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そこに魚がいなければ、釣りは成立しない

自治体と漁業協同組合、アウトドア関連企業が、川と魚で連携したプロジェクトが始動

 
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自治体と漁業協同組合、アウトドア関連企業が、川と魚で連携したプロジェクトが始動。

黒松内町(町長:鎌田満)、朱太川漁業協同組合(組合長:菅原正久)、パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社(日本支社長:マーティ・ポンフレー)、㈱キャンパーズアンドアングラーズ(代表取締役社長山井太)の四者は、2024年5月13日(月)朱太川流域の環境資源の保全・回復・再生を目指した協働を目的に、包括連携協定を締結しました。

本協定は四者の共通の課題である、『そこに魚がいなければ、釣りは成立しない』を根本的な考え方として、中長期にわたり活動を行っていきます。

 

 

そこに魚がいなければ、釣りは成立しない

四者は、組織や、成り立ちをはじめ、立ち場も異なるものの、各々の理想とする環境や資源の保全、回復・再生のあり方や目指す方向に共通項目が多く、以下の5つの項目で一致をし、今回の包括連携協定に結びつきました。

 

 

四者が一致した5つの方向性

1、生物多様性の保全・回復・再生

釣りを通じ、黒松内低地帯の豊かな生物多様性の保全・回復・再生を目指します。

 

2、水辺環境の保全・回復・再生

釣りを通じ、朱太川流域の全ての水辺生物が健全な状態で生息できる環境の保全・回復・再生を目指します。

 

3、サスティナビリティー

釣りを通じ、流域水産資源の持続可能な資源管理とその活用に対する取り組みを目指します。

 

新たな価値創造

各企業・団体のアイデンティティーで人と自然が共存可能な新たな価値創造を目指します。

 

四者は、朱太川流域の環境資源の保全・回復・再生に資する2つを具体的な目標に定め活動を行うことでも一致しています。

 

 

具体的な目標

1、朱太川水系の砂防堰堤の撤去またはスリット化

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最近のサクラマス(ヤマメ)の研究結果によると、放流したヤマメが降海し、サクラマスになって川へ帰ってくる率が低いことがわかってきました。人工ふ化の個体は概して弱いためか、自然界で淘汰されたり、そもそも降海しない個体がいる可能性も指摘されています。そこで、既存の砂防堰堤に隙間(スリット)を開けることで、上流と下流に川の水の流れを蘇らせる手法があります。小さい砂利や水の流れがよくなることで、サクラマスが上流まで遡上しやすくなったことで、自然産卵が増えたという実例があります。自然産卵の個体を増やすことが、サクラマスの個体を増やし、朱太川のかつての自然を回復することにつながります。

※北海道立総合研究機構卜部浩一研究主幹による研究レポート

 

 

2、釣り・アウトドアを通じた自然再興の実現

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砂防堰堤の多くは、上流側に土砂を堆積させる設計ですが、それをスリット化して土砂を少しずつ流すことで、機能を改善することができます。それにより、機能が低下した既存の砂防堰堤に加えて新たな砂防堰堤を建設しなくとも、砂防堰堤本来の機能を果たし、効率よく保つことができます。溜まった土砂が下流に供給されて高低差がなくなれば、川は元の姿に戻ろうとし、生き物も戻ってきて生態系も回復しはじめます。生態系の回復において撤去の選択はさらに効果的です。また堰堤の造成にかかる費用(税金)の大幅節約になると考えます。

 

 

『釣り・アウトドアを通じた自然再興(ネーチャーポジティブ)の実現』

「ネイチャーポジティブ(自然再興)」とは、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることを意味します。2030年までに「ネイチャーポジティブ(自然再興)」を実現することが、2050年ビジョンの達成に向けた短期目標です。「2030年ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現に向けて、人類存続の基盤としての健全な生態系を確保し、生態系による恵みを維持し回復させ、自然資本を守り活かす社会経済活動を広げるために、これまでの生物多様性保全施策に加えて気候変動や資源循環等の様々な分野の施策と連携し取り組みます。

そこで我々は、それぞれが有する資源とノウハウを有効に活用し、釣り・アウトドアを通じて自然再興の実現と地域社会との連携及び新たな価値創造を目指します。

※環境省2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)

 

 

展望

早急な目的達成と達成期日は設定しないものの、関係するステークホルダーに対し、説明と
理解を図りながら着実に目的達成に向けて取組んでいきます。

 

 

【短期的~2025】

1、砂防堰堤の撤去又はスリット化に向けた活動

2、黒松内町での釣りに関する啓蒙活動の実施(釣育や産卵床づくり)

 

【中長期的~2030】

1、実施前後のモニタリング(効果計測)

2、実効性・信頼性のある収支計画・事業計画

3、道内新たな実施拠点との連携・協働

4、拠点形成(にぎわい・ふれあい施設)連携強化

 

 

黒松内町

黒松内町は、札幌市と函館市のほぼ中間に位置し、国の天然記念物「自生北限の歌才ブナ林」がまちのシンボル。畑作や酪農を主体とした農村の牧歌的風景を潜在的な資源として、ヨーロッパの農村のように都市の人々を招き入れ交流を図る体験・滞在型のまちづくり「ブナ北限の里づくり」を約35年間継続している。平成22年度には「生物多様性地域戦略」を策定し、森と川と海のつながりを重視した生態系サービスの持続的利用を方針としている。

 

 

朱太川漁業協同組合

昭和27年に設立されアユとカワヤツメの漁業権が免許されています。設立当初からアユの増殖事業として孵化盆等を用いた仔魚放流事業を実施。

遺伝子の撹乱や冷水病の蔓延を避けるために平成25年度から本州産の種苗放流を中止。近年、アユの人工産卵場造成により増殖に努め、これにより、全国的にも例を見ない種苗放流に頼らないアユの漁場維持が実践され現在に至っている。北海道でのアユの生息地は余市川以南の後志・桧山・渡島地方に限られ、アユの漁業権を免許される漁業協同組合は、朱太川漁業協同組合を含め4組合しかない。朱太川の天然アユは「清流めぐり利き鮎会」でグランプリを獲得し、その食味の良さが評価されている。

 

 

パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社

パタゴニアは米国発祥のアウトドア企業。創業者は世界的なロッククライマーのイヴォン・シュイナード氏。同氏が1957年に立ち上げたロッククライミング用具の製造販売会社が前身。日本においては直営店は全国23店舗— 「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」というミッションステートメントのもと、環境に配慮したウェア/ギアや、責任ある方法で作られた食品を製造・販売する。

気候危機によって地球上のすべての生命が絶滅の危機に直面していることを危惧しており、その原因に対処するため、パタゴニアのビジネス、資金、ネットワークなど、有するすべての資源を使っている。

 

 

株式会社キャンパーズアンドアングラーズ

株式会社キャンパーズアンドアングラーズは、キャンピング&フィッシングカルチャーに関わる「モノ」+ 「コト」を総合的に提供。『フィッシング』と『キャンプ』、『食』の融合による新しい時間の過ごし方、アウトドアにおける新しい価値を創造し、その価値あるアウトドアカルチャーを北海道から全国、世界へ向けて発信していきます。

 

 

2024/5/16

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