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九頭竜川のスイングの釣り

「特集ラインシステム」補足編

安田龍司=写真と文


※各ラインシステムのイラストは『FlyFishier MAGAZINE 2021 Mid Summer号』(2021年7月発売)をご覧ください。

九頭竜川の概要


2月に解禁を迎え、5月末にシーズンを終える福井県九頭竜川でのサクラマス釣りは、融雪増水、降雨増水、代掻きによる長期間の濁水、そしてシーズン末期の渇水など、その状況が刻々と変化する。ポイントの水深は50cm~2m超まであり、その流速は秒速80cmを超える場所から数cmという極めて遅い場所まである。

サクラマスとの出会いを求めるのであれば、この状況変化に柔軟に対応する必要があり、必然的に使用するロッド、ライン、フライの種類も増えてしまう。釣り方を大別するとスイング、リトリーブ、ナチュラルドリフトの3種になるが、今回は最も分かりやすいスイングについてである。


スイングのバリエーションの基準


スイングの釣りではフライラインに掛かる流れの抵抗を利用して、フライが流れを横切るように操作するが、一口にスイングといっても深く沈めるのか沈めないのか、ゆっくりとスイングさせるのか速くするのかなど組み合わせ次第で選択肢は意外にも多い。

私の大まかな基準として、水量とねらう水深、スイングスピード、ライン、リーダー、フライサイズの関係を表-1に、水温と透明度、狙う水深とスイングスピード、フライサイズの関係を表-2に示した。


スイングのバリエーションと選択するフライの関係


たとえば増水している場合は中層よりも深い部分をゆっくりとスイングさせたいので、水深と流速を考慮したシンクレートのシンキングラインを選択して、シンクレートが高いほど短めのフロロカーボンリーダーをセットしサーモンフックなどに巻いた大型フライを結ぶ。そしてその時の水温が低く透明度も低ければできるだけ深い層をできるだけゆっくりとスイングさせるように操作する。フライは大き目で目立つパターンがよい。

逆に渇水している場合は表層を速めにスイングさせたいので、フローティングやインターミディエイトのラインを選択して長いナイロンリーダーをセットし小型のフライを結ぶ。



その時、水温が高く透明度も高ければ、できるだけ表層を速めのスイングでねらうようにして、フライもできるだけ小型を選択する。必然的にリーダーは細く長くなる。また水面へのインパクトを軽減するため、できるだけライトタックルを使用するとチャンスも増える。


私の場合はこのような基準で考えているが、もちろん例外もある。たとえば平水より1m近く増水しているような時は、流心をねらっても釣れる可能性は低い。このような状況ではサクラマスは岸近くにいることが多いので立ち込みを控え、水深1m前後の浅い流れをねらう。

ラインはフルシンキングではなくシンクティップの方が使いやすい。ただしフライはできるだけ底近くに沈めたいので大型で濁水の中でも目立つパターンを選ぶ。
このように水量、水深、流速、水温、透明度などの状況変化に対応したライン、リーダー、フライを選択している。

2021/10/22

つり人社の刊行物
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今号では、編集部が「面白いな」と感じた渓流用のドライフライのタイイングと考え方を紹介します。取り上げるのは、パラシュートスパイダー、エルクファンタジィ、丹沢スペシャル、マジックバレット、里見パラシュート、ヨッパラ、特殊部隊の7本です。これらを並べてみると、みなさん気にかけているのは、耐久性、浮力の持続性だけでなく、「誘い」であることがわかります。水面の流れより遅く流れる、フライそのものが揺れる、マテリアルが揺れる、などさまざまですが、いわゆるナチュラルドリフト以上の効果を明確にねらっているものがほとんど。来シーズンに向け、ぜひ参考にしてください。
またウォルト&ウィニー・デッティ、ハリー&エルシー・ダービーに関するフライタイイングの歴史、そして、『The Curtis Creek Manifesto』(日本ではご存知、『フライフィッシング教書』として翻訳されています)の作者、シェリン・アンダーソンについても取り上げています。


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