LOGIN

嶋崎了のタイイング基礎講座03

クイルゴードン編

嶋崎 了=解説

きれいなフライを巻くためには


スクールなどで「きれいなフライを巻くコツはなんですか?」とよく聞かれます。

この質問に私は、「きれいなフライを巻くコツは、きれいに巻こうと思うことです」と答えています。

たとえばテイルがまっすぐつかない、とします。ならばまっすぐ取り付けられるまで練習しましょう。

タイイングでもほかのことでも同じですが、上達するには繰り返すしかありません。

まずはていねいに時間をかけて1本を巻くことをおすすめします。

そうして数をこなしていけば、必ずきれいなフライを作ることができます。

この記事では、基本的なパターンを巻くコツを解説しながら1本を完成させていきます。

初心者の方々にわかりやすいように、ある程度言い切るような表現で解説していくので、ご容赦ください。

第3回目はクイルゴードンです!

クイルゴードンの特徴



アメリカ東海岸で生まれたこのフライのオリジナルはハックルが長くパラリと繊細に巻かれていて、フラットな流れで使うことを目的として作られたようです。

今回は、オリジナルとは違い、現在最も一般的なタイプを巻きます。

ハックルが縦に巻かれた、いわゆるスタンダードパターンですね。

パラシュートはハックルをウイングポストに巻きますが、スタンダードはシャンクに巻き付けます。

これは難しいと思う人も少なくないようですが、シャンクはポストより硬いので、こちらのほうがハックリングしやすいと思います。

難易度はパラシュートと同じか、こちらのほうが低いといってよいかもしれません。

また、このフライは各マテリアルのボリュームと、長さのバランスが重要です。

まずはある程度バランスの基準を決めて、そのとおりの巻いてみる。それを実際に使ってみて、テイルがちょっと長いほうがいいとか、ハックルが少ないほうがいいとか少しずつアレンジするのがよいと思います。

今回紹介するフライは、私なりのバランスで巻いたものです。

投げるたびに姿勢が変わるように巻く方もいますが、私は常に正しい姿勢で浮いてほしいので、テイルを長めに、ほんの少し上むきに取り付けて巻いています。


【マテリアル】
●フック……TMC100B 10〜16番(スタンダード系フック全般)
●スレッド……ベネッキウルトラファインスレッド各色(今回は見やすいようにホワイトにしました)
●ウイング……レモン・ウッドダック
●テイル……コックネック・ブルーダン
●ボディー……ストリップト・ピーコックアイ
●ハックル……コックネック・ブルーダン


