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アカサカ釣具

忍野ノート2022

VOL.04 4月3日

佐々木岳大=文と写真
防寒は足もとから。この程度の雪でも、長時間立っていれば冷えは底からやってくる!

《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
 

解禁から例年になく暖たかった忍野ですが、この日、雨の予報がはずれて天候は大雪に…。
いままでに何度もこのような経験をしているので、私の車のスタッドレスタイヤは5月のゴールデンウィーク頃まで履きっぱなしです。
「何も好き好んで荒天の日に釣りに出掛ける必要もない!」と言われれば、返す答えも見つかりませんが、荒天の日の釣りは、荒天の日にしか楽しめないと思うと家でじっとしていることができません。
何より、「なにか起こるかも知れない」という期待感が私を忍野に向かわせます。

大雪に苦労する

11時、道路に雪はないものの、自衛隊橋から見た川岸は完全な雪景色です。
そのまま車を走らせ下流に移動し、[忍野フィッシングマップ:ポイント写真26]から入渓することにしました。


釣りの準備を整えている間に、川岸の雪がどんどん積もっていくのが実感できるほどの大雪です!
準備を整え、ポイントに立って、ひとつ大きな問題に気がつきました。
水分の多い、重たい雪が降り過ぎていて、水面が荒れていて水中の様子を見ることがまったくできません…。
しばらく様子を見ていましたがライズも確認できないので、インジケーターをつけたシステムで安易に最初の1尾を狙いにいくことにします。
何投か気持ちよく上流に遠投し、自分にむかって流れてくるフライラインを手繰りよせていると、重量感のあるサイズのマスがド派手にでました!インジケーターに…。
思わず大合わせを入れてしまい「驚かせちゃったなぁー」と思ったのですが、あれ?なぜかライズを始めちゃいました…。
よくわからない状況ですが、対岸をチョコチョコしている野鳥が、私の目には見えない何かを頻繁に捕食している姿が確認できていたので、前釣行のデータからエラブタマダラの流下を疑い、#20スパークルダンで様子を見ることにしました。(先週確認したエラブタマダラは小さかった!)
大雪で浮いているフライを見るのも困難な状況なので、「色のついたインジケーターのついたドライフライも必要だなぁ」などと考えていると、視界の片隅でマスがライズするのを確認しました。
フライを見失っていたので、もしかして?と思って聞き合わせを入れると、わずかな手応えだけが残り、フッキングしませんでした…。
なんだかまるで、先週(2022_Vol,3)の続きのような展開です。

左下、水面に顔を出している岩盤の落ち込みギリギリにライズを見つけた

ほかにライズもないので、移動することにします。
ポイントごとに立ち止まり、下流にライズを探しながら歩きますが、見つかりません。
通称:金田一の下流に掛かる新しい橋を渡り、まっすぐに上流を見渡せる位置で上記の写真を撮影するのに立ち止まっていると、なんとスグ足もとで1尾のマスがライズしました。
ライズとの距離はスグそこなのですが、手前の流れは速く、ライズ地点は落ち込むギリギリで、流れが停滞する場所なので簡単ではなさそうです。
左カーブでたくさんのスラックが欲しいシチュエーションなので、ややオフショルダーぎみにロッドを振って、バケットキャストで大きなスラックを作りました。
フライが落ちた瞬間、「これはイイんじゃないですか…?」と自画自賛するも、なかなか出ません…。
「ダメかぁー」と思ったところで、本当に落ち込みギリギリの場所で出てくれました!
フッキングと同時に下流の瀬の中に入り、一気にリールからラインを引き出してくれたのはニジマスで、捕食物を確認するとエラブタマダラが大半で、全捕食物の90%ほどを占めています。
気分を良くし、さらに上流へライズを探して移動です。

フッキングと同時に、下流の瀬の中をくだるニジマスのファイト

温泉裏が沸いている!

大雪のこの日、温泉裏のライズが熱かった!

過去になんども大釣りを経験したことのある雪の日ですが、今日はイマイチだと思いながら、さきほどまで2人のフライフィッシャーのいた[忍野フィッシングマップ:ポイント写真25]通称:温泉裏につきました。

一見簡単な流れに見える、ものすごくドリフトの難しい位置に定位して捕食を繰りかえすマス

きっちりフライ・ファーストでドリフトすることさえできれば、かなりの高確率でフライを咥えてくれます。
なかにはフッキングミスやバラしもありましたが、フライ交換することもなく、フロロカーボンの6Xに結んだ#20のスパークルダン1本でたくさんのニジマスをキャッチすることができました。
1時間ほどのあいだ久しぶりの数釣りを堪能させてもらうことができましたが、どうしても獲れないライズがあり納得がいきません。

大きくはないが、エラブタを飽食するコンディションの良いニジマスが楽しませてくれた
おおむねエラブタマダラの偏食傾向が見られたニジマスの捕食物

獲れないライズ

たくさんのニジマスを釣ることができましたが、このポイントでもっとも頻繁にライズを繰り返している魚だけがどうしても釣れません。
結果的にこの1尾に1時間半費やすことになりましたが、なかなか釣れなかった理由は2週間前(2022_Vol,2)とほぼ同じ…。
ライズの主はヤマメで、周囲でライズしていたニジマスは完全にエラブタマダラをターゲットにしていましたが、このヤマメだけは的にしている水生昆虫が異なっていました。
自分の学習能力の低さに呆れるばかりですが、たくさんのニジマスを相手に釣れまくっていたこともあり、何度流しても反応を得られないライズに対し、「フライは絶対にあっている」という過信で、ほかの流下を疑わず、フライ交換をしなかった判断が招いた苦戦です。
ヤマメはエラブタマダラよりもひとまわり小さな、黄色のメイフライを捕食している割合が高く、状況から魚種による捕食物の好みの違いではないかと考えられます。
エラブタマダラとして抜群に効いたスパークルダンを、ドリフトだけを疑ってしつこく流した結果、たまたまヤマメも少量のエラブタを捕食していたので、交通事故的に釣れてしまっただけなのではないかと…。

この日、この1本でたくさんのニジマスを釣った#20スパークルダン。「フライはあっている!」と言う過信こそが招いた苦戦だった
ヤマメの捕食物。エラブタよりも小さな黄色のメイフライが占める割合が高かった

まだまだ修行は足りていませんが、私の学習能力が低いうちは、長くフライフィッシングが楽しめそうです。


[ 使用タックル ]

ロッド:Epic Reference 7’6” #4
リール:Epic Backcountry Reel 3/4
ライン:DT-4
リーダー:7ft 5X
ティペット:フロロカーボン 6X
フライ:スパークルダン#20, ゼブラミッジ#16


2022/5/6

最新号 2024年6月号 Early Summer

【特集】拝見! ベストorバッグの中身

今号はエキスパートたちのベスト/バッグの中身を見させていただきました。みなさんそれぞれに工夫や思い入れが詰まっており、参考になるアイテムや収納法がきっといくつか見つかるはずです。

「タイトループ」セクションはアメリカン・フライタイイングの今をスコット・サンチェスさんに語っていただいております。ジグフックをドライに使う、小型化するフォームフライなど、最先端の情報を教えていただきました。

前号からお伝えしておりますが、今年度、小誌は創刊35周年を迎えております。読者の皆様とスポンサー企業様のおかげでここまで続けることができました。ありがとうございます!


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