立ちぐあいなどなど、良型が付く場所の特徴を解説します。 また伝説的ともいうべきリールの名品「ボンホフ」と、その製法を忠実に踏襲しようと試みた男の物語を収録。道具に対する釣り人の情熱と愛を感じる内容です。 そのほか、イワナが浮いてフライをくわえる瞬間までばっちり見えるような源流釣行、北海道のアメマス事情、またキューバやオーストラリアのソルトゲームなども掲載。渓流オフシーズンの今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。
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