ボリビア在住妻 素人南米釣行記05(前編)
憧れのパタゴニアでトラウトフィッシングの巻(前編)
高阪 美穂子=写真と文
《Profile》
高阪 美穂子(こうさか・みほこ)
ボリビア・ラパス市在住。2007年にフライフィッシングを始める。2015年には愛知県に住み、毎週岐阜の渓流へ通っていた。夫の仕事の都合でボリビアに移住後、現地でのフライフィッシングを模索中。フライフィッシングが好きな理由は、自然に溶け込めること、場所・時期・気候などの条件を考え、自分がイメージしたとおりに魚が釣れた時の喜びが大きいこと。
高阪 美穂子(こうさか・みほこ)
ボリビア・ラパス市在住。2007年にフライフィッシングを始める。2015年には愛知県に住み、毎週岐阜の渓流へ通っていた。夫の仕事の都合でボリビアに移住後、現地でのフライフィッシングを模索中。フライフィッシングが好きな理由は、自然に溶け込めること、場所・時期・気候などの条件を考え、自分がイメージしたとおりに魚が釣れた時の喜びが大きいこと。
満を持してパタゴニア釣行を計画
ボリビアに転勤とだんなから言われた時、一番に思ったのは「パタゴニアで釣りができる!」でした。
赴任後すぐに釣行の計画を立てることも考えましたが、住んでいればスペイン語が話せるようになっているだろうと思い、万全を期すために1年目は見送ります。
そのため、ボリビアに住み始めてすぐにスペイン語を習いますが・・・・・・。
1年経っても自分でもびっくりするくらいスペイン語が話せず。でも、翻訳アプリの使い方は上達。
とりあえずそれでなんとかなるだろうと、2年目に入りパタゴニアのフライフィッシングの情報を探します。
大きいサイズが釣れるジュラシックレイクは有名ですが、サイズよりも川でのドライフライフィッシングが我が家の希望。
インターネットで日本語検索しても情報がなく、スペイン語で検索。
そして、やっと希望通りの場所が見つかります。
その場所はアルゼンチンの北パタゴニア、サン・マルティン・デ・ロス・アンデス(以降サン・マルティンと表記)。
サン・マルティンについて調べてみると、冬はスキー、夏はアルゼンチンの人々の避暑地となっている町。
西側にはアンデス山脈、付近には7つの湖とその湖から流れ出す多くの川があります。
その後、アルゼンチンに住んでいた人に、「サン・マルティンは釣りで有名なところ」と聞き、「よっしゃ~、ここ!」と決めました。
インターネットで見つけた地元の釣りガイド会社のピレコ(Pireco Turismo)にメールでコンタクトを取り、最適な時期とフライフィッシングができる川を確認します。
ピレコ(Pireco Turismo)
ピレコからは「2月下旬から3月上旬はドライフライが最適です。コション・クラ・リバー(Collon cura)、アルミネ・リバー(Alumine)、チメウィン・リバー(Chimehuin)、マレオ・リバー(Malleo)、カレウフ・リバー(Caleufu)で釣りができます」と回答。
その回答に申し分なしと、早速ガイドを予約。
続けて、ホテルと飛行機の手配をします。
手配が終わったら、次はフライの準備。
サン・マルティンの釣具屋に確認したら、#14、#16のパラシュート、カディスが必要とのこと。
その他、ストリーマー、イモムシ、チェルノブイリアント、スティミレーター、ニンフ、テレストリアルなども用意します。
9割以上はだんながフライを巻きましたが、私も久しぶりに巻きました。
ラパスのカーニバル
出発直前の2月、南米は真夏。各国でカーニバルがあります。
有名なのはリオのカーニバルですが、実はボリビアのオルロのカーニバルは南米三大カーニバルのひとつです。
同時期にボリビア各地でもカーニバルが開催。
カーニバルの1週間前からボリビアの人たちはソワソワ。私たちもラパスのカーニバルを見に行きました。
ラパスのカーニバルは各地のダンサーグループが大通りをパレード。
地域によって、衣装も音楽も異なります。「これぞ本場のフォルクローレ!」といった感じ。
地元の子供はパレードよりもスプレー缶に入った泡の掛け合いっこで大騒ぎ。
この泡が大人に向けられることもしばしば。カーニバルにはカッパ必須です。
そして、食べ物・飲み物、泡のスプレー缶はもちろん、トイレットペーパーなど、売り子たちはここが稼ぎ時と観客の前を行ったり来たり。
カーニバルが終わったら、いよいよパタゴニアに出発です!
