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たくさんの人が同時に楽しむなら五十嵐川

下田郷を語る01:杉浦雄三さん

FlyFisher編集部=写真と文

フィッシングアドバイザーとして三条市に釣りの提案をしてきた杉浦雄三さん。
本流の五十嵐川に見た好釣り場の可能性とは?


杉浦雄三(すぎうら・ゆうぞう)
1972年生まれ。愛知県高浜市でフライフィッシングのトータルサポートを行なうショップ「TEAL」を運営。クロダイをねらう海のサイトフィッシングも得意だが、犀川、高原川など中部地方の本流釣りにも詳しい。ここ数年はカナダに足を運び、スティールヘッドをねらっている。
●TEAL www.teal-flyfishing.com


三条市、下田郷の魅力を伝えるウエブサイト「Slow & Steady Shitada」もお楽しみください!
Slow & Steady Shitada


ウエットには好適


―― 三条市と杉浦さんの関わりについてお聞かせください。

杉浦 もともとは三条市さんから連絡をいただいて、「一度川を見てほしい」ということだったんです。それで最初に上流の守門川のC&Rに行きました。あそこをメインで盛り上げたいとのことだったのですが、正直、たくさんの人が遊ぶには小さすぎると感じたんです。それだったら本流の五十嵐川でやってみたらどうですか、とお話させていただきました。

―― 今はアドバイザーとしてのお付き合いなのですね。

杉浦 そうです。フィッシングアドバイザーという立場です。


五十嵐川を飯塚喜一組合長と見学。釣り人の立場から感じたことを率直に伝える


―― 初めて守門川を見た時にどういうふうに感じられましたか?

杉浦 まず、漁協さんも含めた三条市の方の最終的な目標は、三条市に人を呼んで活性化したいということだと理解しました。守門川は、とてもいい川だと思いますけど、あの規模だとどうでしょう、「人を呼ぶ」という観点から考えると、ちょっと難しいんじゃないかと。それで、五十嵐川本流はどうですか、という話になりました。


守門川に設定されている吉ヶ平フィッシングパーク。渓流としては規模が大きめだが、本流に比較すると、「収容人数」はどうしても少なくなる


―― 本流は、たまたま見に行ったのですよね?

杉浦 たまたまでした。初めて三条市にお邪魔した時、五十嵐川沿いの道をずっと通って、守門川へ行きました。その道中、五十嵐川は釣れそうだよねえ、魚はいるのかな、と思ってました。でも、2019年のあの時はもうすでに禁漁だったんです。だから、最初に行った時は、飯塚組合長に案内していただいて、サオをださずにぐるっと一周しただけでした。

―― 第一印象としては五十嵐川はいかがでした?

杉浦 僕のホームフィールドのひとつ、宮川(岐阜県)にすごく似ていたので、これはちゃんとやればいけるんじゃないかと思いました。瀬もあるし淵もある。しかも石もある。なので改めて環境の調査みたいなものはやったほうがいいなと思いました。

で、2020年の3月に一度来てみて見て回ったんです。そしたらちゃんと虫もいる、水温もよかったです。だけど、魚がいませんでした(笑)。

丸1日と、半日釣りしたんですが、何も釣れなかった。2日間びっちりやるつもりだったんですが、2日目はもう完全に心が折れて、半日であがりました(笑)。釣れそうなところはだいたいやったかな。でもなんにも当たりませんでした(笑)。


6月の五十嵐川本流。川の環境は申し分ないはず


―― まだその時はC&R協力区間じゃなかったんですよね?

杉浦 そうですね。看板ひとつ立ってなかった。全然釣れないし、アタリもなかったけど、水温は朝がだいたい4℃、日中で6℃くらい。雪代で水も多かったです。夏場の倍くらいの水量はありました。

条件は整っていると思います。あとは魚だけだと。それで、漁協さんがゴールデンウイーク前にニジマスを放流してくれたんです。その時にはもうC&Rの看板も立っていたんじゃないかな?

