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Little Bell

嶋崎了さんのMVPフライ3選

MVPとなったフライをご紹介します

嶋崎了=解説 編集部=写真
フライ

この記事はFlyFisher No.303を再編集したものです。

遊びで、仕事でフィールドに立ち続けるティムコ社の開発担当、嶋崎了さん。2021年シーズンに釣りしまくって、「これは釣れる」と確信が持てたドライフライがここに紹介する『クモ』と『べんじょアブ』と『スペントパターン』だ。出番の多さはべんじょアブ=5、クモ=3、スペント=2の割合。


渓流のドライフライMVPということですが。
嶋崎 春は除いて、6月以降はほとんどこの3 本のローテーションで釣れていました。やはりべんじょアブはメジロアブが多いときに圧倒的によかったですよ。クモはオールマイティーに釣れますし、スペントはお助け的に、なんか釣れないな、という時に出番が多かったです。ただ僕の場合、フライはブームがあるから、あくまでも今はこの3 本を信頼している、ということです。もちろん渋い時や、フラットでライズしているような時は別のフライにします。

フライ 長いハックルを持つ「スパイダー」パターンのパラシュート版。日本の渓流でもすっかり定着したといってよいだろう。もともとスパイダーは釣れるフライだが、フッキングをよくするためにパラシュートに巻いている。水面に乗った長いハックルが微妙に動き、魚を「吸い上げて」くる。

フライ こちらもすっかり定番化したパターン。ウイングがなければ普通のぶらさがりのパラシュートだが、このウイングがあると確実に釣れることが多くなる。このように左右同じように水平に取り付けるのは一筋縄ではいかないが、試行錯誤して誰にでもスムーズに取り付けられる方法を見つけたので紹介したい。

フライ このスタンダードなスペントパターンが釣れると確信を持てたのは、ここ2年ほどのこと。去年は、ほかのフライではまった<釣れなくて、このフライを投げたら釣れたということが3 回あった。3 回あれば自信もつくし、信頼も生まれる。現在では使う人が少なく、フロータント処理によりさまざまな浮き方に調整できるのも使い勝手がよい。


スペントパターンはこれまであまり使ってなかったような印象です。
嶋崎 そうなんです。ここ数年使っていて、釣れるなという確信が持てるようになりました。ウイングが白いから見やすいし、去年は窮地に立たされたときにこのパターンで救われたことが何度かあります(笑)。3 本ともに壊れかけたときでも釣れるという感じなんですよ。思い込みかもしれないけれど、共通している気がします。


空気抵抗という面ではいかがですか。
嶋崎 クモとスペントパターンはある程度空気抵抗があって、それが使い勝手がいいんです。勝手にふわっと落ちてくれるというか。僕はロングティペットを使うことが多いので、空気抵抗を受けて落ちてくれて、勝手にティペットを折り曲げてプレゼンテーションしてくれるところがいいですね。あまり気を遣わなくていいので。エルクヘア・カディスのような空気抵抗の少ないフライだとターンオーバーしすぎちゃって逆に使い勝手が悪い時があります。


ロングティペットだと特にスタンダードは回転しませんか?
嶋崎 なぜか回転しないんです(笑)。たぶんキャスティングの方法が大きい気がします。前後に水平にストロークさせるキャスティングだと回転してしまうんです。理由はよく分かりません(笑)。リストを使って2 次元的に回転を意識したキャスティングをするようになったらフライが回転しなったと思います。不思議なんですけど。あとはロッドを動かす面がズレて、ラインがよれるようなキャスティングをしてしまうとやはりフライも回転します。感覚としてはよれたラインをそのまま使っていてもさらにフライが回転する気がしますね。ストロークの面を平面にすることはとても重要なんだと思います。フライのバランスでいえば、ハックルが短くてウイングが長いのは回転しやすい気がしますし、ファイバーがストレートでそれほど太くないものであれば、扱いやすいはずです。重いフック、TMC でいえば9300などを使っても回転しにくくなるとは思いますが、それだとやっぱり浮力が落ちるし、ふわっと着水しないので嫌なんです。


ふわっと着水する感じはやはり重要ですか。
嶋崎 そうですね。ハックルが縦に巻いてあるフライもロングティペットで使えるようになったので、改めてこのタイプのフライの利点が実感できるようになりましたが、ふわーっと飛んでいってふわーっと落ちるからむしろ釣れる気がします。フロータントの調節しだいで、半沈みも高く浮かせることもできますしね。パラシュートがオートマだったらこっちはマニュアルというか。あとはフライがきれいですしね。これぞドライフライ、という形だし、抽象的に虫っぽいじゃないですか、流れている感じが。スタンダードは水面に乗っている雰囲気が自然に溶け込んでいるというか、ちょっとした波でころっと動いたり、本物っぽい生命感があります。あとは、それまで釣れなったのにこれを投げたら釣れた、ということが3 回あったんですよ、去年。3 回があれば自信がつくじゃないですか(笑)。3 回で信頼が生まれました(笑)。


スペントという形も有効そうです。
嶋崎 アメリカのヘンリーズフォークヘ通っていた時も、結局スペントタイプのフライが有効だったという印象があるんです。ベんじょアブだってウイングがあるのとないのでは釣れ方が違うと思いますよ。べんじょアブは、ウイングが両方がなくなると釣れない気がするし(笑)。


クモ、べんじょアブともポディーはフォーム材ですね。
嶋崎 浮力と軽さ、ボリュームが同時に出せますから。ダビング材であそこまでボリュームをだそうとするとそれほど軽くできない。当たり前ですけど、虫ってすごい軽いから、フライが重くなってしまうと本物から遠ざかってしまうと思うんです。ただでさえハリが重たいですからね、それをできるだけ軽くしたいんです。だからフォームを気泡を漬さないように、気をつけて巻いています。


今年もこの3 本がメインでいきますか?
嶋崎 新しいMVP が生まれる気配は今のところありません(笑)。だからとりあえずこの3 本になるでしょうね。まあ、スペントパターンは落ちるかもしれないです。もっと使い勝手がいいフライがあるかもしれません。でも、クモとべんじょアブは一生MVP だと思います(笑)。


タイイング方法は以下からチェック


クモのタイイング


べんじょアブのタイイング


スペントパターンのタイイング




2024/11/26

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