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釣れるインジケーター・システムの探究

管理釣り場のデータで蓄積された形

田中 篤=解説

管理釣り場のメリットの一つに、データを取りやすいということがある。蓄積されたデータのおかげで、わずかな違いが釣果にどう影響するのかが分かりやすくなる。このストローを使ったインジケーターも、そうして磨かれた一つの到達点である。
この記事は2016年2月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
田中 篤(たなか・あつし)
1959年北海道北部出身で、家のすぐ近くにはヤマメがたくさんいる環境で育った。フライ歴35年で現在は横浜市在住。趣味として渓流魚の分布調査を行なっている。管理釣り場トーナメント「T-Area Games」では優勝2回、2位2回、3位2回の成績。

インジケーターの変遷。ストローにたどり行くまで

私はこれまで、いろいろなインジケーターを考案してきた。吸い込み抵抗が少なく視認性の高いものを求め、結局は立ちウキタイプにたどり着いた。

安くて軽量のものを考案して自作し始めて、現在はストローマーカーという立ちウキを自作している。

使うストローの太さは¢3.5mm、¢04mm、¢4.5mmの3パターン。基本は¢4mmである。足の部分は、ビーズタイという電線の結束バンドを使っている。ビーズタイがない場合は、インシュロックという結束バンドでもよい。
現在使用しているストローマーカー

足の部分はインジケーターが立ち上がりやすくするために長くしていて、全長約14cm。ストローの先端は閉じておらず開放したままだが、あまり浸水はしない。仮に水が人っても、キャストすればすぐに水は抜ける。
こちらはストローマーカーの初期型タイプ

ストローマーカーの作り方とセット法

作り方は簡単で、まずストローの下部をY字型にカットする。防水と固定のため接着剤を入れたら、ビーズタイを挿入。スレッドを巻いて固定して、ハーフヒッチを行なってから接着剤を塗れば完成だ。

ビーズタイはデコボコしているので、抜けることはない。このマーカーは材料費も安く、軽量で丈夫で空気抵抗も少ない。比較的キャストはしやすいはずだ。先端には蛍光塗料を塗っていて、水面に高く立ち上がるので、視認性は優れている。

ウエイテッドのフライがタナに到達すると、その重さでインジケーターが立ち上がる。フライが軽い場合は足の部分にウエイト追加する。つまりフライと追加ウエイトを足して、ウキが立ち上がる重さに調整する。

逆にフライが重すぎる場合は、ストローを伸ばして浮力を増す。この時に役立つのが、あのストローの蛇腹部分。普通は曲げるために使うが、このインジケーターでは縮めたり伸ばしたりして、浮力調整のために使っている。

浮力はインジケーターの体積が増すほど大きくなる。物理学でいうと、その物体が押しのけた水の重さが浮力になるからだ。つまりストローを長くすれば、それだけ浮力も増すことになる。
この蛇腹部分を伸び縮みさせることで、浮力の調整が可能

このインジケーターの形状は細く、途中に膨らみのないストレートタイプ。そのため吸い込み抵抗は非常に小さくなる。だから魚が吸い込む時の違和感も小さくなるはずだ。

このインジケーターは細長いぶん、動くストロークが大きい。使っていると、アタリの出方に色々なパターンがあって面白い。食い上げのアタリがよく分かるのも、この形状のメリットだろう。

このストーマーカーをティペットへ取り付けるのに、私はヘラブナ釣り用のウキ止めゴムを使用している。ウキ止めゴムでインジケーターの足を挟むように取り付ける。そのため取り付け後に移動することも簡単だ。

強いアワセを行なうと、フライ側のウキ止めがずれることがある。だがタナはリーダー側のゴムで決まるので、設定したタナがずれてしまうことはない。
ティペットにはこのようにしてマーカーを固定。タングステンビーズを付けることで、軽いフライを使っても自立する。ウキ止めゴムはヘラブナ用のものを利用

使うフライは「エボレス」のみ

フライはいろいろ試したが、最終的にはシンプルに「エボレス」(色はアイボリー化ジンジャー)をシャンクに巻いただけのものを使用している。フックは『TMC2499SP-BL』の#14または#16。

タイイングは簡単で、シャンクにエボレスを巻くだけだが、その際ヤーンのファイバーを巻き込まないように、後ろになでつけるように巻くのがコツ。また細いシャンクに直接巻くとボリュームが少なくなるので、比較的密に巻いている。

