昼間にメバルを釣る!
第3回 フライについて
寺島亮嗣=写真と文メバルをトップで釣る。それも日が高くなった日中。タックルは、完全にフローティングタックル。ねらうサイズは20cm~尺まで。この釣りでは、メバルのフライフィッシングの常識を覆す光景が日々起こるのだ。
《Profile》
寺島亮嗣(てらしま・りょうじ)
1953年生まれ。福岡県在住。渓流とバスでフライフィッシングをはじめ、現在ではソルトウオーターまで幅広く楽しむ。特にサイトフィッシングの釣りが好き。FFIのインストラクターとして、福岡を中心にキャスティングスクールを主催している。
寺島亮嗣(てらしま・りょうじ)
1953年生まれ。福岡県在住。渓流とバスでフライフィッシングをはじめ、現在ではソルトウオーターまで幅広く楽しむ。特にサイトフィッシングの釣りが好き。FFIのインストラクターとして、福岡を中心にキャスティングスクールを主催している。
はじめに
フローティングシステムでメバルをねらうようになってから、引っ張りの釣りオンリーで使っていたミノー系のパターンは使うフライの一部分でしかなくなった。メバルが食べているだろうあらゆるベイトを視野に入れたフライが考えられるようになったのである。メバルは食えるものなら柔軟に捕食するので、フライを巻くインスピレーションが試されるし、それを読みきれず予想外のフライで大ものがヒットすることもある。そのようすの一部始終が見えるところが昼間ねらうフローティングシステムの醍醐味であると思う。フライを巻く前に
さて、今回はフライの話。だが、フライの前にフックについて考えたいと思う。以前の引っ張りの釣りのときは安易に「管付チヌ」だけでやっていた。アジ釣りの延長だったからだ。飲ませて食い込ませるフッキングだったのである。ところが、フローティングシステムでは表層のリトリーブでの反転食い、フライの真下から食い上げてくる反転食い、中層の居食いなどなど多様な食い方をする。そのため表層から深さ10cmまでのレンジを保て、ナチュラルドリフトが可能な軽いフックが必要になった。そこで、今では、エサ釣りのハリでは、「管付丸セイゴ」「管付波止」「管付きフグ」、フライフックでは「gamakatsuSC-15」「TMC206BL」などを使っている。共通するのは、ファインワイヤ、ストレートポイント、ストレートもしくはアップアイというところである。いずれも表層のサイトで合わせるのに向いたフックだといえる。釣期とフライの関係は
九州では、10月から12月が産卵前、1月から2月までが産卵、3月から5月までが産卵後というのが釣期になり、前期・産卵・後期と便宜的に呼んでいる。産卵期はできるだけ釣らないようにしてアジやカマスを釣っていることが多い。では、前期と後期ではフライが変わるのか。つまりエサが違っているのかという疑問が浮かぶ。今までの概念では、前期では小魚中心で、後期は動物プランクトンがメインのエサとなると決めてかかっていたが、それだけでは当てはまらないことが多いことが分かってきた。それは、後述する胃の内容物を調べてみて分かったことだ。前期でも、オキアミやイカを食べているし後期でのビッグフィッシュは小魚パターンで釣れることが判明してきたからである。未知な部分が多いのが正直なところでこれからの楽しみどころでもある。では、フライパターンについて便宜的に前期と後期に分けて述べてみたい。
前期のフライについて
クラウザーミノー
とりあえず、クラウザーミノー。定番中の定番のフライだが、メバルについては新参者だ。実は、今シーズンはこれ一本でやってみようと何日間かやってみたら強力に効果を発した。沖めでのボイルにクイックキャストする時や、波立ちがある日には効くフライだ。明るい日はチャートリュース、暗い日にはピンクがよいような気がする。前期後期とも使える。フックは管付丸セイゴ12号。SC15#2〜3を使用。まず、前期の胃の内容物を見てみよう。キビナゴがはっきりと分かる。
それに、アミと小イカ。意外だったのは相当な量の小イカが食われていたことだ。
ダブリングミノー
これも、いつでも有効なフライ。大きいサイズだとキビナゴ、小さいサイズだと小イカに見えていると想像される。タイイングは、シャンクに内臓部分になるオレンジ系のブレイデッドティンセルを巻く。その後アイスダブやEPダブをブレンドしてダブリングし整形している。フックは管付波止3号・管付フグ15号。大ものが釣れることが多い。
マイクロマラブー
これは、最近巻き始めたフライで、すぐ巻けてよく釣れる。タイイング所要時間は約1分だ。穏やかな日に水面でプチプチと反転しながらライズしている時、視認性がよく楽に釣りたくて使う。リアルなヨコエビやエビパターンは温存したい時に使う。また、リアルなフライを飽きてきた時、これを使うと連続して釣れることもある。水面近くを漂ってくれるフライなのでリトリーブはごくゆっくり行なう。マイクロUVシェニール・ピンクをボディーを巻き、テイルはバックテイルとマラブーバックを使う。バックテイルは絡み防止のため。フックは管付波止1〜2号。
以上、前期のフライをまとめてみたが、あくまで北部九州での話で瀬戸内海や南部九州ではまた違ったフライが考えられるだろう。
次回は、後期のフライ。産卵を終えて体力を回復させようとするメバルは、最もフライでねらって楽しい時期。ルアーでもエサでも釣れにくいメバルがフライでは釣れる。そんなパターンを紹介したい。
2019/5/17