ボディー
ボディーの縞模様があることによって釣れそうな感じを醸し出しています。

この模様を出すのに重要なことは、下で解説するような部分のものを使用することです。

もちろん個体差があるので、当たり外れのようなものがありますが、ピーコックアイを裏から見て、白っぽいものを選ぶとよいでしょう。

黒っぽいものでははっきりと縞模様が出ない場合があります。

また、なるべく肉厚のほうが切れにくく、幅広で、きれいなボディーができます。


テイル
昨今のジェネティックハックルはストークが長く、ファイバーが短くなるように品種改良されています。

テイルに適したファイバーがとれないようなら、ハックルと完全に同じ色に揃えるのは難しいですが、テイリングパックやインドケープなどをご使用ください。



実際に巻いてみましょう




フックをバイスにセットします。

シャンクは水平に、ジョーにしっかりと挟んでください。





下巻きは、テンションをかけてしっかり巻きます。

密にきっちりと巻く必要はありませんが、これから乗るマテリアルが動かないようにするためにしっかり巻きましょう。





コックネックからテイルに使うファイバーを取ります。

ハックルの外側に生えているものが、直線的で長めなものが多いです。

まずストークからファイバーを垂直に立てて、先端が揃った状態にします。

揃ったところで、先端を左手の親指と人差し指でしっかりとつまみます。




つまんだら左手は固定して、右手のストーク側を引っ張ると先端が揃ったままきれいにむしれます。

左手でファイバーをむしると先端がずれてしまうことがありますので注意しましょう。




先端はこんな感じです。




先端をずらさないように左手でファイバーを一度まとめ、右手で持ち替えます。





テイルを留めます。

シャンクの真上に軽くスレッドを3回転くらいして、まずは長めに留めます。

次にテイル材の先端側と根もと側をしっかりとつまみ、アイ側へゆっくりとひっぱり、長さを決めます。逆方向へは引っ張れないので注意してください。

この作業で短くしすぎてしまったら、またスレッドを外して留め直しましょう。

また、シャンクを真上からちゃんと目で見て確認しながら作業するときれいに留められます。

パラシュートに比べるとテイルは若干長めです。





ウイングを取り付けます。

レモンウッドダックを1枚用意します。




まずはファイバーを写真のように3分割します。

実際に使うのは真ん中で、先端側はストークごとカット、一番下はファイバーをむしります。




不要な部分を除去した状態です。

ファイバーの量は左右20本ずつくらいでしょうか。

ウイングの量で釣果は変わりませんが、空気抵抗や視認性、姿勢などのトータルな使い勝手とバランスを考慮するとこれくらいが適切だと思います。





表を上にして留めます。

ファイバーを生え際から3mmくらい上にテンションをゆるく3回転ほど巻き、仮固定します。

留める位置はアイから7:3くらい、前に付けすぎると着水時に前に転びやすくなります。





右手と左手でウッドダックのストークとファイバーをしっかりと持ち、シャンクの真上をテイル側に向かって滑らせるように移動させてウイングの長さを調整します。




この時、左手だけで引っ張るとうまくいかないので、右手でもしっかりとつまんで、慎重に少しずつ動かします。

この動作は一方通行なので、注意して作業してください。




長さが決まって目視でウイングが真上に付いていることを確認したらしっかりと巻き留めて固定します。

長さはアイからシャンクいっぱいくらいを目安とします。




8
ウイングの前部の根元にしっかりとスレッドをかけてウイングを立たせます。




9
余りを斜めにカットします。




10
軽くテーパーがつくようにあまりを巻き込んでいきます。




11
ウイングを半分に分けるためまずはテイル方向へ倒します。

シャンクに押し付けるようにしてウイング材を左右均等に分けます。




12
しっかりと左右に分けるため、クセをつけておきます。




13
スレッドをたすき掛けにしてしっかりと分けます。

ここは2回転程度でOKです。




14
ボディーを作ります。

ピーコックアイのシザースで示したあたりのハールを使いましょう。

コントラストが強く、縞模様がしっかりと出ます。




15
フリューリムーバーをつけてフリューを取り除きます。

塗布して先端側からハールが切れないように爪でしごきます。



16
フリューが綺麗に取り除かれた状態です。

コツは……、頑張ってきれいに取り除いてください(笑)。

さまざまな角度からしごいて、きれいにフリューを取り除きましょう




17
ストリップトピーコックの根元側をシャンクに留めます。

黒い部分を上にして留めると巻いた時に綺麗に縞模様がでます。



18
ボディーを若干重ねながら巻き進め、ウイングの根元まできたら固定します。

ストリップトピーコックは切れやすいので注意して巻いてください。




19
ハックルファイバーの長さが、ゲイブの1.5〜1.7倍くらいのものを選びます。

ハックルを2枚、シャンク1回転分の内側のファイバーをむしり取ってから裏を上にして取り付けます。




ハックルを取り付けた状態です。

ウイングの後ろに2mmほどスペースを空けて取り付けます。




20
ハックルを巻きます。

今回はハックルを2枚同時に巻いています。

2枚同時に巻く利点は、ファイバーがかみ合わずに綺麗に密に巻けることです。

この時のコツは、ハックル2枚が巻いている途中で離れないように、必ずぴっちりと保持すること。

2枚同時に巻く時はハックルプライヤーを使用できません。

ハックルプライヤーを使わずに指でしっかりと保持し、1回転ごとにずれたハックルを整えながら巻くとうまくいくはずです。

ウイングの後ろ3回転、前にも3回転くらい巻きます。

2枚同時に巻くのでトータル10〜12回転くらいになります。


ハックルを1枚ずつ巻きたい場合は、2枚取り付けたハックルのうち、後ろ側のハックルから巻いていきます。

次に巻かれるハックルのための隙間を開けながら1枚目を巻いてください。

そして、2枚目のハックルは、最初の隙間を埋めるように巻いていきます。

こちらの場合でもそれぞれ5〜6回転。トータルで10〜12回転です。




24
ハックルの余りをカットして、ヘッドを作りハーフヒッチ、もしくはウイップフィニッシュで完成です。

ストリップトピーコックは切れやすいため、この時点でボディーを瞬間接着剤かヘッドセメントでコーティングしましょう。

今回のまとめ


今回はスタンダードの理想的な浮き方にするために、このようなバランスで巻きました。

スタンダードフライはハックルの先端とフックの先端とテイルの先端が水面に接し、3点支持で浮くのが理想とされています。

そのためには、特にテイルの長さと角度が重要だと考えています。

使っていくうちに水面に張り付くように浮いてしまうこともありますが、きれいに浮いているフライがパックリと食われるのを見るのは、嬉しいものです。

特に高く浮いているフライは魚も強く吸い込もうとするのか、飲み込まれることが多いです。

その派手な出方が楽しいので、常に高く浮くようにフロータント処理をしています。

全体的なバランスに注意しながら、急流でなら厚め、フラットな流れで使うなら薄めとボリュームにバリエーションを持たせたものを用意しておくとよいと思います。

2020/6/1

つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…
つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…

最新号 2020年12月号 Mid Autumn

特集
共鳴するウエットフライ
エキスパートが実践していること

 今号の特集はウエットフライ。十人十色、という言葉がこれほどマッチするフライフィッシングはないかもしれません。エキスパートたちには「この釣りを始めたきっかけ」から、今実践しているテクニックまで、さまざまな質問をぶつけてみました。すると、実は似たような釣り方をしていることも少なくない、ということに気づかされました。
 先般22年ぶりの復刊となった、佐藤成史さん著『瀬戸際の渓魚たち』。Special Topicsと題しまして、阿武隈高地の天然イワナについて現状を取材してきました。日本列島形成の背景をもとに浮かび上がってきたのは、イワナたちの「山越え」という仮説。人類の営みと比べたら気の遠くなるような時間をかけて脈々と受け継がれてきたイワナたちの「血」。そんな歴史を感じることのできる幸福と、現状への警鐘があぶり出されています。
 巻末の長編特集は、来日も幾度となく果たし、「フライキャスティング」に大変革をもたらしたといってよい、メル・クリーガーさんを紹介しています。メルさんをよく知る5名に、知られざる側面を含めた彼の功績、人となりを語ってもらいました。
[ 詳細はこちらから ]

 

NOW LOADING