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忍野ノート2021

VOL.06 4月29日

佐々木岳大=文と写真
雨の日の恵み。こんな事がおこるから現場に行かずにいられない
《Profile》
佐々木 岳大(ささき・たけひろ) 1974年生まれ。神奈川県南足柄市在住。ホームグラウンドは地元の丹沢など。C&Fデザイン社に勤務。マッチング・ザ・ハッチの釣りのほか、ドライフライ、ニンフを使った小渓流の釣りも得意としている。
 

荒天の日の心情

午後からは雨脚が強くなる天気予報を聞いて、何となく釣りに出かけるのを躊躇う…。
しかしながら、タイイングデスクでグダグダとフライを巻いて過ごし、そうこうしているうちに13時をまわったタイミングで、ようやく重い腰をあげることにします。
強い雨の日でも、家さえでてしまえば楽しめることは自分でもわかっているのに、何を躊躇っているのか自分で自分がわかりません。
濁りの流入源。かつてはよほどのことが無ければ濁らなかった忍野も、近年は道路からの濁水の流入で、濁りやすい流れになってしまった
14時過ぎ、すでに土砂降りの状況となっていることを考慮し、すこしでも濁りの少ない上流域を釣ろうと考え、漁協駐車場に車をいれました。
貸切です。(笑)
一番上流からポイントをみて鱒を探そうと思い膳棚橋まで歩くと、道路から側溝を通じて流入している濁水が、川をカフェオレ色にしています…。
ここで少し悩み、濁りが薄いであろうと思える、【忍野フィッシングマップ:テニスコート裏】へ移動することにしました。
このポイントは湧水が多く、平水時には深いプールでも、完全に川底が目視できるほどに透明度が高い場所です。一応、ゆっくりと魚影がないかを確認しながら上流から歩を進めていると、テニスコート裏に差し掛かった瞬間、あきらかに何かの捕食に狂ったライズを繰り広げている鱒が目に入ってきました!
倒木の枝の間を流れる流芯で、数尾の良型が頻度の高いライズを繰り広げていた 良型の大きな頭が、ポコンポコンと間髪入れずに持ち上がっていた。(コンディションが悪く、薄暗いポイントゆえ画像が悪いのはご容赦ください)

狂宴

遠目に見ても、高い頻度で持ち上がる頭は大きく、ときに同時に突き出ることもあるので、あきらかに複数の鱒がライズしているようです。
土砂降りの雨のなか、興奮をかくせない状況ですが、ここは慎重に考えるべき状況です。
フッキングした後のことを考えても、ここは下流からアップストリームでのプレゼンテーションが最良と考え、まずは岸を大きく迂回し、鱒に気付かれないように下流側に回り込みました。
ポイントから10mほど下流にある、身を隠すのに最適な木の下からそっと様子をうかがうと…、大変なことになっています!
何尾もの50cm前後はありそうな虹鱒が、完全に流下物に狂っている様子でライズしています。
普段であれば移動するフライフィッシャーの歩く影響を受ける場所でのライズですが、今日は貸切っぽいので慌てる必要もありません。
多少は雨のあたりづらい木の下で、じっくりとライズの様子を観察していると、淡黄に見えるメイフライを捕食するのが見えました。
鱒のサイズを考慮し、淡黄のコンパラダン#20を、5Xのティペットに結ぶことにします。
足場も高く、ライズまでの距離も遠くはないのですが、雨が強く濡れた手でフライを結んだため、高くは浮かず完全にフライを見失いました…。
しかし、フライの流れているであろうあたりで大きな三角の頭が突き出たので、確信をもって竿を立てると、しっかりとした重みがロッドに伝わってきました!
上流にある倒木に入り込まれないよう、そして何よりもこのポイントを荒らして一尾で終わりにならないよう、フッキングと同時に自分も下流に移動してプレッシャーをかけ、ポイントから一気に鱒を引きはがすようにファイトします。
ランディングしたのは、45cm程のコンディション抜群の虹鱒で、ウイングの縮れたエラブタマダラとアカマダラのDDがたくさん捕食されていました。
コンディションの良い虹鱒。暴力的な抵抗でヒヤヒヤさせられた 虹鱒の捕食物、アカマダラ<エラブタマダラ
少しポイントを休ませる意味合いもあり、次はフライを交換することにします。
リリースした一尾目のフライへの出かたから、フライを選ぶことはなさそうだと判断し、ふだん地元の釣り上がりに使用している、ボトムカットしたアダムズ#18を結びました。
一尾釣って余裕が出たのか、冷静に流れの一番下のライズから狙います。
ライズしている鱒は完全に狂っている状況で、こうなると技術もなにもありません。
投じたフライに、なんの疑いもない様子で頭をあげてフライを捕食します。
釣ってはポイントを休ませる作戦で、ほんの数投で、40cmから55cmくらいまでの虹鱒を数尾ものにする快心の釣りを堪能することができました。
この日はこのサイズでも小ぶりに感じた 大きなボートネットに収まった虹鱒。口元のアダムズが嬉しい アカマダラとエラブタマダラの偏食をアダムズで攻略
恥ずかしながら、こんな釣りができるなら、「荒天も悪くないなぁ~」と思わずにはいられない釣行でした。
次の荒天も、出掛けるのは躊躇うと思われますが…。
[ 使用タックル ]
ロッド:Epic 480G グラフェン 8’ #4
リール:Epic Backcountry Reel 3/4
ライン:Epic Glass Line DT-4F
リーダー:7ft 4x
ティペット:フロロカーボン5X
フライ:コンパラダン#20, アダムズ#18など

2021/7/15

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