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Little Bell

今年は面白くなると思います

下田郷を語る02:飯塚喜一組合長

FlyFisher編集部=写真と文


五十嵐川漁協組合長として、釣り場環境と漁協運営に危機感を持ち続ける飯塚喜一さん。
釣り人の意見に耳を傾け、新しい挑戦を続けている。


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飯塚喜一(いいづか・きいち)
五十嵐川漁協代表理事組合長。五十嵐川、守門川の釣り場環境を整えるために積極的に活動中。地元で釣りを覚え、フライフィッシングの経験もある。アドバイザーである杉浦雄三さんの話にも熱心に耳を傾ける。
●五十嵐川漁協HP http://www.ikarashigawa.com/ 


いい魚が釣れれば釣り人は来てくれるんです


―― 改めて、組合長のプロフィールを教えていただけますか。

飯塚 出身は旧下田村ですね。組合長歴は6年目です。釣りは22、3歳の時からエサでイワナ釣りをやってました。笠堀ダムに流れ込む沢がいくつもあるんですけど、ダムに滝状に流れ込んでいるんです。初めて連れていってもらった時は、「こんなところに魚なんているわけねえべ」と思うような小さな淵の連続のような沢だったんですよ。でもそこで釣れた。イワナっていうのは不思議な魚なんだなあと思ったのが最初です。そこから始まりました。

―― フライフィッシングもやられていたそうですね?

飯塚 そうですね。とは言っても、実際フライフィッシングをやったのは数年です。たしか40歳くらいだったと思います。以前よりも山奥に入っていく体力がなくなってしまったので、今はアユ釣りです(笑)。


2020年10月に五十嵐川沿いで行なわれた「FLY FIHING EXPO下田郷」にて、渋谷直人さんのレクチャーを熱心に見学する組合長(写真右)


―― 守門川はいつごろC&Rがスタートしたのでしょうか?

飯塚 5年くらい前ですね。最初は「吉ヶ平フィッシングパーク」の1km区間だけだったんです。そういうC&Rにして特別な料金を設定できる釣り場としては、新潟県の許可が1kmまでしかおりないんですよ。そこから、「C&R協力区間」として強制力はないのですが、区間を下流へ延長してきました。組合員で決めた規則で「そこはリリースしてください」っていうあくまでもお願いをしている、という区間です。


吉ヶ平フィッシングパークの流れ。素晴らしい渓相


―― 漁協としても、C&Rなど釣り場作りの取り組みをやっていかなければいけないという意識からのことでしょうか?

飯塚 そうですね。これC&Rじゃなかったら1人3尾ずつ持って帰ったにしてもけっこうな数になるじゃないですか。人がたくさん入れば。うまい人10尾以上釣っちゃうんで、なおさらですよね。C&Rにしなかったら長持ちはしないと思います。

―― 五十嵐川本流のほうは杉浦雄三さんがいろいろと意見を出されてやられています。2019年のシーズンオフに杉浦さんと初めて意見交換されて、2020年にはC&R協力区間としてスタートしましたが、漁協の動きが速いな、というのが一番印象的でした。そのあたりは組合長はどうお考えですか?

飯塚 いやあ、まあ普通のスピード感だと思います。とにかく、このままじゃどうにもならない、という感覚がありますので。なにかしなければ、というのがあります。組合員が10年前の半分になってるんですよ。っていうことは、半分の収入しかないわけですよね。それで、どうやって運営していこうかという問題が出てきますので。



市役所や杉浦雄三さんとミーティングを積極的に重ねている


―― 杉浦さんは五十嵐川の対象魚はニジマスがよい、と強くおっしゃってます。

飯塚 そうですね。私も、まず水温的にニジマス以外考えられないと思います。夏場になるとかなり水温が上がるので。イワナだったら深い淵がある場合は居着くんでしょうけど、今はそこまで深い淵や湧水が出る場所がなくなってしまいました。まあニジマスだったらある程度大丈夫だろうと考えています。


2020年6月に杉浦雄三さんが五十嵐川で釣ったニジマス


―― 2020年を振り返って、新型コロナウイルス感染症など困難な状況でしたが、手応えはいかがでしたか?

飯塚 遊漁券の売上は上がっています。2020年はアユもよかったんですよ。

―― ニジマスの効果も少しはあった印象ですか?

飯塚 やっぱり最初は釣れたんでしょうね。その効果だと思います。ただ、ニジマスだけじゃないと思いますよ。C&R区間にイワナもヤマメも放してますので。年券と日釣り券が何回も足りなくなったりしました。

―― それはすごいことですね。それは渓流のお客さんということですか?

飯塚 そうです。やっぱり魚が釣れれば釣り人のみなさんに喜んでもらえる、という単純なことなんだと思います。個人的には、やっぱり釣りの醍醐味はイワナよりはニジマスのほうが楽しいんじゃないかと思っていますし。


放流も一箇所にまとめるのではなく、少量でも区間完全域で行なう


―― たとえば、ほかの県でもニジマス釣り場っていろいろあると思うんですけど、そういったところをなんとなく参考にしているとか、気になっている、というところはありますか?

飯塚 市のほうからお誘いを受けていたんですけど、新型コロナウイルス感染症の関係でなくなっちゃったんですよね。でも、視察の話はありました。

あとは冬季釣り場ですよね。2020年も他県でいくつかオープンしてるじゃないですか。だから五十嵐川でもって、この前県に話しに行ったら、条例でニジマスの禁漁期間が決まっちゃってるんですよ。私、ニジマスは禁漁期間がないと思っていたものですから。だからこれは難しいですねとなった。うちは雪もありますからねえ。「吉ヶ平フィッシングパーク」も6月からのオープンになっちゃうので、解禁期間は結構短いんです。

―― そこを突破するのは難しいのでしょうか?

飯塚 う〜ん、どうなんでしょう(笑)。もう条例自体がかなり古いものなので、なんとか動いてほしいのですが……。

―― 今後の五十嵐川の本支流のイメージをお聞かせください。

飯塚 春からアユの解禁まではトラウト、夏になったらアユ、こういう2つの軸でやっていきたいというのはありますね。

―― 本流の解禁は3/1ですよね。

飯塚 そうです。

―― その頃、五十嵐川の本流はフライフィッシングができそうな水量ですか?

飯塚 う~ん、まだ今年はちょっと早いかなあと。でも、支流と違って釣りはできる状態だと思います。本流なら雪があっても簡単に川へ降りられますので。

雪代が終わるのは4月入ってからでしょうね。3月いっぱいは雪代です。

―― 解禁に向けて放流はされましたか?

飯塚 2月25日、26日に、ニジマス40~50cmクラスを放流しました。イワナは少し小さい、23cmくらいのを放しました。けっこうおもしろいと思うんですよ、これだけ放せば。前回の放流のしかたとはちょっと違って全域に放していますし。

私は解禁当初本流で釣るっていうのはあまりやったことないですよ。本流は規模もある程度ありますし、そういう意味では本流にニジマスっていうのはいいなと思っています。ポイントも多いですし。これから面白くなるんじゃないでしょうか。

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2021/3/15

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