LOGIN
WILD LIFE

日本的な風景の中に川がある

下田郷を語る03:ビル・ロスさん

FlyFisher編集部=写真と文

下田郷のブランディングディレクターとして関わるミネソタ州出身のウイリアム(ビル)・ロスさん。
外国人の目に映る下田郷の魅力とは。


三条市、下田郷の魅力を伝えるウエブサイト「Slow & Steady Shitada」もお楽しみください!
Slow & Steady Shitada



ウイリアム(ビル)・ロス
アメリカ・ミネソタ州出身。新潟県妙高でアウトドアガイドサービス「dancing snow」を運営。ライターとしての経験を生かし、各地のブランディング戦略に貢献する。下田郷のウエブサイト「Slow & Steady Shitada」のコピーライティングを含め、トータルのブランディングを担当する
dancing snow HP https://www.dancingsnow.com/


ちょっとだけ山のほうへいくと、別世界


―― ご出身はアメリカですか?

ビル 出身はアメリカのミネソタ州です。大学を卒業してすぐに日本に来ました。最初は2年間文部省(当時)に勤めていたんですよ。その時代は、英語の先生はもっと英語を使いましょうということになっていて、それで新潟県の西の1/3の学校をあちこち行って、先生たちに会って学校でセミナーをやっていたんです。けっこう楽しかったですよ。

―― それがおいくつくらいの時だったのですか?

ビル 大学卒業してちょっと仕事をした後でしたから、23歳か24歳の時ですね。

―― それ以来ずっと日本にいらっしゃるのですね?

ビル そうです。文部省の仕事を2年間やって、楽しかったけど、メインはライターの仕事をするようになりました。

旅行雑誌の編集をやっていたんです。コピーライターとか、ブランディングとか、キャッチコピーとか、けっこう観光関係の仕事も多くて。メインは印刷物だけど、いろいろやりました。

―― そして今はスキーのガイドもされてらっしゃる。

ビル スキーはもともと好き、若いうちからやっていたんですよ。ミネソタのあたりはスキーが盛んでした。日本では湯沢のほうに友達と一緒に行ったんです。でやってみてこれはおもしろいなと思った。当時仕事はすごい楽しかったけど、やっぱりそんなに休みが取れないじゃないですか。で、妙高に来て、スキーガイドの会社を作りました。もう10年くらいになるんじゃないかな。

―― フライフィッシングはいかがですか?

ビル 中学、高校生の時に。うちの両親がキャンピングカー買ったんですよ。その車をウィスコンシン州の森の中に置いてたんです。夏のあいだはそこに毎週行って、それで毎日釣りやってた。フライフィッシングで。タイイングも好きだったし。この前もすごく久しぶりだったけど、「あ、ちょっと覚えてるな」と思いました(笑)。


吉ヶ平を釣るビルさん


―― 今三条市とはどういうお付き合いになるのでしょうか?

ビル 新潟県のインバウンドに関する企画にも参加して、準備したりレポート書いたり、ということもやっていたんです。そしたら、現在の三条市営業戦略室室長の森田誠さんに、一緒にしませんか、と声をかけていただいて。そこからです。
―― なるほど。ウエブサイトのタイトル「Slow&Steady Shitada」という名前もビルさんが?

ビル そうです。英語のことわざで、「slow and steady wins the race」というのがあるのですが、そこからとりました。何パターンか出して、「この中から選んでください」と聞いて決まる感じですね。言葉は考えるけど、最後はチームワークですよ。大事なことは、英語だけど日本人も分かるようじゃないとだめだということ。逆に日本人が考える英語のスローガンは全然分かんないですから(笑)

―― 下田郷の渓流はいかがでしたか?

ビル 釣りのことは、意外でした。あんなに綺麗なところがあるんだと。うちのお客さんは80%くらいが外国人だけど、けっこうそういうところに行きたい人も多いと思うんですよ。皆日本がこんなに自然が綺麗がなんだということを知らないんですよ。ゴジラとかモスラの映画しか知らない人がまだいっぱいます(笑)。だからこういう自然を見ると、外国人は意外とびっくりするんですよ。いい意味で。

―― それは日本が長いビルさんから見ても、あそこは魅力的な場所に映りますか?