―― そして実際に釣れたのは6月に行った時でしたっけ。

杉浦 そうです。水がある程度落ち着いて、シングルのタックルでやりました。

釣れた時は、超~嬉しかったですよ(笑)。しかも、やっぱり川がいいんでしょうね、入れて1ヵ月半経たないくらいなのに、魚のコンディションがよくなってましたし。


魚は流心でマドラーをくわえた


待望の五十嵐川1尾目を手にした直後の顔!


釣れてくれてありがとう!


―― しかも瀬の中で釣りましたよね。

杉浦 そうです。だからやっぱりトラウトにとっては棲みやすい川なんだと思います。あの時はほかに、小さいヤマメとニジマスと、もうあとふたつ当たったんだけどフッキングしなかった。


同日、小さなヤマメもヒット


―― あの時はマドラーっぽいフライを使ってました。

杉浦 やっぱりヒゲナガも飛んでましたし。その頃の水温が12〜16℃でした。

でも……、そのあと8月に行った時は、ぜんぜん釣れませんでした。その時の水温は18〜20℃くらいですね。ただ、場所によっては14℃くらいのところもあって、ニジマスは夏も越せそうです。いい瀬もあるから、魚がいれば釣れると思うんですけど……。ウグイは釣れましたけど(笑)。


アクセスの容易さは重要


本流沿いに設置されている看板。アクセスは非常によい


―― 五十嵐川に可能性を感じている部分についてもう少しくわしく聞きたいのですが、やはり川の形とかもよい感じですか?

杉浦 えーと……、なんだろうな。まず、川までのアクセスが楽だということが実は一番重要だと思っているんです。五十嵐川は、ほとんど国道沿いで、車停めてすぐエントリーできるじゃないですか。ポイントまでも近いですし。

あとは、川が真っすぐじゃなくてカーブが連続してくねくねしているし、深い淵もあったりしますし。組合長が「昔はもっとよかったんだ」って何度も何度もおっしゃるじゃないですか(笑)。でも、僕らからしてみれば、今でも充分いい川なんです。

さっき話した宮川の上流部とよく似ています。充分に大きい石が転がっている。長野県の犀川は砂利底が多くて、そことはまた雰囲気が違います。水が減っても隠れるところがあるし、エサもとりやすい。規模からいって、ライズフィッシングが好きな人も楽しめるだろうし、水が減った時は釣り上がりも楽しめるんじゃないでしょうか。

本流のウエットフライの釣りからドライフライの釣りまで楽しめる川って、実はなかなかないんじゃないかな。僕が知ってる犀川は、ドライフライってほぼ無理なんだと思っています。宮川と五十嵐川はいけますね。


6月の水量はこのくらい

―― 逆にウエットでやるには規模が小さすぎるっていうことはないですか?

杉浦 解禁当初プラスαの時期まで、雪代が出るじゃないですか。だから5月いっぱいくらいまでは、スイッチロッドでめちゃめちゃ楽しめると思います。

逆に、ウエットフライで石の裏をねらったりとか、対岸のバンクをねらったりとか、大きすぎない規模の川での楽しみ方ってやっぱりありますよ。スイッチロッドって短いから、ピンポイントでねらうことができます。


初心者にも釣りやすい「適当な規模」


正直、川の規模が大きくなると、それだけ釣るのが難しくなるじゃないですか。でも五十嵐川くらいの大きさなら、初心者の方でもいろいろなポイントまでフライが届くと思うんです。しっかり流せれば誰でも釣れる。水深もだいたいが腰前後の深さだからねらいやすいですし。

あと、五十嵐川ってポイントがはっきりしてるんです。魚の居場所が分かりやすい。「あそこは魚がいそうだな」っていうのがひと目で分かる。


ドライフライでも充分楽しめそうな流れ


―― 雪代で、水の色がついてるのは釣果にはあまり関係ありませんか?

