もう一度確認! 遊漁券の意味と役割
渓流釣りには「遊漁料」が必要です。
『つり人』編集部=まとめ渓流釣りを楽しむ際は、その川を管轄する内水面漁協への「遊漁料」の支払いが必要になる。今回は、あらためて遊漁券(日釣り券/年券)その意味と役割をまとめておきたい。
この記事は『つり人』2018年3月号に掲載されたものを再編集しています。
今回の記事は『つり人』2018年3月号より。
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遊漁料の支払いは公共のルール
日本の内水面(海面でない、渓流を含む河川や湖沼)には、地元の内水面漁協が第5種共同漁業権(※)の免許を受けている水面が多く存在する。これは水産資源の保護培養・漁業調整等の観点から、漁業関連法によって認められたもので、内水面は海面と比べ「組合員以外の採捕者(遊漁者)も多い」、「立地的条件などから水産動植物の採捕が容易なため、多数の採捕者による乱獲により資源が枯渇するおそれが大きい」といった事情も考慮されている。
第5種共同漁業権の免許を受けた内水面漁協には、遊漁規則を設けて遊漁者の採捕を規制することが認められる。その一方、漁業権魚種に対する増殖義務が課せられる。
漁業権魚種というと分かりにくいが、つまりはヤマメやイワナなどの具体的な魚だ。また、増殖義務は主に放流とされている。
漁協の遊漁規則は好き勝手に作れるわけではなく、組合員自身の採捕を規制する漁業権行使規則に比べて不当に厳しいものにならないように配慮されなければならず、それを担保する知事の認可が必要だ。
その際は、遊漁料の額が漁業権魚種の増殖および漁場の管理に要する費用に比して妥当であることや、遊漁を不当に制限しないことも認可要件になっている。全国の内水面漁協による放流もこのルールに基づいて行なわれており、遊漁料(日釣り券、年券)の金額も同様である。
少し硬い説明になってしまったが、大切なのは現在の日本において、「多くの人が内水面の釣りをなるべく公平に楽しめるように、完全ではなくても長い時間をかけて作られてきた公共の制度」がこれらのルールであるということ。
たとえばの話、「魚が釣れたら払えばいい」という性質のものではないことがお分かりいただけると思う。
近年、ほとんどの内水面漁協は組合員の高齢化や慢性的な人手不足などの課題に直面している。一方で、渓流魚が増殖するのに本来必要な健全な河川環境、必要な移動が充分にでき、産卵増殖もできる川というのは、とどまることのないダム建設や砂防堰堤などによって、残念ながら悪化しているところがほとんどである。
日釣り券は、釣り場近くのコンビニや、一部の漁協では自動販売機(写真)でも購入できる。年券は漁協に申し込み写真なども添えて発行してもらう場合が多い
釣りを楽しんでいるなら、楽しい釣りをこれからも続けたいと思うなら、これらの問題は決して人任せにしていいものではない。と同時に、まずは一人の釣り人として、決められた遊漁料などはきちんと支払ったうえで釣りをする。そうした姿勢を持つことがとても大切になる。
(※)内水面では、第1 種共同漁業権と第5 種共同漁業権が漁業協同組合(漁協)に免許される。第1種は藻類・貝類などの定着性の水産動物を目的とする漁業権。第5 種は内水面において定着性の水産動物以外を目的とする漁業権。
2018/2/9