チューブフライを巻く(構造編)
チューブフライの仕組みを解説
滝元 一=解説
動きがよく、バレにくく、フック交換も楽。そんなチューブフライを美しく巻くコツは、ウイングのボリュームをコントロールして、いかにヘッド部をコンバクトにするかにある。チューブ選びから、フライ全体のバランスまでを詳しく解説。
この記事は2013年2月号に掲載されたものを再編集しています。
《Profile》
滝元 一(たきもと・はじめ)
1972年生まれ。群馬県在住。シングルハンドやスイッチロッドを使った利根川や犀川といった本流の釣りを得意とし、チュープブライも多用。スペイキャスティングの釣りにも熱く、海外のサーモンリバーでも経験を積んでいる。
滝元 一(たきもと・はじめ)
1972年生まれ。群馬県在住。シングルハンドやスイッチロッドを使った利根川や犀川といった本流の釣りを得意とし、チュープブライも多用。スペイキャスティングの釣りにも熱く、海外のサーモンリバーでも経験を積んでいる。
シンプルながら利点はたくさん
チューブフライは、プラスチック、コパー、アルミなどの素材でできたチューブに、シリコンや柔らかめのプラスチックでできたチューブを被せて、反対側にフックのアイ部分を差し込んで使う。このような構造にすることによって、フライの大きさにかかわらず、魚の口に合ったフックサイズを選ぶことができる。またチューブ自体に重みがあるので、通常のフライフックより水中での姿勢が安定するという利点もある。
ティペットをチューブの内部に通してフックのアイに結ぶため、魚が掛かった際にフックがある程度自在に動く。すると魚が激しく暴れた際にもホールド性がありバレにくい。
さらに根掛かりでハリ先が廿くなってしまった場合にも、フックだけを交換できるので、フライそのものを長く使うことができる。
チューブにはさまざまなタイプがあるが、タイイング自体は至ってシンプルで、基本的にフライフックのシャンクと同じようにタイイングすることができる。
今回はチューブフライの基本構造について解説してみたい。

バイスにチューブを固定
まずはチューブを取り付けるための専用のアタッチメントツールをバイスにセットする。これにより、通常のバイスでもチューブを固定してタイイングできる。ちなみに、バイスは水平ロータリー機構の付いているタイプがおすすめ。チューブを覆うようにしてヘアを取り付けるパターンが多いので、常に軸を回転させながら、ストレスなくマテリアルを乗せられるバイスがよい。


材質を使い分ける
チューブの素材としては、プラスチック、アルミ、コパー(銅)などがポピュラーで、素材は比重の違いで使い分けるのが効果的。流れが緩い場所ではプラスチックなどの軽い素材を、逆に流速のある場所では重さのあるコパーを使うと、水中で姿勢が安定しやすく、ねらった層をキープさせやすい。
そのため、フィールドの流れとフライの沈下速度を想定して、釣り場に合った素材を選びたいが、手始めに巻くならば、アルミが汎用性が高くておすすめだ。

好みのベースは自作も
チューブはメーカーから発売されているものもあるが、長さを自分で調節したい場合など、適度な径の筒があれば、マテリアルとして売られているものではなくても充分に活用できる。ただし、市販のコパーチューブなどはラインを傷つけないよう、内部に細い径のプラスチックチューブが入っているものが多い。そのため、太めのチューブを自作する際には、中にプラスチックチューブをセットする必要がある。
一例として、滝元さんは海釣りの仕掛けに用いる絡み止めのチューブなども活用。金属製のチューブに差し込み、端を少しだけ長めに残してカットしたら、ライターなどで軽くあぶれば、先端が溶けて固定される。非常に簡単な作業なので、これを量産しておけば、タイイングも楽だ。


便うフックはゲイプ幅で決める
柔らかいシリコンチューブにフックを差しこんで固定するため、基本的にどんなフックでも使うことができる。滝元さんの場合、フライのバランスを維持しやすく水中での泳ぎがよい、シングルフックを使用することが多い。トリプル、ダブルフックに比べてフックの貫通率が高いという利点もある。基本的にフックサイズはフライのサイズに合わせ、シャンク長がチューブより短いものを選ぶ。
ボディー部分とフックが可動するチューブフライの利点を生かすため、フックをセットした際に、チューブをシャンクに見立て、通常のストリーマーフックの形を想定して、ゲイプ幅が極端に狭くなりすぎないようなものが理想だ。

2018/12/10