杉浦 関係ありません。

―― それ以降は水が減ってきて……。

杉浦 そうですね。6月頭くらいから水が引き始めて、9フィートくらいのシングルでウエットフライ。ガチャガチャの瀬に魚が入ってるから、そういうのが面白いはずです。ドライやニンフで釣り上がってもいいとも思います。アップのウエットとダウンのウエット、両方ともできますからね。

―― じゃああとは魚だけですよ、と(笑)。

杉浦 本当にそうです(笑)。

―― 近くに道の駅があるっていうのもいいですよね。

杉浦 そうですね。ご飯食べるのも、トイレ行くのも。駐車場もたくさんありますし。僕は岐阜と長野くらいしか知りませんが、なかなかないと思いますよ、あんなに環境が整った本流は。





五十嵐川沿いの道の駅と併設されたレストラン。こういう施設は釣り人にとってもありがたい


今、オフシーズンの冬季釣り場が増えてますから、新潟県も通年できるようになれば最高ですよね。もっと魚の数が増えて、道の駅が情報発信源になったり、休憩場所、待ち合わせ場所になったり、釣り券買えたりして、なんなら釣り具レンタルとかもあれば一丁上がり、なんじゃないでしょうか(笑)。


杉浦さんおすすめ。五十嵐川本流向きウエット


EPブラシ・マドラー
●フック……バリバス2410V#4
●スレッド……ユニコード12/0(ホワイト)
●テイル……ラムズウール/ラスト、フィンラクーン/ゴールデンイエロー
●ボディー……EPブラシフォックス(オリーブ)&EPブラシクラフト(ブラウンオリーブ)
●ウエイト……タングステンビーズ(L)ゴールド
●ハックル……ベイトボディー/ブラウン
●ヘッド……スピンディア
※解禁当初から雪代全盛期まで、ストリーマーフライとして活躍。カジカなどの小型ベイトのイミテーションとして実績が高い。


シナモンセッジ
●フック……バリバス2410V#6
●スレッド……ユニコード12/0(ホワイト)
●タグ……フラットティンセルシルバー(M)
●テール……ピーコックソード
●ボディー……フラットティンセルシルバー(M)
●リブ……オーバルティンセルゴールド(S)
●ハックル……コックドレオンサドル
●ウイング……ヘンサドル・ジンジャー4枚
●ヘッド……スピンディア
※ヒゲナガが出る5月から使うフライ。瀬釣りで威力を発揮する。ヒゲナガを見かけたらまずこのフライを結ぶ


Newアレキーズ
●フック……バリバス2410V#8
●スレッド……ユニコード12/0(ブラック)
●テール……ゴールデンフェザント・ティペット(アイビスレッド)
●ボディー……フラットティンセルゴールド(M)
●リブ……オーバルティンセルシルバー(S)
●スロートハックル……ピーコックグリーンフェザー&ギニア
●ウイング……ピーコックソード
※ヒゲナガシーズンから初夏にかけてのテレストリアル系のウエットフライ。真昼間や濁りがある時にも高実績。


ブラックスモール・セッジ
●フック……バリバス2410V#10
●スレッド……ユニコード12/0(ブラック)
●テール……ピーコックソード
●ボディー……クレイジーダブ(ブラックピーコック)
●リブ……オーバルティンセルゴールド(XS)
●スロートハックル……ナチュラルブラック・ヘンサドル
●ウイング……ブラックピーコッククイル
※小型セッジのイミテーションです。低水温でもハッチする小型のセッジは解禁当初からもよく見られ、捕食対象となっている。日中、気温が少しでも高くなった時に活躍。

三条市、下田郷の魅力を伝えるウエブサイト「Slow & Steady Shitada」もお楽しみください!
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2021/3/15

最新号 2024年6月号 Early Summer

【特集】拝見! ベストorバッグの中身

今号はエキスパートたちのベスト/バッグの中身を見させていただきました。みなさんそれぞれに工夫や思い入れが詰まっており、参考になるアイテムや収納法がきっといくつか見つかるはずです。

「タイトループ」セクションはアメリカン・フライタイイングの今をスコット・サンチェスさんに語っていただいております。ジグフックをドライに使う、小型化するフォームフライなど、最先端の情報を教えていただきました。

前号からお伝えしておりますが、今年度、小誌は創刊35周年を迎えております。読者の皆様とスポンサー企業様のおかげでここまで続けることができました。ありがとうございます!


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