ただし早く沈めたい場合には薄く巻くとよい。最後にアイでのフィニッシュはウィップフィニッシャーのみで巻き留める。ヘッドセメントはファイバーに浸み込んで硬くなるので使わない。最後にファイバーを掻き出して完成。

ウエイトの使い方。ティペットに通すメリット

ウエイトはフライには付けず、ティペットにタングステンビーズを通して使う。このビーズセパレート方式では、ビーズの凹側がフライ側になるように通す。そうすると、ほぼアイを覆うような形になる。

このシステムでは、魚がファイトするとビーズは振り回されてフライから離れる。これはバラシを少なくする効果があると考えている。バラシの原因には口切れと抜けがあるが、ビーズが離れることで抜けが少なくなると思う。

また、フライとビーズの組み合わせが自由になるというメリットもある。したがって同じフライでウエイトの重さを変えることが可能。あらかじめウエイトを変えたフライをたくさん巻く必要もない。
シンプルすぎるフライだが、信頼している。ウエイトはティペットに通すのがミソ

結び方の工夫

私の場合、フライの結び方にも特徴がある。アイの下からティペットを通して、その先にダンカンループ(ユニノット)を作る。そしてダンカンループを、フライのボディーのど真ん中に結ぶのだ。

こうしてフライをぶら下げると、キール状態になってくれる。フライのこの姿勢によって、フッキングをある程度コントロールできると思う。

もし魚のくわえたフライが口の中でランダムな姿勢であるなら、口に対してフックが横向きの場合、合わせてもそのまま口から出てしまいやすい。フライの姿勢をコントロールできれば、上アゴにがっちりフッキングしやすくなる。結果的にヒット率は上がると考えられる。
アイの穴の、ハリ先側からティペットを通したら、その先でダンカンループを作る。そのループにフライのボディーを通して、ちょうど中間あたりで締め込む。つまり結び目はボディーの中心にあって、アイはティペットが通っているだけ。こうすることで、水中でもハリ先が上を向いて安定させやすい

 インジケーターフィッシングのアワセでは、フライが上に動く。力は結び目とアイに分散するので、一番切れやすい結び目に掛かる力は弱くなると思う。また結び目は柔らかいヤーンの上で、しかもシャンクと同じ方向に力が掛かるので、衝撃も吸収してくれるようだ。この結び方にしたことで、アワセ切れは減った。

ただし弱点もあって、強度があるせいか切れる時はほとんどがティペットとリーダーの結び目から切れる。つまりインジケーターを含む仕掛け一式が丸ごと失われてしまうのである……。

システムと釣りの戦略

リーダーは先端のテーパー部分を60cmくらいだけ使用している。この釣法では本来リーダーは不要と考えられるが、ティペット交換には便利なので付けている。

ティペットはフロロカーボンの0.5~1.2号、3m。タナが浅くても深くても3mにしている。棚が浅い場合でも水面のラインの影響が出るので、この長さが必要。3mより深い場合は、ウキ止めゴムの間隔を広くした誘導式にしてインジケーターを使う。

固定式だとサオの長さ3m以上のタナはラインが巻き取れず、取り込みができなくなるためだ。

インジケーターフィッシングは、ほぼ点の釣りになる。魚の多い場所を直撃すると効率がよくなるが、外すと苦戦する。私の場合は魚の群れを捜して広く探る戦略を多用している。

近距離で釣れ続く場合以外は、エリア内を広く探り、やる気のある群れを捜す。だから20m以上遠投することもあり、そのためにもよく見えるインジケーターが必要になるのだ。

キャスティングについて

インジケーターフィッシングで遠投する人は少ないだろう。遠投するとインジケーターもよく見えないし、アワセも遅れる。さらにシステムの都合上、トラブルも多くなる。

そこで活躍するのがロールキャスト。このキャスティングであれば1発で打ち返すので、フライやインジケーターが回転して撚れるなどのトラブルが減る。自分や後ろの障害物に刺さることもなく安全である。

またスペイラインを使用することで、飛距離も稼げる。現在は6番ロッドで#6~7のスペイラインを使用しており、25mくらいはキャストできるようになった。ちなみにロッドは10フィートのものを使用している(SAGE『ONE 6100-4』)。

フライフィッシングでは、数を競うという文化はあまりないと思う。だが、管理釣り場のトーナメントなどで数釣りを追求してみると、一味違った発想が得られ、そんなところもまたこの釣りを深めてくれる要因になるのではと思っている。

2018/10/23

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