LOGIN
Little Bell

第23回 ヘアズイヤーニンフ編

ダビングとピックアップ

嶋崎 了=解説

今回は日本の渓流でも汎用性が高く、シーズンを通じて使える定番のニンフパターン「ヘアズイヤーニンフ」について。ダビング材の効果的な取り付け方を中心に解説します。

嶋崎了(しまざき・りょう)
1965年生まれ。江戸川区在住。フライ歴35年。
渓流を中心に、本流、湖もオールラウンドに楽しんでいる。
ティムコ社フライ用品開発担当として、『TMCバイス』、『TMCアジャスタブルマグネットボビン』、『Jストリーム』シリーズなど主要製品を数多く手がける。

ダビング材取り付けのキモは?

ヘアズイヤーニンフのタイイングでは、毛足の長いファーをいかに効果的にダビングするかがコツとなります。アブドメンとソラックスでは同じファーでもボリュームを変えて巻くことで、バランスのよいシルエットになります。

そこで、ソラックス部分はダビング後にファーをブラシなどで掻き出すことになるのですが、こうした場合は2段階でダビング材を巻くのがおすすめです。

まずは下地にかために撚り付けたファーをしっかりとダビング、その上から今後はやや緩めに撚り付けたファーを取り付けます。そして掻き出すのは2度目に巻いたダビング材です。

2度目のダビングはマテリアル量をやや多めに取り付けておき、掻き出しながらボリュームを調整していくと、ピックアップしすぎてシルエットが崩れてしまうなどの失敗が少ないと思います。

ちなみに、ダビング材をスレッドに撚り付ける時は、少量ずつ足すようにしましょう。最初から多めに取り付けてしまうと、巻きながらの成形が難しくなります。

ヘアズイヤーのタイイング手順

まずはシャンク、ソラックス部分にウエイト(レッドワイヤ)を巻き付け、瞬間接着剤を全体的に塗布

瞬間接着剤が乾かないうちに、ウエイト部分も含めてスレッドで下巻きを行なう

テイル(今回はフェザントテイル)をシャンクの真上に、リブとなるゴールドワイヤをシャンク手前側に取り付ける

アブドメンとなるヘアズイヤーをスレッドに撚り付ける。まずは少量を指に取ったら、人差し指の上に乗せたファーをスレッドで押さえつけるような状態にする

前の写真の状態から親指を上に被せ、2本の指でよじるようにスレッドにファーを撚り付ける

指を離すとこのような状態になる

さらにスレッドのボビンホルダー側を持って、スレッドをねじるように撚りを加えていくと、よりファーが細かくスレッドに撚り付けられる

ここでシャンクに巻き始めるが、スレッドに加えた撚りが戻らないよう、ボビンホルダーではなく、スレッドを保持した状態で巻き進める

アブドメンを巻き終えた状態。このパーツはファーをピックアップしないので、ソラックスに比べて細く硬めに仕上げている

リブを均等に巻いて固定

ウイングケースとなるクイルを取り付けたら、再びヘアズイヤーをダビング。まずはアブドメン同様、硬めに撚ったヘアズイヤーをダビング。そしてピックアップ用として、その上からファーを多めに、やや緩めに撚ったヘアズイヤーを巻き付ける
◆ウイングケースの取り付け方はこちら!
第22回 ニンフのウイングケース編

多めに巻き付けたファーをダビングブラシで掻き出す。あらかじめ多めに取り付けておけば、この段階でボリュームを調整しながら作業できる

ウイングケースを被せた後に、再び毛足の出具合を調整。やや下方にも伸びるように掻き出す

完成。上から見ても、ややサイドに広がるようなソラックスになっている



2018/9/3

つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
Little Bell
つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
Little Bell

最新号 2025年6月号 Early Summer

【特集】One Fly, One Soul 1本入魂のタイイング

釣れないフライはありません。しかし、より釣れやすい、より釣りやすいものは確実にあります。
「釣れやすい」とは、たとえば魚がエサと認識しやすいシルエットや姿勢をキャストごとにキープできることや、より刺激的な波動を常に発する構造のこと。 「釣りやすい」とは、たとえばキャスト中の空気抵抗が考慮され、スムーズにプレゼンテーションできることや、簡単には壊れない高い耐久性のこと。
そして、フライは最終的に美しいに越したことはありません。
これら無限の要素を取り入れて、自分で創造できるからこそフライタイイングは楽しいものです。
今号では佐々木岳大さんにドライフライの基礎を、嶋崎了さんにCDCの失敗しない扱い方を、中根淳一さんにキールフライのアイデアを、筒井裕作さんにホットグルーの使い方を教えていただきました。

また、中央アフリカ、ガボンでのターポンフィッシングの釣行レポートやポータブル魚道に関するインタビューなどもお届けします。


Amazon 楽天ブックス ヨドバシ.com

 

NOW LOADING