ビル ラフティングができるところもすごく綺麗だけど、山のほうのフィッシングパークとか、多分連れていけば釣り人は本当に喜ぶと思うんですよ。日本的な風景の中に川があるというのが楽しいですよね。田んぼとかね。

聞いたことあるのは、小さいサイズの田んぼはアメリカにはないんですよね。ある外国の方が、田んぼの横に座って1日中見てたんだそうです。小さい緑のカエルとかいるじゃないですか、ああいうのとか、鳥が飛んで、っていうのが全く違う世界だったって。


下田郷の水田。私たちにとっては見慣れた光景だが、外国の人にとっては異世界


うちにも2回くらいリクエストがありました。うちのウエブサイトからはスキーの問い合わせがメインになりますが、あるアメリカ人が、世界中のマス系の魚を全部釣りたいと言って、問い合わせてきたんです。僕も釣りは好きだけど、実はうちのガイドのもうひとりは、アメリカ人だけど日本生まれ。ずっと日本にいて、大学だけはコロラド州、今は信州大学の魚の専門家という人がいて、その問い合わせを聞いたら「ぜひガイドやりたい」と言っていました。結局そのお客さんは来なかったけど、そういうマーケットは全然あると思うんですよ。

―― ビルさんから見て、下田の自然のいいところを教えてください。

ビル アメリカ人のイメージで見ると、ちょっとだけ山のほうに行くと急に別世界に入るというイメージがあります。綺麗な田んぼから、急に林道とかに入るとなんか違う世界に入ったなと感じるんです。そっちに入ると全部が落ち着いていて、リラックスできるというのがあるんじゃないですか。


釣りはひとりでも楽しめる。Slow & Steadyな時間


あとはだんだん勉強していくと伝統的なことも面白いと思います。近くに鉄の世界とか、ものづくりの世界があるし。それも外国人はけっこう興味あるんですよ。刃物とか包丁ね、私も買ったんですよ(笑)。

―― ビルさんが思う、下田郷に行ったらこれは食べといたほうがいいよっていうご飯はありますか?

ビル えっとね……、いろいろあったんですよ。ひこぜんとか、カレーもおいしい。こくわカレーかな。塩ラーメンもありました。いっぱいあったね。笹団子のおばあちゃんも面白かった(笑)。

―― なるほど(笑)。個性がある食べ物が結構ありますからね。

ビル でも、やっぱり自然ですよ。下田郷はフィッシングのほかにも、キャンプ、ラフティング、サイクリングといった観光資源がいっぱいあります。なかでも、フィッシングっていうのは、”Slow & Steady”の最たるものですよ。英語のことわざ、”Slow and steady wins the race.” 「ゆっくりと着実にやれば勝てる」、いわば「急がば回れ」。釣りは本当にひとりを楽しむ時間になると思うんです。別の世界を全部忘れることができるスローでステディな自分だけの時間を見つけられると思います。

三条市、下田郷の魅力を伝えるウエブサイト「Slow & Steady Shitada」もお楽しみください!
Slow & Steady Shitada



2021/3/15

つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
WILD LIFE
つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
WILD LIFE

最新号 2024年12月号 Early Autumn

【特集】マスのきもち

朱鞠内湖のイトウ、渓流のヤマメ、イワナ、忍野のニジマス、九頭竜川サクラマス本流のニジマス、中禅寺湖のブラウントラウトなど、それぞれのエキスパートたちに「マスのきもち」についてインタビュー。

色がわかるのか、釣られた記憶はいつ頃忘れるのか、など私たちのターゲットについての習性考察していただきました。

また、特別編として、プロタイヤーの備前貢さんにご自身の経験を、魚類の研究に携わる、棟方有宗さんと高橋宏司さんに科学的な見地から文章をいただいています。

みなさんの情熱が溢れてしまい、今号は16ページ増でお届けします。

「タイトループ」セクションでは国内のグラスロッド・メーカーへの工房を取材。製作者たちのこだわりをインタビューしています。


Amazon 楽天ブックス ヨドバシ.com

 

NOW LOADING