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マラブーで小魚を表現する

フリューを活かす「アオミドロ」のタイイング

野崎茂則=解説
水中を泳ぐ「アオミドロ」。小魚の泳ぎを表現するコツは、何よりもオーバードレッシングに注意すること

マラブーを使い続けて30年を優に超える芦ノ湖の住人、野崎茂則さん。シルエットを保つ範囲内で、できる限りマテリアルを少なくすることが、ストリーマーの泳ぎをよりリアルに演出するコツであるという。
この記事は2012年1月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
野崎 茂則(のざき・しげのり)
1941 年生まれ。神奈川県足柄下郡在住。芦ノ湖の畔にある「フィッシング・ショップ・ノザキ」のオーナーで、長年芦ノ湖の釣りを見ている。オリジナルパターンは「アオミドロ」のほか、黒のニンフ「ノザキスペシャル」が知られる。

釣れるから使うマテリアル

野崎さん考案のストリーマー「アオミドロ」は、現在も各地でトラウトを魅了し続ける芦ノ湖生まれのパターンである。独自のリトリーブ法「ノザキツイスト」との組み合わせによって、より本物に近い動きを見せるが、通常のリトリーブでも止めずに細かく引き続けることでそれに近い効果を得られる。

その動きは、フライをワカサギの群れの前に投入すると、群れがフライの動きに合わせて泳ぎ、ワカサギが仲間と勘違いするほど。
マラブーのみで巻かれたストリーマー「アオミドロ」。同系色を3つ以上使い、グラデーション(小魚の腹側を明るくし、背中側を暗くする)にすると水中では小魚のように見える。フリューの多いファイバーを選ぶことで、少ない本数でもしっかりとシルエットを作り、しなやかな動きを生み出す

ナチュラル素材やシンセティックマテリアルといった多くの素材が出回っている現在においても、マラブーにこだわり続ける野崎さん。そこにはきちんとした理由がある。

「いつまでも同じのを使っていて、自分でもよく飽きないなぁってたまに思いますけど、釣るためのマテリアルとなると、やっぱりマラブーが一番なんです。そもそも人の考えたフライは信用できない。意固地というか、強情っぱりというか、そんな性格的な部分も大きく関係しているとは思いますが、とにかく釣れないとおもしろくない、というのがこのマテリアルを使い続ける理由ですね」
芦ノ湖畔のショップで「アオミドロ」を巻く野崎さん。フライは当日使うぶんだけを巻く、というスタイルは変わらない

釣れるからマラブーを選ぶ。そう断言する野崎さんのアオミドロはタイイングを見ている限りシンプルだが、実に繊細。絶妙なバランスが泳ぎに影響を与えることから、たとえ同じように巻いたつもりでも、完成後に泳がせてみると、水中での動きがそれぞれ違ってくるという。

オーバードレッシングは禁物

これまで万を超える数を巻いてきたはずの芦ノ湖の名手でさえも、3本巻けばうち1本が満足のいく泳ぎを見せるかどうかという確率だとか。そこにはマテリアルの選び方、使う量、取り付け方が大きく影響してくるという。

「少ないほうがよりしなやかに動く」というのが野崎さんの持論。よってストリーマーで使う際はシルエットが損なわれない範囲内でファイバーの本数をできる限り抑えるようにしている。そのためファイバーの先端までフリューのある、少し太めのものを使うようにし、少ない本数でもボリュームを稼いでいる。
野崎さんがテイルに選んだファイバーを見ると、先端までフリューの生えていることが分かる。先の太いファイバーは水中でのまとまりがよく、先の細いファイバーはばらつきやすい。マテリアル選びはストリーマーの泳ぎに直接影響を与える

ただしフリューがあってもファイバーの先端部が細いと、水中でバラけやすくなり、小魚としてのシルエットが保てないばかりか、泳ぎにも影響が出てくるという。

完成直後は水中での動きを想像しづらいが、尾、腹、肩、背中といった小魚を演出する各パーツはできるだけファイバーの本数を控えめにする。
マテリアルを極力少量に抑えた結果。完成後のフライを濡らすと、糸のように細くなる。濡らした時にこれくらい細くなれば合格という目安。「マテリアルをいかに少なくまとめるか、それがよく泳ぎ、シルエットをしっかり作るコツになる。フナになるか、小魚になるか、その差は大きい」

ボディーの向こう側が透けるくらいがベスト。いままでお店に訪れたお客さんらのマラブーパターンを数多く見てきた野崎さんだが、そのほとんどは、オーバードレッシング気味だと話す。

「極端にいえば、マラブー5本で充分ストリーマーができる」として、実際にそうしたパターンを使ったデモンストレーションで魚を掛けて見せることもある。

ちなみに、マラブーの表側を上にした状態で、ストークより左側は比較的硬めのファイバーが多いとの理由から、野崎さんは右側を選ぶことが多い。ファイバーの柔らかさを知るためには、ストークの根もとを持って上下に揺すり、ファイバーの揺れぐあいで判断するという。

「アオミドロ」のタイイング

アオミドロ
●フック……アキスコAFB1720#10~12
●スレッド……アユ用根巻きイト・イエロー
●テイル&ボディー……各マラブー4、5本(グリーン系)
●スロート……マラブー根もと側に生えた柔らかいファイバーの先端部分4本(ボディーより明るいグリーン系)
●ショルダー……マラブー8本(ボディーより濃いグリーン系)
●トッピング……マラブー3本(ブラック)
●ヘッド……マラブー4、5本(ボディーに使ったカラーとブラックを合わせて使用)


アイ寄りのシャンク3分の1あたりから下巻きを始め、テイルとなるマラブーを巻き留め、フックポイントの上までスレッドを巻き進める。スレッドで巻き潰したところがボディーの下地になる。テイルの長さはシャンクの2倍が目安

下巻きのスタート位置にボディーにするファイバー4本を留める。シャンクの真横から下にかけて、左右均等に分かれるように固定

ボディーとして留めたファイバーが左右均等になっているかどうか、真上から見てチェックする。左右のバランスがとれていないと泳ぎが悪くなるので、気になるようならこの段階でやり直す

バイスを回転して上下逆さまにしてから、マラブーの根もと側に生えたファイバーの先端側4本を巻き留める。色はボディーより明るいものを選ぶ。長さはゲイプ付近までが目安

バイスを元に戻し、ショルダーとなる部分にボディーより濃い色を7、8本切り取って巻き留める。ここも左右対称になるよう、上からもチェック。留め位置はボディーと重ならないようにする

トッピングとなる黒のマラブーを3本留める。長さはテイルより少し短くなるように。ここで使うファイバーは、先細のものがよい

黒とボディー色に使ったマラブーを2本ずつ、計4本を巻き留め、スレッドに寄りつけてからシャンクに巻いてヘッドを形成

フィニッシュ後、余分をカットしてヘッドに瞬間接着剤を垂らせば完成


2018/10/19

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