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第7回 サケの卵を救出(その2)

九頭竜川河川環境改善の取り組み

安田龍司=文

サクラマスを河川環境の指標として、九頭竜川の環境改善を目指す取り組みを行なう「サクラマスレストレーション」。2017年にはその活動が、水環境の保全や水文化へ貢献を行なう団体が選考対象となる「日本水大賞」の『環境大臣賞』を受賞した。本流フライフィッシングの名手でもあり、同団体の代表も務める安田龍司さんが、これまで、そして現在の活動に込める思いをレポート。

《Profile》
安田 龍司(やすだ・りゅうじ)
1963年生まれ。愛知県名古屋市在住。九頭竜川水系において、サクラマスを河川環境の指標として川を守る活動を行なう「サクラマスレストレーション」代表。ストリーマーやウエットフライの釣りを得意としており、各地の本流釣行の経験も豊富。正確な釣りのテクニックに裏打ちされたタイイング技術にも定評がある。
●サクラマスレストレーション http://sakuramasu-r.org/

卵回収の難しさ

今回も前回に引き続き、取水口の砂礫除去作業の影響を受けるサケの卵を救出する作業についてお話ししたい。

参加した仲間たちは少しでも多くのサケ卵を救出しようと、寒い日にもかかわらず川の中にしゃがみ込み、冷たい水に濡れながら頑張ってくれた。

サケ卵の救出作業を進めると、河床硬化の他にも場所によって泥の堆積が問題であることも分かってきた。
少し掘っては卵の有無を確認する繰り返し

河床硬化が進行している場所では、産卵の際に河床を深く掘れない、卵に素早く礫をかけられないなどの理由で、卵が流失したり、ウグイに食べられたりする可能性が高く、産卵床から全く卵が見つからないことも多い。

泥が堆積している場所では礫の隙間に泥が詰まり、たとえたくさんの卵が見つかっても、卵に泥が付着し酸欠となるため、ほぼ全ての卵が掘り出した時点で白化した死卵となっていることもあった。

やはり産卵から仔魚が浮上するまでの生残率には河床環境が密接に関係している。理想的な河床環境であれば水生昆虫など底生動物も豊富に育むことができるため、仔魚から稚魚の成長期にも好影響を与えることが推測でき、河床を含めた河川環境改善の必要性が見えてくる。
できるだけ多くの卵を救出しようと作業

そして事前に危惧していた積算温度の問題については、やはり産卵日にばらつきがあるため、4~5割程度の卵が発眼していなかったようで、残念ながら作業終了時の検卵で死卵も多く見つかった。

しかしサケの産卵が始まった時期から救出作業当日までの日数を考えれば、予想よりも発眼卵が多かったともいえる。これは支川の水温が比較的高いことが要因のようだ。

作業終了後は救出したサケ卵の検卵やゴミを取り除くなど運ぶ準備をして、発砲スチロールの箱に入れてカバーを掛け、紫外線から守るよう大切に扱った。その間、仲間たちは周辺のゴミ拾いをしてくれた。
合間の時間を見て、周辺のゴミを拾う

卵のサイズに個体差?

準備のできたサケ卵はさっそく、福井県内水面総合センターに運んだ。

センターに到着すると所長さんが受け入れ準備をして待っていてくださり、救出作業の様子を報告しながら水槽にサケ卵を収容。この時、すでに孵化した仔魚がいて驚かされたのだが、産卵が始まった時期から計算するとあまりにも早すぎる。
救出した卵を慎重に水槽に収容する

特別早く産卵したサケがいたのか、個体差があるのか……今となっては不明だが、多様性の一端を垣間見た気がした。
すでに孵化した仔魚もいた(中央上部)

また改めて卵を観察してみると、卵径にもかなり差があることも分かった。これは九頭竜川に遡上するサケのサイズがメスで40~70cm、オスで60~85cmと幅があるためと考えられる。特にメスは河川残留型の大型ヤマメよりも小さいくらいで、これ程小型のサケは見たことがなかったため、最初は「あの魚は何?」と思ったくらいだ。
お世話になった福井県内水面総合センターの所長さんとサケ卵を観察

卵径にはかなりばらつきがある

内水面総合センターに収容されたサケ卵は職員の方に4ヵ月間大切に育てられ、翌春3月に救出した支川に無事放流することができた。

この時対応してくださった所長さんと職員の方にはその後も大変お世話になり、現在でも多岐にわたってご協力をいただいており、サクラマスレストレーションにとっては正に運命の出会いであったと言っても過言ではない。
職員の方には、毎日給餌していただくことができた

放流まであと少しまで成長したサケの仔魚たち

サケ卵の救出作業は翌年も行なうことになり、人工産卵場造成と合わせて、それがこの支川における魚道改善のお手伝いをすることにつながっていくのだが、そのお話しは次回から。

この時のサケ卵救出作業から学ぶことは大変多く、その後のサクラマスレストレーションの活動に与えた影響は決して小さくなかったと思う。

2018/10/15

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