サン・マルティンまでの道のり
今回の行程はラパス→チリ、サンチアゴ→アルゼンチン、ブエノス・アイレス→サン・マルティン。
ブエノス・アイレスではエサイサ国際空港に到着し、国内線が多いホルヘ・ニューベリー空港から出発します。
空港間の移動には1時間半くらいかかり、当日便には乗れないため、ブエノス・アイレスで一泊。
ネットで調べたところ、ブエノス・アイレスにはパレルモ地区という日本で言う代官山のようなおしゃれなエリアが。
ラパスではデパートもファッション街がない・・・・・・。
だから、ブエノス・アイレスで日頃溜まっている買い物欲を発散させたい。計画では、夕方に到着し、その後2時間が勝負。
しかし、サンチアゴで乗り継ぎに失敗。
サンチアゴ空港は到着ゲートから出発ゲートまでが遠い。さらに乗り継ぎの看板が分かりづらく、見逃してしまい、到着した時には搭乗ゲートがクローズ。
仕方なく次の便に。変更した便がその日のうちにあったのはよかったけど、ブエノス・アイレスで買い物する時間がない・・・・・・。
結局、ブエノス・アイレスについたのは夜。
気を取り直し、夕飯にはアルゼンチン牛のステーキを!
さすが本場。赤身のお肉だけど、すっごく柔らかく、噛むと肉汁が溢れます。
しかも、お値段は日本の半額以下!
気をよくして、ホテルまでは歩いて帰ります。
湿度はそれほど高くなく、夜は長袖1枚で心地よい。
地元の人々が夜もテラス席で夕食を楽しんでいます。
ブエノス・アイレスは南米のパリと言われる所以を実感。もう1泊したかった!
翌朝、ホルヘ・ニューベリー空港からサン・マルティンの町近くのアヴィアドール・カルロス・カンポス空港へ。2時間ぐらいのフライトです。
そして、サン・マルティンの空港到着のアナウンス後、眼下にはパタゴニアの大地に川が流れているのが見えます。
嬉しくって、子供のように窓にかじりつき。
ようやく、サン・マルティンに到着!
念願のパタゴニアへの第一歩です。
コション・クラ・リバーでの釣り
サン・マルティンに着いた当日に釣りガイドの会社ピレコに向かいます。
お支払を済ませ、明日からの釣りのスケジュール、釣り場所などを確認します。
ガイドは朝8時にホテルに迎えに、夜の20時くらいにホテルまで送ってくれます。
釣り場所はこの時期に最適な川をおすすめしてくれ、相談して決められるとのこと。
釣りのスタイルはゴムボートに乗って釣り下るドリフトスタイルとウエーディングの両方が可能。
次は、釣具屋に行きます。
アメリカ製の物がほとんどですが、フライフィッシングの道具、フライタイイングの材料はひととおり売っていました。
釣具屋の店員さんに、「アダムズパラシュート、カディス、ロイヤルウルフが釣れるよ」とオススメを教えてもらいました。
ライセンスは、1週間で1人3,040ペソなので、日本円で5,050円くらいでした。
購入時はパスポート(コピー可)が必要です。
そして、ついに釣行初日!
ピレコのガイド2人、運転手1人が8時にホテルまで迎えに来ます。
今日はほかのお客さんもおり、ボート2台で、南北に流れるコション・クラ・リバーでの釣り。
サン・マルティンの町を過ぎると見渡す限りの高原が。時おり、牛や馬が放牧されています。
サン・マルティンから車で50分くらい行くと、コション・クラ・リバーが見えてきました。
コション・クラ・リバーは全長40kmぐらい、川岸にはヨーロッパから持ち込まれたヤナギが植えられています。
川から離れさらに10分走ると、急に停車。
道路の脇に鉄の扉が見え、その内側には未舗装の道が続いています。
その道を進むと、川が見えてきました!
