水辺の「あれっ?」を解決。
渓流フィールドのQ&A アプローチ編
遠藤 早都治=解説
慣れないうちはベテランの人が付き添って教えてくれるのが一番だが、その後「こんな時はどうすれば?」と感じる部分は必ずあるはず。ここでは、そんな疑問をQ&A形式で紹介。今回は、先行者がいた場合の悩みや、大場所の効果的な探り方を紹介。
この記事は2014年4月号に掲載されたものを再編集しています。
《Profile》
遠藤 早都治(えんどう・ さとし)
1977年生まれ。神奈川県横浜市で「フライフィッシングショップなごみ」を営んでいる。ビギナーを中心に渓流の実釣スクールも定期的に実施している。スクールでは、「初めての1尾」を釣ってもらう機会も多い。
●フライフィッシングショップなごみ http://www.nagomifish.jp/
遠藤 早都治(えんどう・ さとし)
1977年生まれ。神奈川県横浜市で「フライフィッシングショップなごみ」を営んでいる。ビギナーを中心に渓流の実釣スクールも定期的に実施している。スクールでは、「初めての1尾」を釣ってもらう機会も多い。
●フライフィッシングショップなごみ http://www.nagomifish.jp/
Q1 やはり先行者がいる場合、釣りは難しいですか?
A1 場所を変えられるのが理想的ですが、それが無理な場合は意識してねらう場所を変えて対応します。
私自身、ビギナーの方が最も気にしていると感じるのが、先行者の問題です。渓流のマナーでは、基本的に先行者が優先になりますので、釣り上がっている人のすぐ上のポイントに割り込んで入渓するのは避けなければいけません。
そのため一番確実なのはフィールドを変えることだと思います。しかし近くにちょうどよい川がなく、やむを得ず先行者の上流に入る場合には、川の規模にもよりますが、先行者から2kmほどは間隔を空けて入りたいですね。

もし先行している釣り人と話をする機会があれば、情報交換にもなりますし、ポイントを巡ってのトラブルも防げると思いますので、積極的に声を掛けてみてもよいと思います。
とはいえフライフィッシャーの多い週末など、川の移動が難しく、なかには同じ区間を後から釣り上がらざるを得ない、というケースも出てくると思います。
そんな場合にはドライのブラインドフィッシングでも、小さめのフライを選択したり、先行者がサオをだしていない可能性の高い、釣りにくそうなポイントを中心に探ったりします。
その一例ですが、割合的に多い右利きの人がねらいにくい場所を見つけてフライを流してみると、意
外によい結果が出ることも……。
Q2 有望そうな滝や大きな落ち込みなどの場所で、よい釣りをしたことがあまりありません。魚はいると思うのですが……。
A2 手前の流れをおろそかにすると、結果的にポイント全体がつぶれてしまうことがあります。
たとえば大きな落ち込みやプールであれば、その手前のヒラキに付いている魚の存在を忘れてはなりません。目立ったポイントを目の前にしてしまうと、そこに意識が集中するあまり、その直前にある流れをおろそかに釣ったり、もしくは飛ばしてしまったりする人を見かけます。
手前の流れに魚が付いていることは少なくありません。アプローチに気を遣わなかったりしてその場所を適当に釣ると、結果的に手前の魚を奥に散らしていることになり、本当にねらいたい場所の魚にまでプレッシャーが伝わってしまします。その状態からサオをだしても反応が今ひとつなのは、当然のことですね。
そのため、大きなポイントほどまずは手前の流れを大切にする癖を付けておきたいところです。そうすれば、より数釣りが期待できるほか、大場所に潜む大ものも手にできるかもしれません。

ちなみに、これはどんなポイントにもいえることですが、ポイントに近づくまでに川の中をバシャバシャと派手な音を立てて歩けば、当然警戒心の強い渓魚たちは散ってしまいます。
手前のポイントからしっかりと釣ろうという場合は、まずはストーキングにも気を遣ってください。特にヒラキなどの場所は魚にも気づかれやすいので注意しましょう。立ったままポイントに近づくと魚からも見えやすいので、背を低くして(時にはしゃがんで)忍び寄るように動くとよいでしょう。
もちろん魚の姿が目視できる時には、自分がねらえる(しっかりとプレゼンテーションができる)最も遠い位置からキャストすることが大切です。このほか、フライラインで水面を叩いてもやはり魚を散らす原因になりますので、プレゼンテーションやピックアップの際には、常に静かに釣るように心掛けてください。

2018/2/19