「早く掛ける」ためのリグとフライ 後編
100尾掛けにも耐えるフライ
西沢 八功=解説管理釣り場の大会はスピード勝負。そこでは、より早く魚のいるタナにフライを届け、より小さなアタリまでも感知するという技術が要求される。そうした釣りに使うフライパターンと、そこに隠された工夫を紹介。
この記事は2016年2月号に掲載されたものを再編集しています。
にしざわ・はちのり
長野県植科郡在住。ティムコ社主催の管理釣り場トーナメント「T-Area Games」の入賞常連者。限られた時間に尾数を競う大会で、ウレタン・ショックリーダーとヘラ用のインジケーターを流用したシステムで、いかにすばやく、細かいアタリをとるかというテクニックを追求している。
長野県植科郡在住。ティムコ社主催の管理釣り場トーナメント「T-Area Games」の入賞常連者。限られた時間に尾数を競う大会で、ウレタン・ショックリーダーとヘラ用のインジケーターを流用したシステムで、いかにすばやく、細かいアタリをとるかというテクニックを追求している。
瞬間接着剤を効果的に使用する
トーナメント中、1日で100尾釣りを達成するためには、耐久性のあるフライタイイングも欠かせない要素。そのために、管理釣り場用のフライパターンには瞬間接着剤を用いることが多い。まずシャンクにスレッドを下巻きする時に、その上から弾性瞬間接着剤を少々垂らす。その後マテリアルを取り付けてスレッドを巻くつど、その箇所に接着材を落としていく。
さらにフィニッシュは、スレッドに接着剤を染み込ませてから行なうようにしている(その際、染み込ませた接着剤は一度、拭き取ってからすぐフィニッシュ作業に移る)。
これでフライの耐久性はかなり上がる。数を釣っていくと、全体にファーなどのマテリアルがばらけ気味になってくるが、ゲイプに絡まるような繊維はカットして、後は大まかな卵型のシルエットになるようにその場で調整すれば、使い込んだフライでも釣果が落ちることはないと感じている。
ちなみに、前編でも書いたとおり、フライに留めるビーズヘッドの重量についてもあらかじめ計測。そのため、何秒でどのくらいの層まで沈むのか……ということも判断できるようなフライに仕上げている。
下に、実際に私がトーナメントで実積を上げてきたフライパターンを紹介したい。いずれも前述のように瞬間接着剤を用いて数釣りに耐えられるフライに仕上げている。
トーナメント用フライA
●フック……KenCube TP105BL #13~17
●スレッド……6/0 or 8/0蛍光レッド
●ビーズ……TMCタングステンビーズプラス・ゴールド(ノーマル)
●ボディー……手袋をほぐした毛糸・ホワイト
その日最初に反応を見るために結ぶパターン。スレッドの蛍光色に魚は敏感に反応してくるので、こちらもノーマルカラーと使い分けている。ビーズヘッドなしで使用することもある。
トーナメント用フライB
●フック……KenCube TP105BL #13~17
●スレッド……6/0 or 8/0ホワイト
●ビーズ……TMCタングステンビーズプラス・ゴールド(ミラー)
●ボディー……アニマルたっち!(編み糸) or やわらかファー(編み糸)
曇りで風がある時に使用。水中でよりファーが揺らめくように、フリーノットで接続している。
トーナメント用フライC
●フック……TMC403BL #12~16
●スレッド……6/0 or 8/0蛍光レッド
●ビーズ……TMCタングステンビーズプラス・ガンブラック(ミラー)
●テイル……マラブー・蛍光ホワイト
●ボディー……手袋をほぐした毛糸・ホワイト
フリーノットで接続し、時おり誘いを入れて使う。スレッド、テイルのカラーは、陽が出ていれば蛍光系カラー、曇りの場合はノーマルというように使い分けている。
これまで各地の大会に参加し、出場回数はそろそろ3ケタになる。今までたくさんの上位入賞者と対戦してきたが、そこで分かったのは、やはり「どんな状況でも釣れるメソッド」というものは存在しないということ。
同じフライがAとBの釣り場で反応が違うように、フィールドやシチュエーションをまたいでも効果的な釣り方というのはないと思う。しかし釣行日数を重ね、データを蓄積していくうちに、その日のアタリパターンがより見つけやすくなるはずだと感じている。
2017/12/25