到着後すぐに、ガイドたちはボートの準備。
我々はウエーダーに着替え、ロッドを準備します。
朝の空気はひんやり。長袖のシャツにジャケットを羽織ります。
タックルは#4、リーダー、ティペットは4Xをセッティング。
川の近くの木には大量のカディスが。
#16の茶色のカディスを選択します。
先に用意を終えたほかのお客さんが先発。
水温は16℃。天気もよく、日差しが眩しい。状況はまずまず。
6日間、我々をガイドをしてくれるのはパブロ。
ここでのガイド歴は約10年のベテランです。
我々も出発! ゴムボートなので、乗り心地は最高。YouTubeで見ていた景色が広がっています。
ボートはエンジンがなく、すべて手漕ぎ。
川を下るとはいえ、パブロ大変そう・・・・・・。
川を下り始めてすぐに、岸近くの緩い流れのあちらこちらでライズがあり。
水深は50cmくらいと意外と浅い。
嬉しくなって、早速ライズの近くにフライを流します。
30分後、初ヒット! 手応えあり。
いつものようにフライラインを手繰り寄せていると、パブロからは「魚が走ったらイトを出し、止まったら巻く。魚を疲れさせて、ボートに近づいて水面近くになったら、サオを立てる」と言われますが・・・・・・。
なかなかうまくやり取りができません。
日本では魚のサイズが小さくその必要がないため慣れず。アタフタとやり取りをしていると、パブロがなにか言いたそう。
5分後、ようやく魚が見えてきました。
パブロが身を乗り出して、必死にキャッチしてくれました。
うれしい! パタゴニアでの初釣果。
38cmのきれいなニジマスです。
このあたりの魚はすべて自然繁殖なので、ヒレもピンとしています。
同じような場所で続けてもう1尾。
さすが、パタゴニア。魚影が多いのか・・・・・・と思っていましたが、後が続きません。
ほかの釣り人はニンフで釣りをしているみたい。
パブロが「今の時期は暑いから、ニンフのほうが釣れるよ」と言い、フライをソフトハックルに変更。
やっと、もう1尾ニジマスを追加でき、午前中終了。けっこう、渋い。
「あれっ、もっと釣れると思ってたのに」とつい独り言。
ランチは皆で、テーブルを囲みます。
まずは赤ワインで乾杯。さすが、アルゼンチン。
そして、前菜のトルティーヤ、メインのローストビーフにサラダが付き、最後はデザートとコーヒーです。
お料理はピレコの社長のお母さんの手作り。どの料理も美味しく、明日以降のランチも楽しみ!
食事中に、ガイドがいろいろとこなことを教えてくれます。
「コション・クラ」は先住民の言葉で「石のマスク」とのこと。
また、このあたりでの釣りの時期は11月〜3月。11月は寒くてラインが凍るし、12月は水量が多いなど、それぞれの時期での難しさがある。どの話も興味深い。
午後は気温が上がり30℃ぐらい。乾燥しているからそんなに不快ではないけど、ジャケットは脱ぎます。ボートの場合、ウエーダーは必要なし。
川の底には藻が生え、水温は20℃くらいまで上昇。
ドライフライでは厳しいので、午後はストリーマーを使います。
それでも、魚の活性は低くアタリもなかなかない・・・・・・。
やっと、掛かったと思ったら、バラシ。
そして次も。痛恨の2連続バラシ。
「なんで!?」と自問自答をし、キャスティングとリトリーブを繰り返すと、やっと釣り上げました。良型のニジマス。初めてストリーマーでトラウトを釣りました!
16時頃から風が吹き、思うようにキャスティングができず。そして、18時頃からは虫が出てきましたが時間切れ。釣行距離12km。
あまり釣れなかったけど、釣れた時は手応えがあり楽しかった!
ほかの川ではブラウントラウトを釣りたい・・・・・・!
■後編に続く
2020/5/12