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海人スタイル奄美

忍野ノート2022

VOL.12 8月11日

佐々木岳大=文と写真
ポイントを決め、「さぁ、釣ろう!」と思ったら強く降ってきた…。

《Profile》

佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
 

自衛隊橋から入渓し、人気ポイント[忍野フィッシングマップ:護岸上のストレート]を通りかかると、ポイントが空いています。
足をとめて様子をうかがうと、たくさんの鱒がライズしていて、なかには良型も…。
「久しぶりにここでやってみるか!」と意気込んで、ロッドをつなぎ、ふたつ折りにしたフライラインの先端をガイドに通していると、ポツリポツリと冷たいものが…。
ものの数分で、土砂降りになってしましました!
ライズで沸く! 1投もしないうちに、レインジャケットの出番です。
雨に降られるのは別にいいのですが、高い気温と湿度のなか、風を通さないレインジャケットを着用しての釣りは不快ですが仕方ありません。
しかし、雨で活性が高まり、鱒は完全に捕食のスイッチが入った様子です!
CDCアント、フォームビートル、夏のド定番パターンであっと言う間の2桁釣果となり、不快な湿度のなか、気分は最高です!
  • アントは水平姿勢に近い状態で浮く、シマザキCDCアントがお気に入り。

  • フォームビートルはインジケーターなしが佐々木流。(例外あり)

  • 高い頻度でライズを繰り返していた鱒の引きは強い!

  • 3番のグラス竿が大きく曲がり、クリックリールが逆転する!気分は最高!


流芯でライズを繰り返す鱒を、釣ったり、バラしたりしているうちに、だいぶ場を荒らしてしまいました。
しばらくキャストせず、ゆっくりと広域に魚を探すと、自分の立つ右岸上流でフタスジモンカゲロウがポッ!っと水面にあらわれ羽化しました。

数度翅を乾かすようにパタパタと動いた瞬間、川底付近に定位していたと思われる鱒が浮上してきて、二度三度と食いそこなった後に、バサリと大きなダンを飲み込みました。
さっそく6Xのティペットを切りおとし、4Xのティペットにフタスジモンカゲロウのイマージャーパターンを結びます。

まっすぐ上流にアップストリームで投じた1投目、着水と同時にアタックがあり、小さいながらも良く引く虹鱒が釣れました。

フタスジモンカゲロウのイマージャー風にアレンジしたコーンを選択。

その後も適度な間をとりつつ、同じような釣り方でフライがボロボロになるまで、数尾の鱒を釣り上げることに成功し、ちょっとデキすぎだなぁーと感じていると雨があがり、青空も広がりはじめ、レインジャケットを脱ぐと、爽快極まりありません!

こんなサイズの鱒でも大きなフライをガップリ。
改良版を巻くヒントともなるコーンの成れの果て…。



ハイフロート戦略 ところが、快進撃はここまでで、いったん沈黙の時間が続きます…。
雨が上がると、しばらく休めていた流れで再びライズがはじまりましたが、アントやビートルなど、数種のフライを投じても反応が得られません…。
さっきまであれだけ効いていたフライが、見向きもされない非常事態です。
見に来て帰る的な「忍野あるある」ではなく、見に来ません…。
ここは大きく何かを変えるタイミングです。
雨でひと気もなくなっていたので、場所を変えるのは容易ですが、ちょっと悔しい気もするので、もう少し粘ってみることにします。
小さなメイフライパターンやチェルノブイリアントなどを試した後、フライボックスの中に、ブラウン・バイビジブルを発見しました。

#18のブラウン・バイビジブル。ティペットが撚れるのを嫌って、しばらく使っていなかった古典的なドライフライ

フライフィッシングを始めて、しばらくたった頃、西山徹さんのVHSや著書で「スレた鱒にはハイフロート」的な説明がされていたと記憶しているパターンです。
かつて熱心に使っていた時期もあるのですが、年々長くなるリーダーシステムが撚れるのが嫌で、すっかりご無沙汰になってしまったドライフライです。
とは言え、ティペットが撚れるのはわかっている訳ですから、対応すればいいだけの話です。
ティペットを通常よりも2ftほど詰め、#18のフライではありますが、太めの5Xに結ぶことにします。
あまり期待はしていなかったのですが、数投でスポッ!とフライが消え、あれ?っと半信半疑にロッドを立てると、見事にフッキングしていました。
なんか、妙に嬉しい釣れ方です。
調子にのって、そのまま水気を切り、次の1尾を狙いにいきます。
が!まぐれだったのカナ?と思わずにはいられない時間が15分程続きます…。
今度こそ移動して場所を…と、もやもやした気持ちでラインをリールに巻き込んでいるとき、急に「ハイフロート」というキーワードが気になりだしました。
もしかして、1尾釣ってフライが重くなってしまったのではないかと…。

しつこくシャカシャカし、余分な粉を吹き飛ばして、いざっ!

もう試さずにはいられない気分です!
ドライシェイクの中に、ブラウン・バイビジブルを放り込み、しつこいくらいにシャカシャカと容器を振って、真っ白になって出てきたフライの余分な粉をフッ!と吹き飛ばします。

効果てきめんデス!
なぜでしょう? まるでイワナ釣りのときによくある、フライが音もなくスポッ!と消えるようなアタリのでかたが続きました。
ドライシェイクを、これでもか!とまぶしたブラウン・バイビジブルで数尾追加し、今度こそ本当にポイントが荒れてしまったので、スッキリとした気分でポイントを変えることにします。
難しいポイントで、あらためて古典的なハックルパターンの威力に興味を持つ、楽しい釣りを満喫できました。

大きくはないが、嬉しい釣れ方で大満足の1尾。 雨上がりの青空。レインジャケットを脱いで気分爽快!

【使用タックル】

ロッド:Epic Reference 370 7’ #3 4pcs
リール:Hardy Duchess 2 3/4inc
ライン:Epic Glassline DT-3
リーダー7ft 4X
ティペット:フロロカーボン 4-6X
フライ:ツーフェザーフライ #12, コーン #10, フォームビートル #17, バイビジブル #18など

2022/9/4

最新号 2024年6月号 Early Summer

【特集】拝見! ベストorバッグの中身

今号はエキスパートたちのベスト/バッグの中身を見させていただきました。みなさんそれぞれに工夫や思い入れが詰まっており、参考になるアイテムや収納法がきっといくつか見つかるはずです。

「タイトループ」セクションはアメリカン・フライタイイングの今をスコット・サンチェスさんに語っていただいております。ジグフックをドライに使う、小型化するフォームフライなど、最先端の情報を教えていただきました。

前号からお伝えしておりますが、今年度、小誌は創刊35周年を迎えております。読者の皆様とスポンサー企業様のおかげでここまで続けることができました。ありがとうございます!


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